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浄化槽管理の用語をまとめたページです。

水資源と水循環 生活環境の保全 汚水処理 浄化槽行政 浄化槽の構造 浄化槽工事

浄化槽の点検、調整及び修理 水質管理 浄化槽の清掃概論

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水資源と水循環

水資源

水資源賦存量は、降水量から蒸発散量を減じたものに当該地域の面積を乗じた値である。

日本の水資源賦存量の約20%を人間が使用しているが、 そのうち最も使用量が大きいのは農業用水で、 次に生活用水、工業用水の順である。水源は河川水、地下水の順である。

地球上の淡水の量は、氷として存在しているもの(氷河等)が最も多い。

日本の年平均降水量は、世界平均より多い。

日本の1人当たりの年平均降水総量は、世界平均より少ない。

日本の水資源賦存量の約20%を人間は利用している。

水循環

地球上の水は、降水蒸発散を繰り返しながら循環している。 地球上の年降水総量は約577千km3/年であるが、このうち約21%陸地に降る。 国土面積に年平均降水量(mm/年)を乗じた値を全人口で除した日本の値は世界の平均よりも小さい

地球上に存在する水の大半は海水であり、 また淡水の中でも河川や湖沼の水の量は全体のわずか約0.01%にすぎない。

日本は、世界でも有数の多雨地帯であるモンスーンアジアの東端に位置し、 年平均降水量は世界(陸域)平均の約2倍となっている。

日本の人口1人当たりの年平均降水総量は、約5100m3/(年・人)と、 世界の平均である22000m3/(年・人)の4分の1程度である。

地球上の水は降水と蒸発散を繰り返しながら循環しているが、 このうち陸上の降水については、その約60%が蒸発散によって失われ、 残りは表流水や地下水として、流出している。

日本の公共用水域における水域群(河川、湖沼、海域)別の水質の推移(BOD又はCOD年間平均値)

湖沼が一番BODまたはCOD濃度が高い。

環境基準達成率の推移(BOD又はCOD)

湖沼が一番達成率が低い。 河川の環境基準の達成率に関する水質指標はBODであり、 湖沼及び海域の環境基準の達成率に関する水質指標はCODである。

河川の水質汚濁に係る「生活環境の保全に関する環境基準項目」

河川の水質汚濁に係る「生活環境の保全に関する環境基準項目」として、 水素イオン濃度(pH)、生物化学的酸素要求量(BOD)、 浮遊物質量(SS)、溶存酸素量(DO)がある。

全窒素(T-N)は誤り。 全窒素は、湖沼(天然湖沼及び貯水量1000万m3以上の人工湖)と 海域における水質汚濁に係る「生活環境の保全に関する環境基準項目」である。

自浄作用

河川や湖沼等の水環境に排出された汚濁物質は、希釈、拡散及び沈殿等の物理的作用によりその濃度が低下するとともに、 生物学的あるいは化学的作用を受けて分解され、徐々に無機化や安定化が起こる。 このような現象を自浄作用という。

自浄作用とは、希釈や拡散、沈殿に加えて、生物学的作用や化学的作用により汚濁物質が分解され、 安定化されていく現象である。 藻類は浄化にはほとんど寄与しない。

藻類は、酸化池などの太陽エネルギーを利用した排水処理以外では、 浄化に大きな役割を果たすことはない。

典型7公害

典型7公害とは、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭の7種類をいう。

地下水汚染の主要な原因物質は、トリクロロエチレンのような有害化学物質や硝酸性窒素ヒ素等である。

生物学的作用

微生物が栄養源を取り入れて、細胞合成を行うことを同化作用という。

微生物が呼吸によってエネルギーを得ることを異化作用という。

好気性代謝では有機物質が微生物体に合成される割合が大きいが、 嫌気性代謝ではその割合が小さい。

微生物による有機物質の分解は、微生物が有機物質を栄養源として体内に吸収し、 細胞やエネルギーに転換する作用を利用したものである。

同化作用と異化作用は同時に進行する。

微生物の代謝作用は、新しい細胞を合成するための同化作用と エネルギーを獲得するための異化作用に大別される。

エネルギーの生成効率は、一般的に嫌気的代謝の方が好気的代謝よりも低い。

好気的呼吸は、分子状酸素を消費しながら、有機物質を酸化分解して、生命維持に必要なエネルギーを得る反応である。 嫌気性微生物は、分子状酸素の消費を伴わない代謝によってエネルギーを得る。これらは発酵(同化作用ではない)と呼ばれる。エネルギーの生成効率は、一般的に嫌気的代謝が好気的代謝よりも低い。 エネルギーの生成効率は、一般的に嫌気性代謝が好気的代謝よりも低い。

損失水頭

水と管路との間に生じる摩擦抵抗で、管内を水が流れるときに生じる圧力損失を水頭差の単位で表したもの。

流水は運動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネルギーを持っている。 実際に水が管路を流れる場合には、水と管路との間に生じる摩擦によるエネルギー損失や、 管路が折れ曲がったり、広がったり、縮まったりするような管路の接続箇所でのエネルギー損失があり、水頭が低下する

砂ろ過装置のように細い隙間に水が流れる場合、損失水頭は、極めて大きく、 特に浮遊物質(SS)によって砂層の隙間は埋められ、 閉塞の進行した状態になると、わずか60cm~70cmの砂層を流れる間に数mの損失水頭が生じることになる。 そのため、砂の洗浄を適時に行わなければならない。 一方、ろ材が充填されていない水槽中を水が流れるような場合には一般的に流速も遅く、流路も広いので損失水頭は無視できる。

水面の高さに差のある2つの水槽をパイプで結ぶと、 水面の高い水槽から低い水槽へ向かって水が流れる。 一定時間、定常状態が継続すると仮定すると、2つの水槽の水位差に相当する水頭の損失が生じていることになる。 これは、管への流入、管壁での摩擦及び管からの流出によって生じたものである。 2つの水槽の水位差が大きいほど管を流れる流速は大きくなることから、 損失水頭も大きくなる。さらに、 水槽を結ぶパイプが細いほど損失水頭が大きくなる。

生活環境の保全

放流先の水域に与える影響

機能が十分に発揮されていない浄化槽の放流水が、放流先の水域に与える影響として、 大腸菌群数の増加トリハロメタン生成能の増加有機物質による汚濁の進行閉鎖性水域における富栄養化がある。 重金属による魚介類の汚染は、浄化槽の放流水が原因ではない。

生態系

生態系における生物は、生産者、消費者、分解者に大別される。 生産者としては、光合成による有機物生産を担う植物がその代表である。 消費者は、動物にみられるように、生産者が生産した有機物質を炭素源及び エネルギー源等として利用する。 分解者は、死んだ生命体や排出物を分解して、無機化する役割を果たしている。 分解者の代表的なものとして、細菌や微生物が挙げられる。 また、ミミズなどの土壌生物も有機物質の分解に寄与している。

微生物の代謝

好気的呼吸は、分子状酸素を消費しながら、有機物質を酸化分解して、 生命維持に必要なエネルギーを得る反応である。 嫌気性微生物は、 分子状酸素の消費を伴わない代謝によってエネルギーを得る。 これらは発酵と呼ばれる。エネルギーの生成効率は、一般的に嫌気的代謝が好気的代謝よりも低い。

温室効果ガス

地球温暖化対策の推進に関する法律が対象とする温室効果ガスは、窒素ガス、炭酸ガス、メタンガスであるというのは誤り。 地球温暖化対策の推進に関する法律が対象とする温室効果ガスは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、 ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの、パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの、六フッ化硫黄である。

TOC(全有機炭素, Total Organic Carbon)

有機物質中の炭素で、炭素のmg/Lで表す。 汚水中に含まれる有機物質は、主として炭素化合物であるため、 CODやBODと同様に有機物質による汚濁の程度を表す指標として用いられる。 TOCは、CODやBODのように酸素消費量を測定するのではなく、 炭素の絶対量を測定するため、定量的な数値が得られる。

ノルマルヘキサン抽出物質(n-ヘキサン抽出物質)

主として汚水中に含まれる比較的揮発しにくい炭化水素、炭化水素誘導体、グリース(grease)、油脂物質などをいい、 浄化槽では厨房排水の油脂類などが測定対象となる。

油脂分離装置(grease trap, グリーストラップ)

油脂分離装置の設置によって抑制・防止できる現象は、 流入管内でのスライム(slime, ヘドロ)の発生、 沈殿分離槽内での油脂の蓄積、 フロートスイッチへの油脂の付着、 生物反応槽への流入BODの上昇、 沈殿槽でのスカムの形成 である。

油脂分離槽の管理条件は、有効容量に対する流入汚水量及び蓄積固形物量によって決定される。

油脂分離槽は、厨房の調理場で使用する油脂類が温水に溶けて排出されてくるものを一時貯留して冷却凝縮し、 固形化して分離することを目的とするものである。

飲食店等の汚水を処理対象とした中型浄化槽に設置される油脂分離槽

浄化槽に多量の油脂類が流入するとBOD負荷量が著しく増加するため、 厨房排水が流入管渠に合流する前に油脂分離槽を設置することが望ましい。 油脂分離槽は、厨房では使用する油脂類が温水に融けて排出されてくるものを一時貯留して冷却し、 固形化させて分離することを目的とする。油脂類の大部分は懸濁状態で流入するため、 油脂類の一部が除去されるものと考える。

界面活性剤(surface active agent, surfactant)

分子内に水になじみやすい親水基と油になじみやすい親油基(疎水基)を持つ物質の総称。

酵素(enzyme)

酵素とは、生物化学反応を効率よく、速やかに進める触媒作用を持ったタンパク質である。

クロロフィルa(Chlorophyll a)

高等植物や藻類に含まれる光合成色素の一種。葉緑素。

富栄養化現象の程度を表す指標として、プランクトン量やクロロフィル量、栄養塩濃度、生物の種類などがある。

プランクトン(plankton)

プランクトンは、浮遊生物のことであり、遊泳能力を全く持たないか、あるいは遊泳能力があっても 水流に逆らう力が軽微であるものをいう。 一般に光合成を行うものを植物プランクトン、摂食によるものを動物プランクトンという。

富栄養化現象

富栄養化現象は、河川より湖沼で発生しやすい。

赤潮は、プランクトンの異常増殖によって海面の色が赤褐色や茶褐色に変わる現象である。

富栄養湖では、植物プランクトンが多量に増殖して透明度が小さくなる。

アオコ水の華ともいわれ、利水障害の原因となる。

富栄養湖では、夏の日中は表層から底層までの全層で溶存酸素が高くなるのは誤り。 冨栄養湖では、夏の日中の溶存酸素は表層飽和となり、底層では現象する。

トリハロメタン(trihalomethane)

メタン(CH4)の4個の水素のうち、 3個が塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)に置換された有機ハロゲン化合物の総称。

トリハロメタンは、水中に存在するフミン質が塩素消毒過程において生成する物質である。

クロラミン(chloroamine)

クロロアミンは窒素上に塩素原子を持つ窒素化合物で、 アンモニアの水素原子を塩素原子で置き換えた化合物にはモノクロラミン(クロロアザン, NH2Cl), ジクロラミン(ジクロロアザン, NHCl2), トリクロラミン(塩化窒素、NCl3)の3種がある。

クロラミンは、次亜塩素酸とアンモニアが結合して生成するものである。

NH4+ + HClO → NH2Cl + H2O + H+

NH2Cl + HClO → NHCl2 + H2O

NHCl2 + HClO → NHCl3 + H2O

カドミウム(cadmium, Cd)

カドミウムは、人体にとって有害であり、体内に吸収されると腎臓に機能障害を引き起こすなどするため、 取り扱い、及び、鉱山などからの排水の管理には注意が必要である。 日本ではカドミウムによる環境汚染により、富山県の神通川流域で発生したイタイイタイ病が問題となった。 また、カドミウムとその化合物は、ヒトに対して発癌性を有すると勧告されている。 ホタテガイの中腸腺(ウロ)には、カドミウムが蓄積する事が知られている。

フミン質(humic substances)

フミン質は、腐植質ともいい、植物の枯死体が微生物によって分解された分子数百から数十万の高分子有機物。 フミン酸の多くは水道の浄化処理で除去できる。 水道水の浄化過程で消毒のために添加された塩素がフミン質と化学反応し、有害なトリハロメタン(trihalomethane)を生成する。

フミン質は、植物などが微生物によって分解されるときの最終分解生成物で、難解分解性高分子化合物である。

フミン質は消毒等のために加えられる塩素と反応して、クロロホルム等のトリハロメタンが生成される。

環境問題

イタイイタイ病-->カドミウム汚染米を長期に渡って摂取したことによって生じた公害病

水の華-->湖沼中の栄養塩類濃度が増加することによりプランクトン生産量が著しく増大して生じる現象

トリハロメタン-->フミン質を含む水道原水の塩素処理で生じる発癌性のある化学物質の総称

水俣病-->アルキル水銀化合物に汚染された魚介類を摂取したことによって生じた公害病

マイクロプラスチック-->生態系への影響が懸念されている微細なプラスチックごみ

PCB(PolyChlorinated Biphenyl, ポリ塩化ビフェニル)

ポリ塩化ビフェニルは、生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすい。 発癌性があり、皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことがカネミ油症事件などで分かっている。

化学物質による健康障害として以下がある。

四日市喘息-->亜硫酸ガス(二酸化硫黄, SO2)

イタイイタイ病-->カドミウム(Cd)

水俣病-->アルキル水銀化合物

カネミ油症-->PCB(ポリ塩化ビフェニル)

足尾銅山鉱害-->亜硫酸ガス

土呂久(とろく)砒素鉱害-->亜ヒ酸

難分解性の有機塩素系農薬やPCB等は、食物連鎖を通して大型生物に濃縮される。

水俣病は、アルデヒドの生産に触媒として使用した無機水銀から副生した アルキル水銀化合物が水域に排出され、それに汚染された魚介類を摂取したため起きたと言われている。

メトヘモグロビン血症

メトヘモグロビン血症とは、血液中にメトヘモグロビン(MetHb)が多い状態で、チアノーゼを起こす疾患である。 メトヘモグロビンは、ヘモグロビンに配位されている二価の鉄イオンが三価になっているものである。 硝酸性窒素を含む肥料が大量に施肥され、地下水が硝酸態性素に汚染されたり、葉物野菜の中に大量の硝酸性窒素が残留することがある。 人間を含む動物がこのような硝酸性窒素を大量に摂取すると、体内で亜硝酸態窒素に還元され、 この亜硝酸がヘモグロビンをメトヘモグロビンに酸化してメトヘモグロビン血症を引き起こす可能性がある。

ミクロキスチン(ミクロシスチン, microcystin)

ミクロキスティス属を中心としたシアノバクテリアによって生産される毒素(シアノトキシン)である。 7個のアミノ酸から構成される環状のペプチドであるが、リボソームを経由せずに合成される非リボソームペプチドである。

ミクロキスティス属は湖沼等においてアオコを発生させることで知られ、 アオコに含まれるミクロシスチンは強い肝臓毒活性を示す。 ミクロシスチンを含む水を継続して摂取した場合、肝臓に対する発がん性があることも指摘されている。

放線菌

放線菌は一般にグラム陽性の細菌のうち、細胞が菌糸を形成して細長く増殖する形態的特徴を示す細菌。

好気性細菌

好気性細菌がブドウ糖(C6H12O6)、 酸素、アミノ酸を取り込んで菌体を合成し、二酸化炭素と水を排出した。 この場合の物質収支を計算するとき、ブドウ糖の炭素は菌体と二酸化炭素の一部となり、 アミノ酸の窒素は菌体の一部になるとみなされる。

ブドウ糖とアンモニアと酸素の合成により発生した二酸化炭素の炭素量を求める問題

ブドウ糖(C6H12O6)100gが好気的に微生物により処理され、 その菌体(C5H7NO2)50gが合成されると同時に、水と二酸化炭素が発生する。 発生する二酸化炭素中の炭素量はいくらか。

《解》
細胞質の合成は次の式によって示される。
C6H12O6 + NH3 + O2 → C5H7NO2 + CO2 + 4H2O
この式より、炭素の収支を算出する。
12×6180 × 100[g] - 12×5113 × 50[g] = 40[g] - 26.55[g] = 13.45[g]

汚水処理

処理対象人員

浄化槽の大きさは例えば5人槽と表現するが、この5人のことを処理対象人員という。

一般的な住宅から排出される標準的な汚水の水質に係る数値は以下である。

水量-->200L(汚水:50L, 生活雑排水:150L)

台所排水のBOD濃度-->600mg/L

水洗便所汚水のBOD負荷量-->13g/(人・日)

BOD負荷量-->40g/(人・日)

T-N濃度-->50mg/L

T-P濃度-->5mg/L

日本の1人1日あたりの排水の原単位は、排水量200L(うち、トイレ50L、生活雑排水150L)、 BOD200mg/L、総窒素45mg/L、総リン5mg/Lとされている。

以下は住宅施設関係の処理対象人員算定基準である。

建築用途, 処理対象人員, 算定式(算定単位)

住宅---A<=130の場合-->n=5, n:人員(人), A:延べ面積(m2)

住宅---130>Aの場合-->n=7, n:人員(人), A:延べ面積(m2)

共同住宅---n=0.05A, n:人員(人), A:延べ面積(m2)

下宿・寄宿舎---n=0.07A, n:人員(人), A:延べ面積(m2)

学校寄宿舎・自衛隊キャンプ宿舎・老人ホーム・養護施設---n=P, n:人員(人), P:定員(人)

生活排水処理

雨水と生活排水を同じ管路で集める合流式下水道では、 雨水の量が多い場合、末処理の下水が公共用水域に放流されることがある。

流入汚水のピーク流量が大きい場合、汚泥がほとんど蓄積しないことがある。

水質汚濁防止法において、生活排水とは、「炊事、洗濯、入浴等人の生活に伴い、公共用水域に排出される水」と定義される。 事業場排水とは、一般に、事業活動に伴って発生する排水のことで、そのうち、店舗、飲食店などの排水は浄化槽に受け入れることができる。

SS(Suspended Solids)

SSとは、水中に懸濁している1μmから2mmまでの浮遊物質のことであり、 ガラス繊維ろ紙を用いて一定量の試料をろ過し、乾燥してろ紙上の残留物の重さを測定して濃度を算出する。 SS濃度が非常に高い試料では、ろ過に時間がかかるため、遠心分離法を用いる方法もある。 浄化槽の槽内水では、SSとBODは正の相関を示す。

TS(Total Solids, 蒸発残留物)

蒸発残留物のこと。試料を磁皿などに入れ、105度±5度で、蒸発乾固させた時に残るものの重量。試料全体の重量との百分率(%)で表す。

TSの主な成分は、カルシウム、マグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウムなどの塩類や有機物だが、 浮遊物と溶解物の総量になる。SSと同じような意味だが、溶解物も含まれていることと、蒸発してしまう物は含まれないという違いがある。

VTS(Volatile Total Solids, 蒸発減量物)

強熱減量物のこと。蒸発残留物を600度で焼いたときに揮散する物質量を重量比で表す。 これを有機物量と見なすが、実際には有機物以外でも600度で揮散してしまう物も含まれている。

特定施設

浄化槽関連では、処理対象人員が501人以上(地域によっては201人以上)規模が特定施設に該当する。 特定施設を新たに設置する場合には名称、構造、種類及び汚水の処理方法などを都道府県知事に届け出ること、 届け出が受理されてから60日間は設置することができないなどの規定がある。

BOD(Biochemical Oxygen Demand)

生物化学的酸素要求量。汚濁の程度を表す指標の1つ。 BODは、水中の酸化可能性物質、主として有機物質が好気性条件下において、 微生物作用により酸化される際に消費される酸素量のことであり、20℃、5日間で消費される酸素量をmg/Lの単位で表したもの。

水質汚濁防止法における特定施設では、河川へ排出する場合は放流水のBOD濃度を、 海域または湖沼に排出する場合は、COD濃度を測定しなければならない。

塩化物イオンは微生物作用によって変化を受けないので、 水洗便所における希釈倍率を算定するのに用いることができる。 装置の容量は50倍希釈を標準として決定されており、 希釈倍率が大きいとばっ気室における滞留時間が短くなり、 処理水のBODが高くなる可能性がある。

河川の環境基準の達成率に関する水質指標はBODであり、 湖沼及び海域の環境基準の達成率に関する水質指標はCODである。

アルカリ度は、汚水の処理工程において汚泥の嫌気性分解、硝化の進行等により変化する。

残留塩素は、亜硝酸性窒素が高い場合に類似の反応を示す場合がある。

浄化槽の槽内水においては、有機性の浮遊物質(SS)が大部分を占めるため、 SSとBODとの相関が成立し、SSが高い場合にはBODも高くなる。

硝化が進行している場合、処理水のBODが高くなることがある。

合併処理浄化槽への流入BOD濃度は200mg/L, 単独処理浄化槽は260mg/Lである。

水温、pH、DO、残留塩素は試料採取後直ちに測定しなければならない。 BODの場合は氷冷して保存することができるため、混合試料として用いることができる。

BOD除去に関与する細菌群の増殖は、硝化菌の増殖よりも速い。

汚水中のBOD物質は、新しい汚泥に転換されるとともに、 呼吸作用により増殖や活動のためエネルギー源として利用される。

指定検査機関の行う水質検査の項目には、CODではなくBODが含まれる。

BODは、有機物質による汚濁を把握する指標として用いられる。

BOD測定においては、試料中の有機汚濁物質が完全に分解されるというのは誤り。

ATU-BODは、硝化の影響を抑制したBODである。

残留塩素は、BOD測定に影響を与える。

河川の水質汚濁に係る「生活環境の保全に関する環境基準項目」として、 水素イオン濃度(pH)、生物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量(SS)、 溶存酸素量(DO)、大腸菌群数がある。 海域または湖沼では化学的酸素要求量(COD)である。

BODの測定について

浄化槽におけるBOD/CODの比は、流入水より処理水の方が高いというのは誤りで、流入水より処理水の方が低い。

BODは培養びん中で硝化反応が進むと高くなる。

過マンガン酸カリウムによるCOD測定では、水温を100℃程度に保って酸化反応を行う。

BOD測定はCOD測定より長い時間を要する。

BOD測定用の希釈水はDOを飽和状態にしておく。

BODは、20℃、暗所で50日間の培養で測定する。

ミハエリス-メンテン式(Michaelis-Menten equation)

生物処理では、単位MLSS当たりのBOD除去速度を表すのにミハエリス-メンテン式がよく用いられる。

V = VmaxSKm + S

Vは酵素反応の反応速度、Sは基質濃度、Vmaxは最大反応速度、KmはMichaelis恒数(飽和恒数)である。

BODの測定に用いる希釈水

溶存酸素が飽和状態であること。

緩衝液でpHが7.2に調整されていること。

好気性微生物の正常な発育に必要な微量の栄養塩類を含有していること。

測定開始時と5日後の溶存酸素濃度の差が、3.0mg/L以上あることというのは誤り。 希釈水は、測定開始時と20℃で5日間放置した後の溶存酸素濃度との差が0.2mg/L以下とする。

膜処理水の測定に用いる希釈水は、植種されていること。

ATU-BOD(Allyl Thio Urea BOD)

ATU-BODは試料水にアリルチオ尿素(ATU)を添加することにより、 硝化作用を抑制して測定したBODのことをいい、炭素源による酸素の消費(C-BOD)を表す。

有機物質の除去効果を把握する有効な指標である。

ATU-BODの測定には、浮遊物質を除去した試料を用いるというのは誤り。 浮遊物質を除去してしまうと、有機物質を主としたBODまで除去されてしまうため、測定には不適当である。

ATU-BODは、アリルチオ尿素を添加して測定する。

BODからATU-BODを引いた値がN-BODである。

硝酸性窒素濃度は、ATU-BODの値に影響しない。

生活排水中に排出される可能性があるもの

生活排水中に排出される可能性があるものをBOD濃度が高い順に並べると以下になる。

食用油(1,000,000mg/L) > 日本酒(200,000mg/L) > ラーメンの汁(25,000mg/L) > し尿(13,000mg/L)

> 米のとぎ汁(3,000mg/L) > 合成洗剤(180mg/L)

処理水の水質項目と目的

処理水の水質項目と目的は以下の通りである。

BOD-->有機汚濁物質の除去効率の指標

残留塩素-->消毒効果の指標

COD, 全リン-->総量規制への対応

透視度-->浮遊物質及びコロイド物質等の残存状況の目安

回分式の好気性微生物反応槽における有機物質の分解と微生物の増殖の関係

ばっ気時間が長時間経つと累積酸素消費量はだんだん増加してきて、微生物量は酸素量の減少や生物膜の肥大により生物量は減少していく。

汚水処理

汚水処理は基本的に、固形物の分離操作微生物による反応を利用する操作、及び処理水の消毒操作からなる。

固形物の分離操作は、固形物の大きさや沈降速度を利用している。

固形物の分離操作は、微生物による反応を利用する操作の前や後に用いられる。

微生物による反応を利用する操作では、微生物の同化作用によって固形物が生成される。

微生物による反応を利用する操作で反応に関与するのは、有機物質と無機物質である。

処理槽の消毒操作で用いられる次亜塩素酸塩は、強い酸化力で病原微生物を不活化する。

嫌気性生物処理では、有機物質とメタンと二酸化炭素等に転換される。

好気性生物処理は、溶存酸素の存在下で生育できる微生物によって行われる。

凝集沈殿処理では、汚水にメタノールを注入し浮遊物質をフロックにして沈殿させるというのは誤り。 凝集剤は硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、 ポリ塩化アルミニウム(PAC) [Al2(OH)nCl6-n]m (1≦n≦5, 1≦m≦10)、
ポリ硫酸第二鉄([Fe2(OH)n(SO4)33-n/2]m)(1<n≦2, m=f(n))、 水酸化ナトリウム(NaOH)、 塩化第二鉄(FeCl3)などを使用する。

活性炭吸着装置は、COD、色度、臭気の除去に有効である。

COD(Chemical Oxygen Demand)

一般に有機物質による汚濁の指標として用いられる。

亜硝酸塩はCODとして検出される。

排水基準等で定められている方法では、酸化剤として過マンガン酸カリウムを用いる。

排水基準等で定められている方法では、沸騰水浴中で30分反応させる。

酸化剤の消費量を酸素量に換算して表す。

亜硝酸塩は、CODの測定結果に影響を及ぼす。

正常な浄化槽の処理水のBOD/CODの比は、1より小さい。<--CODの方が大きい。

一般に、生物処理の進行に伴って、BOD/CODの値が低くなる。

公定法のBODに比べて、短時間で測定できる。

亜硝酸性窒素の存在はCODの測定に影響を与える。

亜硝酸性窒素1mgに対してCODが1.14mg増加する。

CODとは、水中の被酸化物質の指標で、BODと相関が高い。

必要が最も少ない粒状活性炭

ある浄化槽の二次処理水のCODを低減するため、5種類の粒状活性炭によるCOD吸着特性を求めたところ、 下図に示すCODの平衡濃度(mg/L)と平衡吸着量(g-COD/kg-粒状活性炭)の関係が得られた。 この結果に基づくと、COD50mg/Lの二次処理水100LをCODの平衡濃度10mg/Lとするための必要量が最も少ない粒状活性炭は、 (1)~(5)のうちどれか。

COD50mg/Lの二次処理水をCODの平衡濃度10mg/Lとするために一番多く吸着してくれるのは(1)だから、 (1)の必要量が最も少なくて済む。

酸化還元反応

酸化還元反応において、酸化とは物質が電子を失うことであり、還元とは物質が電子を得ることである。 以下の化学式で示されるように、硫酸イオンは嫌気的な条件下で微生物の働きにより還元され、 有機物質である酢酸が酸化されることで硫化水素を生成する。

SO42- + CH3COOH → H2S + 2CO2 + 2OH-

硝化

硝化とは好気条件下でアンモニアNH4+から亜硝酸NO2-、 硝酸NO3-への反応のことで、亜硝酸菌と硝酸菌がそれぞれ関与している。 この両者の細菌を硝化菌という。

硝化と脱窒は、一種の酸化還元反応であるが、いずれも生物が関与して起こる反応である。

硝化反応は次式の通りである。

NH4+ + 1.5O2 → NO2- + H2O + 2H+

NO2- + 0.5O2 → NO3-

2H+ + CaCO3(アルカリ度) → Ca2+ + CO2 + H2O

アンモニア性窒素は、酸化されると亜硝酸性窒素あるいは硝酸性窒素になる。

硝化工程でアルカリ度(CaCO3)が不足すると、水素イオン(H+)が増加し、pHが低下し、処理機能に影響を与える。

硝化細菌は、一般的な従属栄養細菌に比較して増殖速度が小さい。

硝化細菌は、嫌気的条件では増殖しない。

NO2--Nに酸化される際に消費される酸素量を求める問題

NH4+-N 14mgがNO2--Nに酸化される際に消費される酸素量を求めよ。 ただし、反応は下式に従うものとし、H, N, Oの原子量はそれぞれ1, 14, 16とする。

NH4+ + 1.5O2 → NO2- + H2O + 2H+

《解》
1モルのアンモニア性窒素に対して、1.5モルの酸素が必要だから、
1.5 = x / 32 ∴ x = 48mg

浄化槽の水質評価における亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素

亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の検出は、酸化の進行状況を把握するための有効な手段である。

浄化槽の運転初期においては、増殖速度の遅い硝化菌よりもBOD除去に関与する細菌群が増殖するため、硝化反応はほとんど進行しない。

浄化槽では、亜硝酸性窒素は硝化が進行する過渡期に一時的に高濃度に検出されることがあるが、通常はその後速やかに硝酸化が進行する。

みなし浄化槽では、硝化反応が亜硝酸の段階で停止する場合がある。

消毒過程において、消毒剤は亜硝酸性窒素の酸化に消費される。

水素供与体

水素供与体とは、生物化学的酸化還元反応において、水素を供給する還元物質であり、 汚水中の有機物質、メタノールなどが該当する。

尿を主体とする汚水の脱窒工程で、BOD/窒素比(BOD/N比)が3以下となるような場合、 水素供与体として有機炭素源のメタノールを注入する。

脱窒

脱窒とは、嫌気性条件下で脱窒細菌が遊離している酸素のかわりに、 硝酸あるいは亜硝酸などの結合型酸素を用いることにより窒素ガスを発生する反応のことをいう。

脱窒反応は次式の通りである。

2NO3- + 10H → N2 + 4H2O + 2OH-

2NO2- + 6H → N2 + 2H2O + 2OH-

N2O + 2H → N2 + H2O

浄化槽で通常生じる脱窒反応では、有機炭素源水素供与体として必要である。

脱窒には、水素供与体(有機炭素源)が必要である。 実験値として、水素供給体にBOD源を用いれば、硝酸性窒素1kgに対して2.0~3.0kg以上、 メタノールであれば2.8kg以上必要である。

溶存酸素は、硝化工程では、1.0mg/L以上必要であるが、 脱窒工程では無酸素条件が要求される。

脱窒工程の至適pHは6~8程度と言われている。

浄化槽で通常生じる脱窒反応

好気条件下ではなく、嫌気条件下で進行する。

脱窒細菌の酸化作用では、還元作用による。

水素供与体として有機炭素源が必要である。

pHが低いほど反応が反応が速いわけはなく、至適pHは6~8程度とされている。

大気中の窒素ガスが同定されるのではなく、窒素ガスが生成される。

アナモックス法(anammox, anaerobic ammonium oxidation)

アナモックス細菌を利用した嫌気性アンモニア酸化反応。 嫌気性アンモニア酸化(anammox)は無酸素条件下において、 亜硝酸性窒素を電子受容体として用いることにより、 アンモニア性窒素を直接窒素ガスに変換することのできる生物学的プロセスである。 anammoxプロセスは従来の窒素除去法に代わる新規のプロセスとして期待されている。 従来の窒素除去プロセスである硝化・脱窒法と比較すると、 部分硝化及びanammoxプロセスを組み合わせた複合プロセスを窒素除去に適用することによって、 酸素曝気及び外来電子供与体の供給により発生する費用を大幅に削減することが可能となる。

生物学的硝化脱窒法

生物学的硝化脱窒法は、硝化工程と脱窒工程に分割される。 このうち硝化工程は、排水中のアンモニア(NH4)を亜硝酸(NO2)経由で 硝酸(NO3)まで酸化する反応である。 そしてここに関与する微生物が硝化細菌で、 これらは反応槽内に十分な溶存酸素の存在が絶対条件となる好気性細菌である。 この硝化細菌は、アンモニアを亜硝酸に酸化するアンモニア酸化細菌と 亜硝酸から硝酸に酸化する亜硝酸酸化細菌に分けられる。 また一般的な活性汚泥中に生育している細菌の多くは、 有機物の炭素源をエネルギー源とする従属栄養細菌ですが、 硝化細菌の場合は、無機炭素(CO2)を炭素源にして アンモニアを酸化する過程で生成するエネルギーを使う独立栄養細菌である。

生物学的硝化脱窒法の基本的概念を確立したのは、Wuhrmann(ウールマン)と言われている。 Wuhrmannは、硝化作用と脱窒作用をそれぞれ独立した槽で行わせ、 それぞれの槽で細菌作用に最も適合した条件を与えれば窒素除去率が向上することを認めた。 そのような結果から、脱窒細菌が硝酸塩を還元するのに必要な水素供給体(有機炭素源)を加えないで、 硝化処理水中の残存有機物質と細胞内物質を内生呼吸により効果的に利用し、 脱窒を行うWuhrmann方式を確立した。

一方、Bringmann(ブリングマン)は、脱窒細菌が必要とする水素供給体として、 汚水に含まれている有機物質以外に、脱窒槽にメタノールなどの有機炭素源を 添加することにより脱窒速度が飛躍的に上昇することを認め、Bringmann方式を開発した。 有機炭素源として、メタノールが多用されるのは、汚泥転換率が低く、安価であることによる。

生物学的硝化脱窒法では、槽内の水温が13℃を下回らないこと、 実流入汚水量が計画汚水量を大幅に下回らないこと、 流入汚水のBOD濃度は窒素濃度の3倍を下回らないこと(硝化液循環活性汚泥方式の場合)が、 処理性能を維持するための条件である。

ウールマン方式とは、脱窒細菌が硝酸塩を還元するため、 硝化液中の残存有機物質の利用に加えて、細胞内物質を内生呼吸により効果的に利用し、脱窒を行う方法である。

凝集

汚水や処理水中に懸濁している粒子は、大きさが広い範囲に分布している。 1~10μm程度までの粒子は、沈降分離やろ過によって水と分離することができるが、 1μm以下であるとそのままでは沈降分離することが困難である。 0.001~1μmの範囲の大きさの粒子はコロイド粒子といわれ、 粒子表面が負に帯電していることが多いため、 相互に反発して水中に分散している。 したがって、水中に分散している粒子を集合させ、 大きな粒子に変えることにより、沈降分離しやすくなる。これを凝集という。

一般に、し尿や汚水中の粒子は、負に帯電し、相互に反発しているため、この反発力を弱める正に帯電した多価イオンを与えると、 各粒子が衝突して引き合いフロックを形成し、大きなフロックへ成長する。 こうした目的で用いられる薬剤を凝集剤という。

凝集反応は、浮遊物質、残存有機物質、色度などを除去する高度処理法として沈殿や砂ろ過と組み合せて行われるが、 リンの除去法としても有効な方法である。 また、凝集反応はpHや撹拌条件、水温、共存塩類等によって影響される。

凝集剤には、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸第一鉄(FeSO4)、硫酸第二鉄(Fe2(SO4)3)、 塩化第二鉄(FeCl3)などの無機凝集剤とポリアクリルアミドやポリエチレンイミン硫酸塩などの有機凝集剤がある。

二次処理水中に残存している浮遊物質やコロイド粒子、色度成分などを除去するには凝集分離、 凝集沈殿、凝集浮上が極めて有効である。 こうした微細な粒子を除去しうることから、有機物質除去の面からも極めて有効で、 BOD、CODの除去効率が高く、リン除去に関しても確実で効果の高い処理法とされている。

凝集処理は汚泥生成量の増加を伴う。

凝集分離装置での使用薬剤は凝集剤(硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄など), pH調製剤などである。

凝集槽の設計に関する因子として、撹拌速度、リン濃度、pH、総アルカリ度がある。 窒素濃度は凝集槽の設計に関する因子に該当しない。

ジャーテスト(Jar test)

凝集処理における最適な凝集剤添加量及びpH条件凝集助剤の効果等を調べるために、ジャーテスタを用いて行う凝集試験。

凝集処理

生物処理中に硫酸バンドを添加した場合、 不溶性の水酸化アルミニウムが生成され、それが水中の微細粒子を吸着する。

リンを含む生物処理水中にアルミニウム塩を添加すると、 不溶性のリン酸アルミニウムを形成して沈殿する。
硫酸バンドで処理した場合)
2PO43- + Al2(SO4)3 → 2AlPO4 + 3SO42-

凝集剤の注入量は、一般的にはジャーテストによって求められる。

凝集は生物処理水中に残存している色度成分の除去にも有効である。

水中で負に帯電している微細な粒子は、無機凝集剤(陽イオン性)を添加することにより、フロックが形成しやすくなる。

し尿や汚水中の粒子は、負に帯電し、相互に反発しているため、この反発力を弱める正に帯電した多価イオンを与えると、 各粒子が衝突して凝集し、大きなフロックを形成する。

凝集処理法

二次処理水中に残存している浮遊物質やコロイド粒子、色度成分などを除去するには凝集分離、 すなわち凝集沈殿あるいは凝集浮上が極めて有効である。こうした微細な粒子を除去しうることから、 有機物質除去の面からも極めて有効で、BOD、CODの除去効率が高く、 リン除去に関しても唯一確実で効果の高い処理法とされている。

アルカリ度

水中に含まれる重炭酸塩、炭酸塩または水酸化物のアルカリ分の指標で、 炭酸カルシウム(CaCO3)に換算してmg/Lで表したもの。

凝集剤

汚水処理に使用される凝集剤には数多くの種類があるが、代表的には次のような無機凝集剤が使用されている。

1) 硫酸アルミニウム(硫酸バンド) Al2(SO4)3・18H2O

2) 塩化第二鉄 FeCl3

3) ポリ塩化アルミニウム(PAC) [Al2(OH)nCl6-n]m (1≦n≦5, 1≦m≦10)

汚水処理に使用されている無機系凝集剤

硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄(FeCl3)、ポリ硫酸第二鉄

ポリアクリルアミドは誤り。ポリアクリルアミドは高分子凝集剤(有機凝集剤)の一種である。

有機物質(COD)除去に関わる化学反応

生物処理水中のアルカリ分の大部分は、重炭酸塩(HCO3-, 炭酸水素イオン, 重炭酸イオン)であると推測されている。

生物処理水中に硫酸アルミニウム(通称、硫酸バンド:Al2(SO4)3・18H2O)を添加した場合、 水中のアルカリ分(炭酸水素カルシウム)と次式のような化学反応が生じる。

Al2(SO4)3・18H2O + 3Ca(HCO3)2 → 3CaSO4 + 6CO2 + 18H2O + 2Al(OH)3

アルカリ度とアルミニウムイオンが反応して不溶性の水酸化アルミニウム(Al(OH)3)が生成され、 それが水中の微細粒子を吸着し、次第に大きなフロックを形成後、沈殿する。 水中のアルカリ分が不足していると水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を生成しないので、このような場合にはアルカリ剤を添加しなければならない。

この反応に伴い、硫酸アルミニウム1mg/Lの注入により失われるアルカリ度は0.45mg/Lであり、 アルカリ度が不足すると上式の化学反応は進行しない。 なお、PAC(ポリ塩化アルミニウム:[Al2(OH)nCl6-n]m)の場合のアルカリ度消費量は、 PAC1mg/L当たり0.15mg/Lであり、硫酸アルミニウムより少ない。

一方、水中で負に帯電して互いに反発しあって分散している微細な粒子については、 無機凝集剤(陽イオン)を添加することにより、 粒子間の電気的反発力を中和し、粒子を相互に結合してフロックを形成後、沈殿する。

処理水質の評価

アルカリ度は、硝化によって増加し脱窒によって減少するというのは誤り。 アルカリ度(CaCO3)は、硝化によって減少し、脱窒によって増加する。

SSの増加は、BOD及びCODを増加させる。

透視度は、BODを推定する指標として有効である。

BODは、硝化に伴い増加することがある。

塩化物イオンは、通常の使用状態では生物処理には影響しない。

凝集分離装置

凝集分離装置は、通常の生物処理に凝集分離を付加し、 BOD、SSなどの高度処理を行う場合(放流水のBODが10mg/L以下CODが15mg/L以下)と脱リン処理を行う場合(T-Pが1mg/L以下)に採用されるものである。 凝集分離装置の構成は、中間流量調整槽、凝集槽、凝集沈殿槽をこの順で組み合わせたものである。

凝集沈殿方式とは、二次処理水に凝集剤を注入した後、 急速撹拌槽で、槽内を激しく撹拌して生物処理と凝集剤とを混和し、微細なフロックを形成させる。 次に緩速撹拌槽で、形成したフロックを大きくするために緩やかに撹拌し、凝集沈殿槽において容易に分離できる状態へ変化させ、BODやリンの除去を目的としたものである。 その際、流出SS中に含まれる硝化細菌も減少し、N-BODの割合が低下することもある。 また、凝集過程において溶解性BOD成分も除去されることがある。そのためには、凝集反応が適正に行われることが必要である。

沈殿分離槽あるいは流量調整槽が前置された場合でも中間調整槽を設置するのは、凝集沈殿工程が適正に運転できるようにするためである。 さらに、必要に応じて凝集における適正なpHを調整するためのpH調整剤やフロックを成長させるための高分子凝集剤などの凝集助剤を添加する設備が設けられている。

凝集分離装置の緩速撹拌槽

急速撹拌槽において、凝集剤が十分に混和されて生成した微細なフロックをさらに緩速撹拌層で撹拌混合することによって、 より大きなフロックに成長させる。

フロックが認められても、上澄水が懸濁している場合には、凝集剤の添加量が原因と考えられる。

フロックの成長及び強度の増加を目的として、高分子凝集剤を凝集助剤として添加する場合がある。

フロック形成状況の点検には、目視によって粗大フロックの生成状況を確認する。

凝集剤として硫酸バンドを、凝集助剤としてポリマーを使用している凝集分離装置において発生する不具合とその対策

急速撹拌槽でのスカムの発生-->スカムを移送する。

緩速撹拌槽でのフロックの微細化-->撹拌強度を上げるのは誤り。

薬剤貯蔵槽でのゼリー状のポリマーの残留-->ポリマー粉末を少量ずつ水に溶解させる。

凝集剤注入配管の閉塞-->定期的に配管系統を洗浄する。

貯留した凝集剤の効力の低下-->溶解させた凝集剤を長時間保存しない。

ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite, 水酸アパタイト, ハイドロキシアパタイト)

ヒドロキシアパタイトは、燐灰石のうち、1価の陰イオンとして水酸基を主に含むものの総称で、 人間をはじめとする脊椎動物の歯や骨といった硬組織の主要構成成分である。

オルトリン酸イオン(PO43-)を含む水に消石灰(Ca(OH)2)を加えた時、 結晶物質であるヒドロキシアパタイト(Ca5(OH)(PO4)3)が生成する。

リン除去に関わる化学反応

リン除去に無機凝集剤として、アルミニウム塩、鉄塩、カルシウム塩を用いた場合、 それぞれ(1)、(2)、(3)に示す化学反応に従って不溶性のリン酸アルミニウム、リン酸第二鉄あるいはヒドロキシアパタイトを生成する。 また、これらのイオンは、凝集性を持つ水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、 水酸化第二鉄(Fe(OH)3)、炭酸カルシウム(CaCO3)を生成するが、 これらが不溶性化合物を吸着しながら沈殿していく。

Al3+ + PO43- → AlPO4↓ ---(1)

Fe3+ + PO43- → FePO4↓ ---(2)

5Ca2+ + 7OH- + 3H2PO4-Ca5(OH)(PO4)3↓ + 6H2O ---(3)

フォストリップ法(PhoStrip method)

活性汚泥法のリン除去効果を高めるため、微生物のリンの過剰摂取に着目して開発された処理法。 汚泥返送ラインの途中にリンの放出槽及び石灰混合槽を設ける。

リン除去技術

フォストリップ法は、嫌気・好気法と化学的脱リン法を組み合わせた方法である。

フォストリップ法(phostrip method)では、リン濃縮液に石灰を添加する。

嫌気・好気法では、嫌気状態でリンは放出され、好気状態ではリンは過剰に摂取される。

嫌気・好気法は、嫌気状態でリンを放出し、好気状態でリンを過剰摂取する特性を利用した方法である。

凝集沈殿法では、アルミニウム塩(Al2(SO4)3)が用いられる。

晶析脱リン法では、脱炭酸槽が必要である。

生物・化学的同時処理法では、凝集剤を添加してリン化合物としてリンは除去される。

生物・化学的同時処理法は、ばっ気槽に凝集剤を添加し、 有機物質とリンを同時に除去する方法である。

凝集沈殿法は、原水あるいは二次処理水に凝集剤を添加し、 リン化合物として沈殿分離する方法である。

晶析脱リン法は、ヒドロキシアパタイトの晶析現象を利用した方法である。

生物学的リン除去法の嫌気槽における酸化還元電位の測定は、嫌気状態の運転管理に有効である。

イオン交換法は、活性炭の吸着能力を利用した方法であるというのは誤り。 イオン交換法は、活性アルミナ、陰イオン交換樹脂等による吸着・交換能力を利用した方法である。

イオン交換法は、アンモニウムイオンに対して選択性のあるイオン交換体を用いて、アンモニウムイオンを除去する方法である。

アンモニアストリッピング法は、汚水のpHを高くして、汚水中のアンモニウムイオンをアンモニアに変え、ガスとして放出する方法である。

不連続点塩素処理法は、塩素の水和物がアンモニア性窒素と当量点で反応し、窒素ガスとして放出する方法である。

鉄電解方式のリン除去型小型浄化槽

電極に直流電流を流すと、陽極から2価の鉄イオンが水中に溶けだす。 2価の鉄イオンは水中の溶存酸素により、3価の鉄イオンに変わる。 3価の鉄イオンが、水中のリン酸イオンと反応して不溶性のリン酸鉄となる。

MAP法(Magnesium Ammonium Phosphate method)

MAP法(Magnesium Ammonium Phosphate method)では、 マグネシウム塩を添加してMAPとしてリンは除去される。

排水中のリンを、アルカリ領域でマグネシウム剤を添加し、アンモニア存在下でリン酸アンモニウムとして回収する技術。

窒素除去

硝化工程では、溶存酸素がある程度存在しないと硝化細菌の増殖が抑制される。

硝化細菌及び脱窒細菌の増殖・活性についての至適pHは、いずれも中性付近である。

汚水中に占める尿の割合が高い場合は、脱窒のためのBOD源が不足する。

窒素は微生物体の構成元素であり、汚泥の引き抜きによっても除去される。

窒素除去は、硝化工程と脱窒工程から成り、それぞれ生物学的酸化反応、 生物学的還元反応によって進行する。

硝化工程は水温の影響を強く受けるので、 構造基準では13℃を標準としている。

BOD/N比が3以下の場合は、水素供与体の添加が必要である。

硝化工程でアルカリ度が不足すると、pHが低下し、処理機能に影響を与える。

膜分離

膜分離とは、分離膜の細孔の大きさと、圧力差濃度差あるいは電位差などにより対象物質を分離する操作である。 分離膜の形状には平膜型、管状(チューブラー)型、中空繊維(ホローファイバー)型があり、 このような分離膜などを一体化したものはエレメント、さらにエレメントの集合体をモジュールと称している。

精密ろ過膜の場合、一般的な操作圧力(3~30kPa)において、単位面積当たりのろ過水量(透過流速、フラックスともいう)は、 0.2~2m3/(m2・日)程度である。

膜分離の種類

分離膜 分離対象物質 操作圧力
精密ろ過(MF)膜
(Microfiltration)
懸濁粒子(細菌を含む), コロイド
粒子径 > 0.05μm
3~50kPa
限外ろ過(UF)膜
(Ultrafiltration)
溶解性高分子(タンパク質, デンプン等)
コロイド, ウィルス
200~500kPa
ナノろ過(NF)膜
(Nanofiltration)
二価イオン(硬度成分など)、界面活性剤
分子量200以上の有機物質
0.5~2MPa
逆浸透(RO)膜
(Reverse osmosis)
無機イオン(Na+, Cl-など)
低分子量有機物質
1~10MPa

汚水処理に利用される精密ろ過膜で分離可能な物質は細菌である。

MF膜のろ過水にはSS、大腸菌群は含まれず処理水質の高度化が図れる。 膜分離ではSS及び大腸菌などの菌までも除去できる。

ファウリング(fouling)

流入水に含まれる難溶性物質や高分子の溶質、コロイド、SSなどが膜に沈着して透過能力を低下させる現象。 沈着が膜内に起こった場合は、目詰まりという。

膜が目詰まりすることをファウリングといい、膜のろ過水量が減少した場合は、 次亜塩素酸ナトリウムなどで洗浄する必要がある。 薬品で洗浄してもろ過水量が回復しない場合は膜の交換が必要になる。

消毒

生存する微生物を殺滅、除去し、減少させることによって、微生物の感染能力を奪うこと。

滅菌

全ての微生物を完全に死滅させること。

塩素化イソシアヌル酸(trichloroisocyanuric acid)

主に塩素化剤、殺菌剤、脱臭剤、殺菌剤などに使われる白色結晶性粉末で、強い塩素臭を持つ。

塩素消毒

消毒用錠剤の成分として、塩素化イソシアヌール酸が利用できる。

塩素消毒は、塩素の酸化作用を利用している。

薬剤筒は、消毒剤が点検頻度に見合った期間保持できる容量とする。

現在使用されている主な消毒剤は、次亜塩素酸カルシウム錠と塩素化イソシアノール酸錠の2種類である。

消毒剤は、通常1錠当たり100~200g程度である。

有効塩素量70~90%の消毒剤が使用されている。

処理水中の塩素濃度が5~10mg/Lとなるように添加量を設定するのが一般的である。

塩素消毒に用いられる消毒剤には、液体塩素、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム(さらし粉, Ca(ClO)2)、 塩素化イソシアヌール酸などがあるが、浄化槽では、次亜塩素酸カルシウムや塩素化イソシアヌール酸の錠剤が多く用いられている。

塩素は酸化剤であるため、塩素還元物質と反応すると、自ら還元され、相手を酸化することになり、一種の酸化還元反応を生じる。

塩素は水に溶けると、次のような反応を起こす。

Cl2 + H2O   HClO(次亜塩素酸) + HCl

さらに、次亜塩素酸は解離して、水素イオンと次亜塩素酸イオンを生成する。

HClO   H+ + ClO-

この際、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンが微生物に対する消毒効果を有する。 次亜塩素酸イオンよりも次亜塩素酸のほうが消毒効果が高い。 この反応はpHに依存するので、pHが低いほど、水素イオンが多いほど、 次亜塩素酸が多く存在する反応となるため、消毒効果は高くなる。

現場作業における感染症予防策で用いる消毒用の薬剤として、 陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、イソプロパノール、エタノールがある。 陰イオン界面活性剤に殺菌効果はない。

処理水中のアンモニア性窒素濃度が高いと、塩素消費量が多くなる。

無機系塩素剤(次亜塩素酸カルシウム)は有効塩素量が少なく、溶解速度が速い。 有機系塩素剤(塩素化イソシアヌール酸)は有効塩素量が多く、溶解速度が遅い。 無機系塩素剤と有機系塩素剤を混合させると危険である。

次亜塩素酸は、次亜塩素酸イオンより消毒効果が高い。

無機系塩素剤は次亜塩素酸カルシウム、 有機系塩素剤は塩素化イソシアヌール酸が使われている。

消毒剤の溶解速度は、有機系塩素剤より無機系塩素剤のほうが速い。

消毒装置から発生する塩素ガスは腐食性の強いガスである。

遊離塩素には、塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオンがある。

結合塩素は、遊離塩素とアンモニアが反応して生成される。

結合塩素よりも遊離塩素の方が消毒効果は強い。

処理水中に残留塩素が検出される場合には、大腸菌群数が十分に減少していると判断できる。

残留塩素濃度から遊離残留塩素濃度を減じたものが、結合残留塩素濃度である。

加水分解

塩化ナトリウムNaClや硫酸ナトリウムNa2SO4などの水溶液は中性を示すが、 炭酸ナトリウムNa2CO3や酢酸ナトリウムCH3COONaなどの水溶液はアルカリ性を示し、 硫酸銅CuSO4や塩化アンモニウムNH4Clなどの水溶液は酸性を示す。

このように、塩を水に溶かした場合、その解離により生じた一方のイオンまたは両方のイオンが水と作用し、 酸性またはアルカリ性を示す現象を加水分解という。 ここでいう塩とは、酸と塩基の反応によって生成される物質のことである。

(例) HCl(酸) + NaOH(塩基) → NaCl + H2O

例えば、炭酸ナトリウムを水に溶かすと、次のような反応が生じる。

Na2CO3 → 2Na+ + CO32-

H2 → H+ + OH-

ここで、Na+とOH-は結合しにくいため、

CO32- + H+ → HCO3-

の反応が進行し、H+が減少するため、水溶液はアルカリ性になる。すなわち、

CO32- + H2O → HCO3- + OH-

の反応となる。

有機物質についても、水との反応によって加水分解を行う。 例えば、エステルの分解による酸、アルコールの生成やタンパク質の分解によるアミノ酸の生成などがその例である。

RCOOR' + H2O → RCOOH + R'OH

これらの反応は水だけでは遅いため、酸、アルカリ、または酵素の作用により反応が促進される。 タンパク質や糖類などの高分子の有機物質は、いくつかの加水分解酵素の作用で可溶化し、アミノ酸や単糖類などの構成物質に分解され、 さらに低級脂肪酸(酢酸、プロピオン酸等)やアルコールなどの中間体まで代謝される。

汚水処理に関する化学反応の組合せ

炭酸ナトリウムの水溶液がアルカリ性を示す。-->加水分解

強い酸性を示す汚水にアルカリを加えて調整する。-->中和

タンパク質が酵素で分解されてアミノ酸が生成する。-->加水分解

塩素化イソシアヌール酸が水に溶けて消毒作用を示す。-->酸化還元

pH(potential of Hydrogen), 水素イオン濃度指数

pHとは、水の酸性あるいはアルカリ性の程度を表す指標で、25℃でpH7を中性、7未満を酸性、7を超えるとアルカリ性という。

pHは、水素イオン濃度を[H+]とすると、pH = -log10[H+]で求めることになる。

水素イオン濃度が高いほどpHは小さくなる。

水素イオン濃度が低いほどpHは大きくなる。

有機物質中の窒素が酸化され、NO2-やNO3-を生成していくと pHは低下し、特に硝化が著しく進行すると、処理水のpHは5以下になることもある。

生物処理に関与する多くの微生物において、最適pHは6.5~7.5といわれている。通常の運転では、原水中のアルカリ分により、 若干のpH変化は緩衝されて中性付近に維持される。放流水のpHは5.8~8.6が望ましいとされているが、この値から外れた場合には、 放流基準に合わないため保守点検上の対応が必要となる。

生物処理に関与する多くの微生物の最適pHは、中性付近である。

流入汚水のpHは、排出源の直接の影響を受けるため、大きく変動することがある。

一次処理装置流出水では、アンモニアの溶出によりpHが上昇することがある。

二次処理装置において硝化が進行しない場合には、pHの大きな低下は認められず、弱アルカリ性を示すことが多い。

ばっ気槽内水に比べて沈殿槽流出水のpHが上昇した場合には、沈殿槽において堆積した汚泥によって脱窒反応が進行したものと考えられる。

流入負荷が小さい場合、硝化の進行に伴い、pHの低下を生ずることがある。

水温の高い時期などには、蓄積した汚泥の嫌気性分解が進行し、一次処理装置からの流出水のpHが6.5前後を示すことがある。

接触ばっ気槽に比べて沈殿槽流出水のpHが高い場合、脱窒反応の進行が考えられる。

流入汚水が異常なpHを示した場合には薬品の混入が考えられる。 pHが著しく低い場合は、酸性洗剤が原因の可能性がある。 し尿系汚水の場合は、pH7.5前後となる。

嫌気性分解の進行により有機酸が生成すると、嫌気ろ床槽流出水のpHは低下する。

汚泥の可溶化によりアンモニアが生成すると、沈殿分離槽流出水のpHは上昇する。

接触ばっ気槽で硝化反応が進行した場合、pHの低下を生ずる。

pH計

水素イオン濃度の異なる2種類の液体がごく薄いガラスの膜を境にして接すると、 水素イオンだけが膜を通過し、膜の両側に電位差が生じる。 この現象を応用したのがpH計でガラス電極比較電極から構成される。 現場で用いられる携帯用pH計の多くは、これらの電極が1本の電極になった複合電極が用いられている。

ORP(Oxidation-reduction potential)

酸化還元平衡の成立している溶液に化学的に安定な金属(例えば、白金)の電極を入れると、 溶液と電極の間に電位差が生じる。この電位は、 酸化還元電位(ORP)といわれ、負の場合が還元状態、正の場合が酸化状態であることを示す。

酸化還元電位(ORP)とは、溶液の酸化力や還元力の強さを表す指標であり、 生物学的硝化脱窒法生物学的リン除去法において、 嫌気槽や好気槽の酸化還元状態を把握するために用いられる。

ORPの測定には電極法が用いられる。試料に白金電極比較電極を入れると、 電極の表面と溶液の間に電位が発生し、これが酸化還元電位に相当する。 通常は、白金電極と比較電極が一体となった複合電極が用いられる。

ORP標準液には、フタル酸水素カリウムキンヒドロンを加えた液や 中性リン酸塩キンヒドロンを加えた液が用いられる。

電極は、定期的にスパン校正するのではなく、測定した電位が規定値と 20mV以上異なっている場合、金属電極の表面をサンドペーパー等で軽く研磨するか、 希硝酸中に数分間浸して電極の再生処理を行う。

ORPの電極は白金電極と比較電極から構成されている。

電位が正の場合が酸化状態、負の場合が還元状態である。

電極の再生は、電極の表面をサンドペーパー等で軽く研磨する。

ORPは、硝化・脱窒反応の進行状況を示す指標として用いられる。

ORPは、比較電極として標準水素電極を用いた場合の値を基準としている。

DO(Dissolved Oxygen, 溶存酸素量)

溶存酸素は、水中に溶解している分子状の酸素をいう。

好気性処理において、処理が効率よく進行するために必要なDOを維持する必要がある。一方、 脱窒工程等の嫌気性処理においては、DOを0付近に保たなければならないため、DOの管理が重要となる。

みなし浄化槽(単独処理浄化槽)では、0.3mg/L以上、合併浄化槽では1.0mg/L以上がそれぞれ示されている。

飽和溶存酸素は、水温が低いほど多くなり、水温が高いほど少なくなる。

DOは夏に低く、冬に高くなる傾向を示す。

接触材に付着している生物量が多いと、DOは低下しやすい。

散気装置に目詰まりがあると、DOは低下する。

生物膜が肥厚化すると、接触材充填部にDO不足となる場所が生じやすい。

接触材の底部まで旋回流が生じていない場合などに、DOが低いことがある。

DOの測定方法は、隔膜電極法 または ウィンクラー・アジ化ナトリウム変法により行う。

DOが高い原因が過ばっ気であった場合、汚泥の解体現象が生じることがある。

DOとは、水中に溶けている酸素のことで、 水温が高くなるほど飽和濃度は低くなる。

ウィンクラー・アジ化ナトリウム変法(よう素滴定法)で測定する場合、溶存酸素は、水酸化マンガンを用いて固定する。

海水の飽和溶存酸素濃度は、同じ温度の飽和溶存酸素濃度より低い。

溶存酸素を隔膜電極法で測定する場合には、現場で測定する。

ばっ気槽のDOがほぼ0mg/L付近にあるとき、アンモニア態窒素(NH4+-N)が増加している場合、 流入水中のアンモニア態窒素によるものと判断される。

DOは、水中に溶解している分子状酸素であり、水温や塩分によって飽和溶存酸素量は変化する。 隔膜電極法ではDO計の電極先端部にポリエチレンやテフロンの隔膜が取り付けてあり、 そこを通過した酸素が電極の表面で還元される。 ガルバニ電池式では、その時の電流値を測定して酸素量を求めている。 なお、DO計を用いる場合は、事前に校正が必要である。

よう素滴定法(ウィンクラー・アジ化ナトリウム変法)

試料に硫酸マンガン、水酸化ナトリウム(または水酸カリウム)及びヨウ化カリウム(またはヨウ化ナトリウム)を加えると、 DOが存在すればそれに対応した水酸化マンガン(Ⅲ)が生成する(溶存酸素の固定)。 硫酸を加え、DOに対応するヨウ素を遊離させ、これをチオ硫酸ナトリウムで滴定して濃度を求める。 亜硝酸イオンがあるとヨウ素を遊離して妨害するので、これを除去するためにアジ化ナトリウムを加える。

ミズワタ

ミズワタは、グラム陰性の強腐水性の流水中に綿状に繁殖する好気性の細菌。

放流先の排水路底部にミズワタの群体があったり、 ヘドロが堆積したりしている場合は、処理機能の低下が考えられる。

沈殿槽の集水樋(とい)内にミズワタの群体が見られるのは、 長期的な処理機能の低下が疑われる。

浄化槽における臭気、色、発砲等の外観

腐敗臭やし尿臭が強い場合は、流入BODが高く生物処理が不十分なことが考えられる。

発泡は、汚濁物質が分解して低分子化する際に、ばっ気の物質的な力が加わって生じる場合がある。

処理水が着色している場合は、トイレの芳香洗浄剤の流入が考えられる。

放流先の升に黒色の汚泥が多量に堆積している場合は、浄化槽からの汚泥の流出が考えられる。

放流先の排水路に多量のミズワタの群体が見られる場合は、処理水質が良好と考えられるというのは誤り。 放流先の排水路底部にミズワタの群体があったり、ヘドロが堆積したりしている場合は、処理機能の低下が考えられる。

ミジンコ

BOD負荷が著しく低く、硝化が進行している場合にミジンコが発生する。

ミジンコが生物膜を餌として食い荒らすため、 生物膜の解体により処理水のSSが上昇する。

ミジンコは、その運動と捕食活動によって生物膜を分散させる。

ミジンコは、好気性生物であるから嫌気的条件に弱い。

ミジンコが多量に発生すると、処理水のBODが上昇することがある。

原生動物

原生動物は原虫ともいわれ、細菌類と同様、単細胞生物であり、 生物処理で役割を果たしている。原生動物の大きさは、30~100μm前後のものが多い。

原生動物は、水温や溶存酸素濃度(DO)、生物体に対する栄養源の割合などの環境条件により出現する種類が異なるため、 生物処理の良否を判定する指標としてよく利用される。

原生動物の固着型のVolticella属(ボルティケラ, ツリガネムシ)が多く観察されると処理水質は良好であり、 負荷が極めて高いとOicomonas属(オイコモナス)が出現する。 有害物質が流入すると匍匐型のAspidisca属(アスピディスカ)が急激に減少する。

核膜を持たない原核生物であるというのは誤り。 原生動物は、核膜を持つ真核生物である。

後生動物

後生動物は、原生動物を除いた動物(多細胞)の総称である。 汚水処理で出現する後生動物の多くは数mm以下であるので、微小後生動物といわれる。

微小後生動物は、細菌類や原生動物等を摂取するため、 汚泥の減量にもつながる。 ただし、微小後生動物が異常に増殖すると、フロックや生物膜を破壊し、処理水質を悪化させることがある。

汚水処理は、細菌類による汚泥物質の摂取から始まり、 汚泥物質(有機物質)→細菌→原生動物→微小後生動物といった食物連鎖により、生物相が変化していくことによって浄化が進行する。 ただし、細菌は微小後生動物や原生動物の死骸も摂取し分解する。

細菌類、原生動物は単細胞生物で、微小後生動物は多細胞生物である。

生物処理に出現する代表的な微小後生動物には、 Aeolosoma属(アエオロソマ), Macrobiotus属(マクロビオツス), Philodina属(フィロディナ), Monostyla属(モノスティラ), Chaetonotus属(カエトノツス), Cyclops属(キクロプス) がいる。AMPMCCと覚える。

微小後生動物は、有機物質濃度が比較的低い場合に出現する。

微小後生動物の大きさは数mm以下程度であり、肉眼でも識別可能なものもある。 細菌類、原生動物を捕食する。有機物質が少ない状況で出現するため、 良好な処理水質の指標生物とされる。

微小後生動物の種類

Philodina(フィロディナ, ヒルガタワムシ)---良好期から解体期にかけてみられる。溶存酸素濃度が高いときに多く出現する。

Aeolosoma(アエオロソマ, アブラミミズ)---硝化が進んでいるときに出現する。

Cyclops(キクロプス, ケンミジンコ)

Moina(モイナ, タマミジンコ)

Physa(フィサ, サカマキガイ)---浄化槽内に繁殖すると生物膜(バクテリア層)を食べてしまう。

微生物の増殖速度を大きい順に並べると、 細菌類>原生動物>微小後生動物となる。

活性汚泥(Activated sludge)

有機性汚水を容器内に入れて空気を供給してばっ気し、 時々汚水を加えて何日かばっ気を続けると浮遊物質が生成し、次第に容積を増しながら形成される凝集体。

活性汚泥は、細菌を主とした微生物の集合体である。

活性汚泥の色相を3種類に分類した場合、ばっ気槽の溶存酸素量として、 DOが適量の場合は茶褐色で、DOがやや不足している場合は灰褐色で、DOが不足している場合は黒褐色になる。

活性汚泥を入れた反応槽に1.8gのブドウ糖(C6H12O6)を投入して分解させた。 80%のブドウ糖が分解され、そのうちの80%が炭酸ガス(CO2)まで分解されるとき、炭酸ガスの発生量は何gか。 ただし、ブドウ糖と炭酸ガスの分子量はそれぞれ180、44、また、炭素の原子量は12とする。

《解》
ブドウ糖が分解されるときの化学反応式は以下である。
C6H12O6 + 6O2 → 6CO2 + 6H2O
80%のブドウ糖が分解されたときに発生するCO2の量をxgとすると、
(1.8/180) × 0.8 × 6 = x/44
<=> x = 1/100 × 4.8 × 44
<=> x = 2.112
このうち80%までCO2が分解されるので、CO2の発生量は、
2.112 × 0.8 = 1.6896
= 1.7g

活性汚泥法

活性汚泥法は、生物の凝集体である活性汚泥と汚水を混合してばっ気し、 沈殿しにくい浮遊物質(SS)や溶解性物質を生物化学的に吸着、酸化、同化し、 最終的に沈殿しやすい汚泥に変換させて水中から除去する処理法である。

活性汚泥法では、汚水中のBODは、吸着及び異化・同化による反応で除去される。

活性汚泥法では、BOD負荷量を低くすると、細胞質の自己酸化が起こるため余剰汚泥量が少なくなる。

活性汚泥法では、流入水によって微生物の集合体である活性汚泥が沈殿槽へ流されることとなり、 余剰汚泥を引き出すと増殖する速度の遅い微生物は洗い流される。

活性汚泥法では、汚濁滞留時間から見て増殖速度の遅い微生物は保持しにくい。

活性汚泥法では、低負荷では良好なフロックが形成されにくい。

活性汚泥法では、余剰汚泥の引き出し量を多くすると増殖速度の速い微生物から減少する。

活性汚泥中では、細菌->原生動物->微小後生動物といった食物連鎖が存在する。

活性汚泥法では、増殖速度の速い微生物が生息しやすい。

汚濁物質は活性汚泥に吸着・分解・吸収される。

ばっ気槽内では、活性汚泥の増殖と自己酸化が起こる。

微生物の内生呼吸により汚泥量は減少する。

活性汚泥にバルキングが生じるとSVIが低下するのではなく、増加する。

活性汚泥処理で重要な条件は、DO、MLSS、BOD負荷量がそれぞれ適切なことである。

回分式活性汚泥法, 回分式活性汚泥方式

回分式活性汚泥方式は、従来の処理方式に比べて処理性能の安定化及び脱窒や脱リン等の処理性能の高度化が期待できる処理方式として、 近年、処理対象人員51人以上、数千人の規模の浄化槽や、上下水道の生活排水処理施設に採用される事例が増加している。

回分式活性汚泥方式は、活性汚泥を導入した処理方式の1つであり、 これまでの処理方式と大きく異なることは、 従来のばっ気槽と沈殿槽における処理操作(流入、ばっ気、撹拌(吸着・酸化)、沈殿、上澄水の排出、余剰汚泥の引き抜き等)を1つの反応槽(回分反応槽)で時間的に区分しながら連続的に進行させることである。 すなわち、回分反応槽の運転条件は、「汚水の流入」、「ばっ気・撹拌」、「沈殿」、「排出」の4工程から構成された1サイクルを1日当たり4~6回程度繰り返し行う。

回分処理槽の運転は、流入、ばっ気・撹拌、沈殿、排出の工程からなる。

糸状性細菌の異常増殖の抑制が期待できる。

窒素やリンの除去が期待できる。

長時間ばっ気方式に比べ、SSの高い除去効果が期待できる。

一次処理に流量調整機能が不可欠である。

沈殿槽や汚泥返送装置は不要である。

活性汚泥法における異常な現象とその原因

沈殿槽での汚泥浮上 --> 脱窒の進行

MLSS濃度の低下 --> 沈殿槽からの返送汚泥量の不足

ばっ気槽での異常な発砲 --> 放線菌の異常増殖

活性汚泥の解体は、空気供給量の不足が原因ではない。

生物膜

生物膜は、微生物を中心とした膜状の集合体であり、ある厚みを持った生物性の汚泥の層であるから、 活性汚泥のように分散していないため、個々の生物細胞にとっては汚水との接触は不十分である。 このため汚水を空気とともに繰り返し膜面に接触させるか(好気性処理)、 膜表面に汚水を長く滞留するように操作する(嫌気性処理)ことが重要である。

逆洗実施後しばらくの期間は、剥離汚泥の混入によって沈殿槽に堆積する汚泥量が増加するので、 汚泥移送ポンプの稼働回数を多くするなどして、設定の見直しに十分留意しなければならない。

生物膜法

生物膜法では、生物相が多様性に富む、低分解性物質資化性微生物の生育に適している、 好気性生物膜においても、好気性微生物と嫌気性微生物が共存しやすい、という生物学的特定がある。

生物膜法では水の滞留時間とは関係なく、 接触材またはろ過材に付着した生物膜内においては、 増殖速度の遅い微生物でも生息可能となる。 そのため、活性汚泥に比較して生物種の多様性が増加し、安定な生態系を構成するようになる。 実際に生物膜中には、微小後生動物のような大型の生物(輪虫類、昆虫類、貧毛類)が多量に存在できることとなり、 食物連鎖が長くなる結果、発生する生物量すなわち余剰汚泥量は活性汚泥の場合より少なくなる傾向が強い。

生物膜中では増殖速度の遅い生物でも生息可能となり、 大型の生物(輪虫類など)が多量に存在でき、 余剰汚泥量は活性汚泥よりも少なくなる傾向が強い。

活性汚泥法では、低濃度汚水や低負荷では良好なフロックが形成されないために管理上苦労するが、 生物膜法は、むしろ低濃度に適している。

生物膜法では生物膜内において増殖速度の遅い微生物でも生息可能となるため、 活性汚泥に比較して生物種の多様性が増加する。 食物連鎖が長くなる結果、発生する生物量すなわち余剰汚泥量は 活性汚泥の場合より少なくなる傾向が強い。

生物膜法に設置されたホッパー型沈殿槽の沈殿槽底部に汚泥が長時間滞留するとスカムになるおそれがあるので、 1日に何回かに分けて移送する。

項目 活性汚泥法 生物膜法
増殖速度の遅い微生物 生息しにくい 生息しやすい
微小後生動物 生息しにくい 生息しやすい
生物量の制御 制御しやすい 制御しにくい
低濃度汚水の処理 対応が困難 対応が可能
発生汚泥量 比較的多い 比較的少ない

生物膜法での生成汚泥量は、活性汚泥法より少ない傾向にある。

生物膜法では、生物膜のろ過機能も作用している。

生物膜には、好気性微生物や嫌気性微生物が生息している。

生物膜法におけるホッパー型沈殿槽のうち汚泥移送ポンプの運転

ポンプの稼働時刻は、できるだけ流入汚水量の少ない時間帯に設定する。

沈殿槽底部に汚泥が長時間滞留するとスカムとなるおそれがあるので、 1日に何回かに分けて移送する。

生物反応槽の浮遊汚泥が増加した後に、ポンプを自動運転に切り替えるというのは誤り。

移送汚泥の濃度が低下したらポンプの運転が停止するように、ポンプの1回あたりの稼働時間を設定する。

エアリフトポンプを用いている場合は、空気抜きから汚泥が吹き出さないようにする。

MLSS(ばっ気槽混合液浮遊物質, Mixed Liquor Suspended Solids)

MLSSとは、ばっ気槽混合液のSS, すなわち活性汚泥の濃度を表す。 活性汚泥は微生物の集合体であるため、MLSSはばっ気槽中の微生物の濃度の指標として用いられることが多い。 ただし、ばっ気槽混合液の中には細菌や微生物の他に、繊維、微細な土砂等の無機性の物質まで含まれるため、 MLSSは厳密な生物量を示すものではない。

MLVSS(ばっ気槽混合液揮発性浮遊物質, Mixed Liquor Volatile Suspended Solids)

MLSS(ばっ気槽混合液浮遊物質)の強熱減量をmg/Lで表したものである。 MLSSの中には無機性のSSと有機性のSSが含まれるが、このうち有機性のSSをMLVSSという。

MLSS = 有機性SS(MLVSS) + 無機性SS

MLSSから600℃における強熱減量を差し引いた有機物質含量のことで[mg/L]で表す。 このときの強熱残留物は無機物である。

SV(Sludge Volume)

活性汚泥の沈降性や濃度などを示す指標で、活性汚泥沈殿率という。 曝気槽内のおおよその活性汚泥量を推測する有効な方法。

活性汚泥を1リットルのメスシリンダーに入れ、30分間静置した後の沈殿した汚泥の割合を%で表したもの。 30分静置したものをSV30という。

活性汚泥法により汚水処理を行うためには、適正なDO、適正なMLSS、 適正なBOD負荷量の三大条件が満たされることが必要である。

汚泥沈殿率は、ばっ気槽混合液を1Lのメスシリンダーにとり、 30分間静置後における沈殿汚泥の体積を百分率で表す。 これにより、活性汚泥の沈降性や固液分離性等の性状を把握できる。 異なる容量のメスシリンダーを用いたり、時間を短縮したりすると、測定値が変わる。 たとえば、容量の小さいメスシリンダーを用いた場合は、沈降速度が遅くなる傾向がある。 また、実際の浄化槽では、メスシリンダーを用いた場合よりも沈降速度は速いため、 汚泥沈殿率が高い場合でも、実際の浄化槽では十分な上澄水が得られていることがある。

SVI(Sludge Volume Index)汚泥容量指標

SV30を測定したときの沈殿汚泥1gが占める容量をmLで示したもので、 活性汚泥の沈降性の良否を表す指標であり、次式によって算出する。

SVI = SV[%]MLSS[%] = SV30[%] × 10,000MLSS[mg/L]

SVIが高いということは、沈降性が悪化したことを示す。 一般的にSVIは、沈降性が良好な活性汚泥では50~150、 活性汚泥が膨張(bulking)した場合には200以上を示す。

MLSSが2500mg/Lの活性汚泥混合溶液を1Lのメスシリンダーにとって静置したとき、 30分で200mLを示した。このときの汚泥容量指標(SVI)として、正しい値はどれか。

《解答》

SVI = SV[%]MLSS[%] = SV30[%] × 10,000MLSS[mg/L]

= 200[mL]1000[mL] × 100 × 10,0002500[mg/L]

= 80

みなし浄化槽のばっ気室の清掃後にSV30が、しばらくの期間上昇して、 ある月から低下した原因は、沈殿室でのスカム増加、沈殿室の底部での汚泥蓄積、 汚泥の自己酸化放流水中への汚泥の流出である

汚泥容量指標(SVI)は、

SVI = SV30[%] × 10,000MLSS[mg/L]

であるから、SVIに変化なくSV30が低下しているとすると、汚泥濃度(MLSS)を低下させる必要がある。

ばっ気槽(室)のSV30

みなし浄化槽(単独処理浄化槽)では、SV30が清掃時期の判断の目安として用いられている。

SV30は、汚泥の沈降性の良否を判断する指標となる。

SV30が高い場合には、沈殿槽の汚泥界面の位置や処理水のSSを確認する必要がある。

SV30は、汚泥返送率に影響を受ける。

SV30は、実際の沈殿槽における沈降状態をそのまま再現しているのではない。 容積の小さいメスシリンダーを用いた場合は、沈降速度が遅くなる傾向がある。 また、実際の浄化槽では、1Lのメスシリンダーを用いた場合よりも沈降速度は速い。

みなし浄化槽では、SV30の値から沈殿分離室の清掃時期の判断を行うというのは誤り。 分離ばっ気方式では、沈殿分離室の清掃時に合わせて清掃する。 その場合、清掃時期は、必ずしもSV30の値には関係しない。

単位装置と溶存酸素量、活性汚泥沈殿率及び混合液浮遊物質濃度で維持すべき数値

溶存酸素量

みなし浄化槽のばっ気室:室内均等に0.3mg/L以上

ばっ気槽(タンク)、流路、硝化槽:槽(タンク)内均等に1.0mg/L以上

脱窒槽:槽内均等に概ね0mg/L

活性汚泥沈殿率

単独処理のばっ気室:SV30が10%以上60%以下

長時間ばっ気方式、循環水路ばっ気方式:MLSSが概ね3000~6000mg/L

標準活性方式:MLSSが概ね1000~3000mg/L

脱窒槽:MLSSが概ね3000~6000mg/L

硝化槽:MLSSが概ね3000~6000mg/L

浄化槽の各単位装置における溶存酸素量と混合液浮遊物質濃度について、維持することが望ましい数値の大小関係の組合せ

溶存酸素量-->ばっ気槽 ≒ 硝化槽(1.0mg/L以上) > 脱窒槽(概ね0mg/L)

混合液浮遊物質-->ばっ気槽 < 硝化槽 ≒ 脱窒槽(概ね3000~6000mg/L)

ばっ気室における発泡現象

ばっ気室における発泡は、便所で用いられる洗浄剤に起因する例もあるが、 汚濁物質が分解して低分子化したものが蓄積した場合にばっ気によって発泡する例が多い。 一般に、空気供給量が多い場合、または、MLSS濃度が低い場合に発泡しやすい。

T-P(総リン, 全リン, Total Phosphorus)

リンは窒素とともに海や川、運河、湖沼を富栄養化させ、赤潮の原因となる。

リンは、湖沼や海域などの富栄養化の原因物質とされているため、主な目的は総量規制への対応である。 これまでは合成洗剤中に含まれるリン化合物質が汚水中のリンの主な原因であったが、 無リン洗剤の普及によって洗剤中のリンは大幅に減少している。

富栄養化した湖沼において、溶存酸素は表層飽和で深水層では減少する。 表層水は常に無酸素状態にはならない。

閉鎖性水域において、栄養塩類(窒素、リン)が増加すると富栄養化現象が進行し、 植物プランクトン(主に藻類)が異常増殖する。 これらの増殖は有機物の汚濁度の指標としてのCODを高め、溶存酸素は表層飽和、深層水では減少し、透明度は下がる。

水中のリン化合物としては、農薬、リン脂質などの有機リン化合物と、 オルトリン(PO43-)メタリン酸(PO3-)ポリリン酸P2O74-などの無機リン酸があり、 化合物中に含まれるこれら各種のリンの総和を全リン(T-P)という。

汚水中のリンは、し尿に多量に含まれている。 水中のリンは様々な形態で存在しているが、分析上は全リン(T-P)とリン酸イオン態リン(リン酸イオンPO43-として存在するリン)の測定は、 モリブデン青吸光光度法によって行い、 全リンは前処理によってリン酸イオン態リンに分解した後、モリブデン青吸光光度法によって測定する。

T-N(総窒素, 全窒素, Total Nitrogen)

全窒素(T-N)は、湖沼(天然湖沼および貯水量1000万m3以上の人口湖) と海域における水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準項目である。

生活排水中のアンモニア性窒素は、主にし尿に由来する。

亜硝酸性窒素が1mg/L存在すると、理論的にはCODが1.14mg/L増加する。

全窒素は、ケルダール窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素の総和である。

アンモニア性窒素は、インドフェノール青吸光光度法で測定できる。

全窒素 = ケルダール窒素(有機性窒素 + アンモニア性窒素) + 亜硝酸性窒素 + 硝酸性窒素

全窒素は、有機性窒素(タンパク質やアミノ酸)無機性窒素の総量を表したものである。

無機性窒素には亜硝酸性窒素硝酸性窒素アンモニア性窒素が含まれる。

有機性窒素は、ケルダール窒素からアンモニア性窒素を差し引いて算出する。

有機性窒素は、タンパク質アミノ酸などに由来する。

窒素除去量を求める問題

下図に示す脱窒ろ床接触ばっ気方式の浄化槽において、脱窒ろ床槽第1室の窒素除去量(g/日)はいくらか。

《解》
1日あたりの脱窒ろ床槽第1室への窒素流入量は、5m3で130gで、 脱窒ろ床槽第1室を通過後は、5m3で22×5 = 110gになるので、
130-110 = 20g

SRT(Sludge Retention Time, 汚泥滞留時間)

SRTは汚泥滞留時間のことで、処理槽内の汚泥が引き抜かれるまでの平均時間。

長時間ばっ気方式は、標準活性汚泥方式と比較して、SRT(汚泥滞留時間)が長いという特徴がある。

種汚泥

種汚泥は、生物反応槽において、活性汚泥や生物膜を早期に生成させる目的で種として入れる汚泥である。

シーディング(seeding)

シーディングは、生物反応槽に浄化機能が高い微生物を少量添加する操作である。 新たに浄化槽を設置したときや清掃後にできるだけ早期に正常な処理機能を発揮させるために行う。

ストークスの式(Stokes' law)

固形物はその大きさが大きい程、比重が水より大きい程沈降しやすい。 水中に粒子が存在すると、粒子には重力と浮力が作用し、重力が浮力より大きければ(粒子の密度が水より大きい)沈降し、 その逆であれば浮上する。

粒子が沈降すると水との摩擦が生じるが、その摩擦力は上向きに働き、 重力と浮力の差と摩擦力がつり合うと一定の速度で沈降する。 その時の沈降速度を数式で示したものが、ストークスの式である。

v = g18μ1 - ρ0)d2
v:粒子の沈降速度(cm/秒)
g:重力加速度(cm/秒2)
ρ0:水の密度(g/cm3)
ρ1:粒子の密度(g/cm3)
d:粒子の直径(cm)
μ:水の粘度(g/(cm・秒))

ストークスの式より、粒子は水より重いほど、粒径の2乗に比例して早く沈降する。

汚水の浄化に係る沈降分離において、一般に懸濁粒子はストークスの式に従って沈降すると言われている。 今、ある直径の懸濁粒子の水中での沈降速度が12.5[m/日]であった。 直径が2倍になったときの沈降速度はいくらか。

《解》
ストークスの式では、粒径の2乗に比例して速く沈降する。 懸濁粒子の直径が2倍になると、次式で表すことができる。
12.5[m/日]×22 = 50.0[m/日]

浄化槽行政

浄化槽の目的

浄化槽法は、浄化槽の製造、設置、保守点検、清掃について規制するとともに、 浄化槽工事業者の登録制度及び浄化槽清掃業の許可制度を整備し、 浄化槽設備士及び浄化槽管理士の資格を定めること等により、 公共用水域等の水質の保全等の観点から浄化槽によるし尿及び雑排水 の適正な処理を図り、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。

浄化槽の普及状況

平成23年度末における日本の水洗人口は、総人口の90%を超えている。

平成23年度末における日本の公共下水道による水洗人口は、総人口の70%である。

平成23年度末においては、浄化槽(みなし浄化槽を含む)は日本全国で約782万基設置されている。

日本に設置されている浄化槽(みなし浄化槽を含む)のうち、規模については20人槽以下の小型のものが約90%占めている。

日本に設置されている浄化槽(みなし浄化槽を含む)のうち、合併処理浄化槽は全体の約40%を占めている。

浄化槽法の経緯

浄化槽法の制定以前、構造については建築基準法により、 維持管理(保守点検、清掃)については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって規制されていた。 また、設置等の手続きについては両法によるなど、制度の体系が極めて複雑なものとなっていた。 こうした状況を受けて、一元的に規制・強化することなどを目指し、昭和58年に浄化槽法が成立した。

平成12年には、単独処理浄化槽の新設を原則禁止とする改正が行われた。

2000年(平成12年)6月の浄化槽の改正により、 浄化槽は合併処理浄化槽のみを指すこととなり、 単独処理浄化槽は浄化槽とみなして、みなし浄化槽と呼び、 合併処理浄化槽と同様の法適用がなされることになった。

平成17年には、浄化槽法の目的に、公共用水域等の水質保全が明記され、 放流水の水質に係る基準の創設都道府県の監督規定の強化が行われた。

令和元年には、既存の単独処理浄化槽から浄化槽に転換を促す措置や 浄化槽台帳の整備等の浄化槽普及と管理の強化を目指す改正が行われた。

浄化槽の水質検査

浄化槽法では、浄化槽管理者は、都道府県知事の指定した検査機関(指定検査機関)の行う水質に関する検査を受けなければならない。 検査には設置後等の水質検査(法第7条)定期検査(法第11条)とがあり、いずれも外観検査、水質検査及び書類検査の3つの検査から構成されている。

浄化槽設置後等の水質検査(7条検査)は、 主に浄化槽の設置工事の適否及び浄化槽の機能状況を早い時期に確認するために行うものであり、 浄化槽管理者は、浄化槽の使用開始後の3カ月を経過した日から5カ月以内に受験しなければならない。

定期検査(11条検査)は、主に保守点検及び清掃が適正に実施されているか否かを判断するために行うためのものであり、 毎年1回(環境省令で定める場合は、環境省令で定める回数)、行わなければならない。

浄化槽法施行規則第11条において、浄化槽清掃業の許可を受ける際に最低限備えるべき器具は、 温度計、水素イオン濃度指数測定器具(pH計)、汚泥沈殿試験器具(メスシリンダー)、自吸式ポンプである。

浄化槽清掃業の許可を受ける際に備えるべき器具に残留塩素測定器具は含まれていない。

最初の保守点検を浄化槽の使用開始の直前に行うものとする。

浄化槽管理者が自ら保守点検を実施している浄化槽においても、水質に関する検査を受けなければならない。

水質に関する検査の項目、方法その他必要な事項は、環境大臣が定める。

水質検査の項目には、透視度や生物化学的酸素要求量が含まれる。

水質に関する検査を行う機関は、環境大臣ではなく都道府県知事が指定する。

浄化槽管理者は、設置後等の水質検査(7条検査)の受験手続きを行いやすくするため、浄化槽工事業者に委託することができる。

閉鎖性水域に処理水を放流する浄化槽においては、水質検査の項目としてBODに代わってCODを測定するというのは誤り。 浄化槽法に定められている水質検査項目は全国で一律である。 水質汚濁防止法による水質総量規制では、指定地域における201人槽以上の浄化槽の排出水についてCOD・窒素・リンに係る汚濁負荷量を規制している。

浄化槽法

清掃の際に引き出された汚泥は一般廃棄物に該当し、 その収集運搬業の許可は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に規定する一般廃棄物処理業の許可が必要となる。

生活排水処理基本計画には、下水道で処理する区域及び人口等についても、浄化槽等と合わせて記述する。

一般廃棄物は日常生活から排出されるごみや生活排水であって、し尿、浄化槽汚泥はこの一般廃棄物に含まれる。

農業集落排水施設は、浄化槽法上の浄化槽である。

処理対象人員501人以上の浄化槽は、水質汚濁防止法による排水規制が適用される。

浄化槽法に基づく浄化槽管理者の責務としては、 保守点検の実施、法令検査の受検(設置後等の水質検査および定期検査)、 清掃の実施、技術管理者の設置廃止届の提出がある。

水質に関する検査を行う機関は、都道府県知事が指定する。

みなし浄化槽の管理者は、浄化槽法に基づき維持管理を行わなければならない。

浄化槽の検査に関する規定は、みなし浄化槽にも適用される。

浄化槽工事業を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

浄化槽清掃業を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなればならない。

浄化槽工事業及び浄化槽清掃業の許可制度を整備することというのは誤り。 浄化槽法第1条に浄化槽工事業者の登録制度および浄化槽清掃業の許可制度を整備することが規定されている。

浄化槽に規定されている都道府県知事の職務

浄化槽の設置届の受理

浄化槽管理者に対する改善命令

浄化槽管理者に対する定期検査の受検勧告

浄化槽保守点検業の登録

浄化槽清掃業者の許可は、都道府県知事の職務ではなく市町村長の職務である。

浄化槽法に規定する処分

環境大臣は、浄化槽管理士が浄化槽法又は浄化槽法に基づく処分に違反した場合、浄化槽管理士免状の返納を命ずることができる。

都道府県知事は、浄化槽の設置等の届出を受理した場合において、 当該届出に係る浄化槽の設置等の計画について、改善の必要があると認めるときは、一定の期間内に限り、 その届出をした者に対して必要な勧告をすることができる。

都道府県知事は、生活環境の保全及び公衆衛生上必要があると認められるときは、当該浄化槽の保守点検の委託を受けた浄化槽管理士に対し、 必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

浄化槽清掃業者の事業の用に供する施設又は浄化槽清掃業者の能力が法に定める基準に適合しなくなったときは、行政庁は、 その許可を取り消し、又は6カ月以内の期間を定めて事業の停止を命ずることができる。

浄化槽法第53条第1項の規定に基づく報告を命じられた者が、 その報告をせず、又は虚偽の報告をした場合は、法人名又は氏名が公表されることがあるが、罰金刑を科せられることはないというのは誤り。 浄化槽法第64条第1項の規定により、30万円以下の罰金に処される。

一般廃棄物処理計画

一般廃棄物処理計画は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき策定するもので、生活排水についての処理計画も含まれている。

一般廃棄物処理計画は、市町村がその区域内について定める。

一般廃棄物処理計画は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき策定する。

一般廃棄物処理計画は、ごみに関する計画と生活排水に関する計画から構成される。

生活排水処理基本計画には、下水道で処理する区域及び人口等についても、浄化槽と併せて記述する。

生活排水処理基本計画には、住民に対する広報・啓発活動に関することも含まれる。

浄化槽法の規定

浄化槽の保守点検の業務に従事する浄化槽管理士の国家試験を定める。

浄化槽工事を実地に監督する浄化槽設備士の国家資格を定める。

浄化槽清掃業の市町村長による許可制度を定める。

浄化槽保守点検業の条例による登録制度を定める。

建築基準法と浄化槽の構造基準

法律とその内容に関する組合せは以下である。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律---浄化槽汚泥の収集・運搬

環境基本法---水質汚濁に係る環境基準

下水道法---除害施設の設置

浄化槽法---浄化槽工事業の登録

水質汚濁防止法---排水規制

環境基本法の中で、水質汚濁に係る環境基準を定めることとされている。 この環境基準を達成するために、水質汚濁防止法などの環境規制法により必要な規制がなされている。

水質汚濁防止法

環境大臣の定める総量規制削減基本方針に基づき、 関係市町村が総量規制削減計画を定める。

水質規制には、排水濃度を規制する排水規制と地域を限定して規制する水質総量規制がある。

規制の対象となる汚水または廃液を排出する施設を特定施設という。

処理対象人員501人以上の浄化槽が、特定施設として指定されている。

指定地域では、処理対象人員201人以上の浄化槽が規制対象とされる。

水質汚濁防止法で定められているのは排水規制である。

規制の手法としては、全国に適用される排水規制と、 指定地域のみに適用される総量規制がある。

東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海に流入する汚濁負荷が発生する地域は、水質量規制の指定地域とされている。

浄化槽の型式認定

浄化槽の型式認定は、国土交通大臣の認定を受ければよく、環境大臣の認定は不要である。

国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものについても、型式認定が必要である。

浄化槽の型式認定の有効期間は5年であり、法検査の結果により、短縮されることはない。

浄化槽を工場で製造しようとする者は、その型式について国土交通大臣の認定を受けなければならない。

外国において日本に輸出される浄化槽を製造しようとする者は、 その型式について型式認定を受けることができる。

国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものについても、 工場で製造しようとする場合には、型式認定が必要である。

現場で施工される、いわゆる現場打ち浄化槽は、型式認定が不要である。

型式認定の有効期間は5年間であり、 処理対象人員によって異なるということはない。

工場生産される浄化槽について、試験的に製造する場合は型式認定が不要である。

浄化槽設備士

浄化槽設備士は、浄化槽工事を実地に監督する者の資格である。

浄化槽設備士講習では、管工事施工管理に係る技術検定に合格していることが受講資格となっている。

浄化槽設備士は、その職務を行うときは、国土交通省令で定める浄化槽設備士証を携帯していなければならない。

浄化槽工事業者は、営業所ごとに浄化槽設備士を置くとともに、浄化槽工事を行う際には、 浄化槽設備士が自ら浄化槽工事を行う場合を除き、浄化槽設備士に実地に監督させ、またはその資格を有する者が自ら監督しなければならないこととされている。

浄化槽管理士

浄化槽管理士とは、浄化槽管理士の名称を用いて浄化槽の保守点検の業務に従事する者として、浄化槽管理士免状の交付を受けている者をいう。

浄化槽管理士の資格取得には、浄化槽管理士試験に合格する方法と、 環境大臣の指定する指定講習機関が行う浄化槽の保守点検に関して必要な知識及び技能に関する講習の課程を修了する方法の2つがある。

環境大臣は、浄化槽管理士が浄化槽法に違反したときは、その浄化槽管理士免状の返納を命ずることができる。

単独処理浄化槽の管理者は、合併処理浄化槽へ転換することに努めなければならない。

単独処理浄化槽の管理者は、浄化槽法に基づき維持管理等を行わなければならない。

浄化槽管理者は、水質に関する検査のうち定期検査に係る手続きを、当該浄化槽の保守点検または清掃を行う者に委託することができる。

都道府県知事は、浄化槽の保守点検の技術上の基準に従って浄化槽の保守点検が行われていないと認めるときは、 当該浄化槽管理者から委託を受けた浄化槽管理士に対し、 浄化槽の保守点検について必要な改善措置を命ずることができる。

浄化槽管理士でなければ、浄化槽管理士またはこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

浄化槽設備士は、浄化槽の設置工事に当たり、必ず立ち合い、設置が適切であることを確認しなければならない。

浄化槽管理士は、浄化槽の保守点検の業務に従事する者としての国家資格である。

浄化槽管理者

浄化槽管理者とは、浄化槽の所有者、占有者その他の者で、 当該浄化槽の管理について権原を有するものをいう。

浄化槽管理者の義務

浄化槽管理者は、浄化槽の保守点検と清掃をしなければならない。

浄化槽管理者は、浄化槽の使用開始日の日から30日以内に、 使用開始の報告書を都道府県知事に提出しなければならない。

浄化槽管理者に変更があったときは、変更の日から30日以内に、 環境省令で定める事項を記載した報告書を都道府県知事に提出しなければならない。

毎年1回、指定検査機関の行う水質に関する検査を受けなければならない。

浄化槽管理者は、当該浄化槽の使用を廃止したときは、その日から 30日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

浄化槽管理者は、環境省令で定める場合を除き、毎年1回、 浄化槽の保守点検と清掃をしなければならない。

保守点検または清掃について、生活環境の保全及び公衆衛生上必要があると認められるとき、 浄化槽管理者に対し必要な助言、指導または勧告をすることができるのは、都道府県知事である。

浄化槽変更届が必要となる事象

処理方式の変更をした場合は浄化槽変更届が必要となる。

実使用人員の変更をした場合は、浄化槽変更届は不要である。

建築用途の変更をした場合は、浄化槽変更届は不要である。

散気装置の変更をした場合は、浄化槽変更届は不要である。

マンホールの交換をした場合は、浄化槽変更届は不要である。

技術管理者

技術管理者は、浄化槽管理者の義務として政令で定める一定規模(処理対象人員501人)以上の浄化槽の保守点検及び清掃に関する技術上の業務を担当するため置かなければならないとされているものである。

技術管理者は、浄化槽の保守点検及び清掃に関する技術上の業務を担当するために置かれる。

技術管理者は、処理対象人員501人以上の浄化槽において置かれる。

処理対象人員501人以上の浄化槽については、 浄化槽管理者自らが技術管理者となる場合を除き、 環境省令で定める資格を有する技術管理者をおかなければならない。

技術管理者は、浄化槽管理者が任命する。

浄化槽管理者は、当該浄化槽における技術管理者の業務を行うことができる。

技術管理者の設置義務違反に対しては、罰則の規定がある。

浄化槽の構造

浄化槽法における浄化槽の定義

浄化槽は、便所と連結して、し尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く)を処理し、 下水道法に規定する終末処理場を有する公共下水道以外に放流するための設備又は施設であって、 同法に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定により 定められた計画に従って市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。

浄化槽

浄化槽は、下水道のない地域で水洗便所を使用する場合、 し尿等を浄化して公共用水域等に放流するために設置することが義務付けられている施設であり、 し尿のみを処理するみなし浄化槽(単独処理浄化槽)と、 し尿と生活雑排水を併せて処理する合併処理浄化槽がある。

みなし浄化槽(単独処理浄化槽)の合併処理化を含めて浄化槽の設置を進めていくことが、生活排水処理対策として重要である。

浄化槽はオンサイト処理であるため、 敷地外の管渠工事が不要あるいは軽微である。

浄化槽の現場では、アルコール系の消毒剤が有効である。

紫外線消毒は効果的な消毒法だが、浄化槽作業における現場での使用には不向きである。

清掃業者の立場として、給水栓などの位置を確認しておく必要はあるが、水道メーターの位置を把握する必要はない。

ばっ気室の清掃時期の判断の目安は、30分間の汚泥沈殿率(SV30)が概ね60%に達したときとされている。

清掃時期の判断の目安は、消毒層で、沈殿物が生成し、放流水に濁りが認められたときである。

嫌気ろ床槽と脱窒ろ床槽の汚泥、スカム(scum)などの引き出しは、 第1室は全量とし、第1室以外の室は適正量とされている。

沈殿分離タンクの汚泥、スカム、中間水などは全量引き出しである。

許可制度を整備するのは、浄化槽清掃業だけで、 浄化槽保守点検業は含まれない。

みなし浄化槽は、浄化槽法における浄化槽の定義から除外されている。

みなし浄化槽の設置については、浄化槽法だけでなく建築基準法でも規制されている。

単独処理浄化槽の新設は、下水道法に規定する予定処理区域 (国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けた事業計画において定められたものに限る) を除き禁止されている。

下水道は、し尿及び生活雑排水に加え、雨水が処理対象として含まれる他、工場廃水も処理対象となる。

し尿は下水道及びし尿処理施設で処理する場合を除き、浄化槽法上の浄化槽で処理した後でなければ、公共水域等に放流してはならない。

浄化槽の処理対象人員が同じであっても、処理方式が異なれば保守点検回数が異なることがある。

浄化槽の保守点検の回数は、浄化槽の処理対象人員や処理方式ごとに定められている。

みなし浄化槽においてし尿を洗い出す水は、適正量とすること。

浄化槽の腐食の原因となるのは、嫌気性分解で発生するメタンガスではなく、 消毒剤による塩素ガス汚泥の腐敗による硫化水素などの腐敗性ガスである。

浄化槽に流入する生活雑排水由来の有機物質の負荷量は、し尿由来の負荷量に比べて大きい。

保健所を設置する市の市長の職務に含まれるものは、浄化槽清掃業の許可、 一般廃棄物処理業の許可、 浄化槽の設置の届出の受理、 浄化槽保守点検業の登録である。 指定検査機関の指定は、環境大臣または都道府県知事が行う。

浄化槽は、個別分散型施設であるため、家屋の減少や集落の喪失による 処理対象人口の減少に対する変動に容易に対応できる。 加えて、初期の建設投資が少なく、後年後に建設費の負担を残しにくいシステムである。

家庭用浄化槽は、BOD除去率が90%以上放流水のBOD濃度が20mg/L以下を達成できる。

浄化槽は、水洗便所を使用し、公共下水道以外に放流する場合に設置が義務付けられている。

浄化槽では腐食しやすい部分は、水に接したり、発生するガスに触れたりする部分がすべて該当する。

みなし浄化槽の新設は、環境大臣が定めた地域を除き禁止されているというのは誤り。 国土交通大臣または都道府県知事の認可を受けた事業計画において定められたものに限るというのが正しい。 浄化槽の新設時は、合併処理浄化槽の設置が義務付けられている。 しかし、下水道の予定処理区域では、合併処理浄化槽の設置と下水道接続を短期間のうち行わなければならず、 住民にとって二重の負担、国庫補助にとっても二重の投資となることから、当該区域についての当該義務付けを除外されている。

家庭用浄化槽

設置に要する期間が短いため、投資効果の発現が早い。

敷地外の管渠工事が不要なため、設置費用は比較的安価である。

BOD除去率が90%以上、放流水のBOD濃度が20mg以下を達成できる。

オンサイトの処理システムであるため、小河川の自然浄化能力を活用することができないというのは誤り。 河川の水量確保ができるとともに、小河川の自浄化能力が活用できる。

設置場所は、山間地などの地形の影響を受け難い。 この選択肢は、浄化槽設置工事の際に掘削工事をして底版コンクリート工事をしている前提として考える。

単独処理浄化槽

5人槽における沈殿分離室の必要容量は0.75m3であり、 腐敗室は、1.5m3である。

接触ばっ気室の5人槽の必要容量0.25m3は、5人で使用した場合、 汚水の滞留時間1日分に相当する。

接触ばっ気室の接触材充填率は、概ね50%に定められている。

沈殿室の有効容量は、消毒室と合算された容量として定められている。

単独処理浄化槽では、流入汚水量が1人当たり40~60L程度で使用されていること。

みなし浄化槽であっても、浄化槽法に基づき維持管理等を行わなければならない。

浄化槽の構造

槽本体の埋設位置を決定する際には、雨水が停滞し難い位置とする。

浄化槽に接続する配管の2系統以上の合流点には、点検升を設ける。

槽の天井が蓋を兼ねる場合を除き、天井にはマンホールを設ける。

昆虫が発生するおそれがある部分に設ける開口部には防虫網を付ける。

浄化槽本体に接続する配管においては、45度以上の屈曲点に点検升を設ける。

浄化槽本体に接続する配管の直線部分においては、管径の120倍を超えない範囲で点検升を設ける。

処理対象人員125人以下の合併処理浄化槽の排水管としては、 管径150mmの硬質塩化ビニル管を用いる。

処理対象人員250人以下の浄化槽の排水管として、 合併処理浄化槽で管径200mm、単独処理浄化槽では管径150mmとされている。

処理対象人員250人以下の浄化槽の場合、流入管径を200mm(20cm)とする。

処理対象人員125人以下の浄化槽の排水管の勾配は1/150~1/100とする。

沈殿槽の越流負荷は、日平均汚水量をもとに算出する。

沈殿槽の水面積負荷は、日平均汚水量をもとに算出する。

単独処理の場合、流入管の管径は処理対象人員20人以下で管径100mmΦ、 処理対象人員80人以下で管径125mmΦである。

防具対策として臭突を設ける場合、 臭突管を接続するための排気口の下端部は層内水位より100mm以上上方の位置に設ける。

浄化槽に接続する配管の45以上の屈曲点、落差のあるところには点検升を設ける。

浄化槽の構造基準の変遷

便所の水洗化を目的としたみなし浄化槽から水質汚濁防止及び生活環境の保全を目的とした浄化槽へと移行し、 現在はすべての規模の浄化槽について合併処理の構造が示されたとともに、 富栄養化防止の観点から窒素リンの除去性能を有する浄化槽が定められた。

流入管や流入側の点検升

地中配管部分には、硬質塩化ビニルの薄肉管が使用されるのが一般的である。

管内の汚水の流速が0.6~0.9m/秒になるように、流入管は適当な勾配とする。

流入側の点検升の内径は原則30cm以上であるが、 点検や清掃に支障が生じるおそれがない場合、内のりで15cm以上の円形または角形にすることとされている。 点検升は45度以上の屈曲点や2系統以上の排水管の合流点、及び直線部分においても管径の120倍を超えない範囲で設けることとなっている。

雨水が入らないように密閉できる蓋を設けなければならない。

起点、屈曲点、合流点に設けなければならない。

直線部分においても管路の点検や清掃が行える間隔で設けなければならない。

内径は、原則30cm以上とし、円形または角形にしなければならない。

室内への臭気の進入を防止するためにすべてトラップ升にする必要はない。

点検升は、堆積物を引き出しやすいよう泥だめを設けるというのは誤り。 流入側の点検升は、すべてインバート升とする。インバート升は、汚水中の汚物や固形物が停滞しないように底部に半月状の溝を切ってある。

合併処理浄化槽の流入汚水

一般の集合住宅の場合、給水量に対する汚水量の比である排出比は、0.8~0.9程度である。

一般の住宅の場合、流入汚水量のピーク時間帯は午前8~11時であり、 この時間帯の汚水量は、汚水量全体の30~50%を占めている。

住宅汚水の標準的な原単位は、汚水量200L/(人・日)、BOD負荷量40g/(人・日)とされている。

建築物の用途によって異なるが、流入汚水のBOD濃度は100~400mg/Lの範囲にある場合が多い。

浄化槽に関する用語

水密構造-->水圧に耐えて水を通さない構造。

グレーチング(Grating)-->点検蓋等に用いられる鋼材を格子状に組んだもの。

土被り-->埋設物の上を覆っている土の深さ。

臭突-->臭気物質を外へ排出するための管。

マンホール-->点検口を密閉するための蓋というのは説明が不十分で、 室内や槽内の保守点検装置の補修交換清掃等を容易に行うために設ける構造物。人孔。

比表面積-->接触材やろ材の見かけの体積1m3当たりの面積

ドラフトチューブ-->旋回流形成のためにばっ気槽の中心部に設ける縦型の円筒

センターウェル-->ホッパー型沈殿槽で流入水を均等に分散させるための筒

水かぶり-->接触ばっ気槽における接触材押さえ面とばっ気停止時の水面との距離

釜場-->水や汚泥の引き出しなどのために水槽等の底部に設けるくぼみ

マンホール蓋

槽の天井が蓋を兼ねる場合を除き、天井にはマンホールを設ける。

処理対象人員50人以下の浄化槽の天井部分にマンホールを設ける場合、内接する円の直径を45cm以上とする。

処理対象人員51人以上の浄化槽の天井部分にマンホールを設ける場合、内接する円の直径を60cm以上とする。

槽の天井部分には、保守点検や清掃、装置の補修交換が容易かつ安全にできる大きさと数のマンホール及び密閉できる蓋を設ける必要がある。

マンホール蓋の材質としては、球状黒鉛鋳鉄、ねずみ鋳鉄、ポリエステル・レジン・コンクリートが用いられている。

蓋が軽量の場合は、槽内への転落等の事故防止のため、回転ロック式または施錠装置付きの構造とする必要がある。

マンホール蓋は、保守点検時に容易に持ち上げることができる必要があるため、 1枚当たりの重量は15kg以下が望ましい。

工場生産浄化槽

工場生産浄化槽は材料で分類すると、PC製、CPD製、FRP製がある。 DCPDは耐衝撃性に優れているため、現場での荷扱い性がよく、 廃棄物として焼却したときの残渣が少ないなどの特徴を有している。

一方、FRP製は、ひっぱり強度や曲げ強度に優れているが、 施工技術や品質管理の良否が設置後の本体の亀裂や破損事故等につながるおそれがある。

ただし、PCは、プレキャストコンクリート、FRPはガラス繊維強化プラスチック、DCPDはジシクロペンジエンを示す。

荷重が側部からかかる場合には、鉄筋コンクリート構造の擁壁を設ける。

深埋め工事は、流入管底が標準工事より深くなる場合の工事である。

FRP製などの工場生産浄化槽

現場打ちのRC製浄化槽よりも工期が短い。

中・大型浄化槽では、円筒横置き型の工場生産品が多くなっている。

ピット工事や補強工事など特殊な工事を行う場合がある。

規模が大きくなると本体価格や輸送費が高くなる。

現場に応じて、浄化槽内部の改造を行って設置することがあるというのは誤り。 型式認定の対象として、工場出荷の段階で完成品としての姿をしているものが工場生産浄化槽である。 したがって、現場に応じて浄化槽内部の改造を行って設置してはならない。

工場生産浄化槽本体の据え付けにおける注意点

吊り込み、吊り降ろしは、玉掛けの作業主任者等の資格を有する者が行う。

クレーン等の機械の配置は、地盤の強度を十分配慮して決定する。

流入及び放流管の方向や設置位置を確認しながら行う。

浮上防止金具や固定金具で槽本体を固定する。

ターンバックルは、流入側から放流側に順次締め付けるというのは誤り。 ターンバックルは、ほぼ対角線となる順序で、均等な力で締める。

ろ過

ろ過において、浮遊物質より粒径の小さいコロイド粒子や溶解性物質などは除去されにくい。

精密ろ過膜の分離対象は最近(粒径0.025~10μm程度)であり、 栄養塩類のような溶解性物質は除去できない。

担体(たんたい)

担体は固定されたものではなく、流動的であり、微生物を増やし、付着させる役目を持っている。

担体は小型合併浄化槽内の担体流動槽、担体ろ過槽、生物ろ過槽等に入っている。

従来からあった接触材よりも、担体は微生物の付着面積が大きく、 微生物をより多く付着させ、増殖させる事が可能となった。

逆洗

逆洗の目的は、槽内の循環水流を回復させるためである。

逆洗は、10分程度で行えることが望ましい。

逆洗は、流入水量の少ない時間帯に行うことが望ましい。

剥離汚泥の移送は、剥離汚泥の全量とすることが望ましい。

接触ばっ気槽が2槽で構成されている場合、 第1室が汚泥の過剰蓄積を生じやすいので、一般的には第1室の逆洗を優先することが多い。

剥離汚泥の移送量を少なくするためには、沈殿させてから移送する。

逆洗で剥離した汚泥に対する移送した汚泥の割合

処理対象人員5人の小型浄化槽の接触ばっ気槽(有効容量1.1m3)において10分間の逆洗を実施した。 逆洗後、槽内の剥離汚泥を30分間沈殿させた後、接触ばっ気槽底部の沈殿汚泥を可搬式ポンプを用いて嫌気ろ床槽第1室に移送した。 下記の条件において、逆洗で剥離した汚泥に対する移送した汚泥の割合(%)を求めなさい。
[条件]
逆洗中の剥離汚泥のSS:2800mg/L
沈殿後に移送した沈殿汚泥のSS:6000mg/
移送量:180L

《解》
剥離した汚泥量は、
1.1[m3]×2800[g/m3] = 3080[g]
移送した汚泥量は、
6000[mg/L]×180[L] = 1080[g]
逆洗で剥離した沈殿に対する移送した汚泥の割合は、
1080/3080 ≒ 0.35 ∴35%

生物ろ過法

ろ過用の担体が充填され、このろ層を汚水が下向流で通過する間にSSなどが分離・捕捉される。

生物ろ過槽

生物ろ過法は、担体に付着した生物膜による生物酸化と物理ろ過を同時に行う方法で、 処理水の高速化と装置のコンパクト化を目的に採用されている。

生物ろ過槽は定期的に逆洗が必要であり、タイマ設定により自動的に行われている。

嫌気ろ床槽

嫌気ろ床槽第1室の主な機能は、固定分離と汚泥の貯留である。 汚水の流れは下向流であり、ろ材の形状や充填方法により汚泥の蓄積状況が異なる。 ろ材の汚泥捕捉能力が強いほど、汚泥はろ床上部に蓄積する。一方、捕捉能力が弱いほど、槽底部付近に蓄積する。 機能は、汚泥の蓄積とともに次第に低下するため、清掃時期を適切に判断しなければならない。

ろ床のSS捕捉性が強い場合、第1室のろ材を充填する位置を浅くするというのは誤り。 ろ床のSS捕捉性が強い場合は、ろ材押さえ面より上部に、主にスカムとして蓄積する量が多くなるので、 ろ材の充填する位置を比較的深くする。

槽内にろ材を充填することにより、ろ過効果が期待できる。

ろ材表面の嫌気性生物膜の働きによって、汚泥の減量化が期待できる。

短絡流を防止するため、2室以上に区分する。

嫌気ろ床槽の構造基準では、ろ材の充填率は、第1室が概ね40%、第2室以降が概ね60%と定められている。

嫌気ろ床におけるBOD除去率は0%として取り扱われている。

2室に区分する場合、有効容量は第2室より第1室を大きくする。

一般にろ床洗浄装置(逆洗装置)は設けられていない。

処理対象人員が同じ場合、嫌気ろ床槽は沈殿分離槽よりも必要容量が小さい。

通常の使用状態で8カ月間運転された嫌気ろ床槽第1室の汚泥の蓄積状況は、 槽底部がかなり多く認められ、ろ床内(中間部)がある程度認められ、ろ材抑え上部が少し認められる。

接触ばっ気槽

接触ばっ気槽を構成する装置として、 空気を供給するためのブロワ、酸素を供給し、汚水を撹拌するための散気管、 接触材の閉塞防止のための逆洗管、 剥離汚泥の移送装置、 生物膜を付着させるための接触材がある。

ばっ気槽の運転条件は、沈殿槽からの汚泥返送率を200%にして、 MLSS濃度を3000~6000mg/Lに保持し、DO濃度をおおむね1mg/Lになるように 送気量を調整するとともに、BOD容積負荷は、0.2~0.3kg/(m3・日)で、 運転することが望ましい。また、除去BOD1kg当たり0.6~0.7kgの余剰汚泥が生成する。

接触ばっ気方式の沈殿槽の点検項目として、汚泥高、浮上汚泥の有無、 汚泥移送装置の作動状況、越流せきの水平がある。 接触ばっ気法では、点検項目として沈殿槽からの汚泥返送は不要である。

生物膜の肥厚速度は、負荷条件に影響されることが多い。

2室以上に区分するのは、汚水の短絡流を防ぐためである。

2室以上に区分するのは、各室が相互に機能を補完するためである。

2室以上に区分する場合、各室を等容量にしないのは、 第1室の負荷が大きくなり過ぎないようにするためである。

槽容量が5.2m3以下の場合、 1室と限定しているのは、2室以上に区分すると配管などの内部装置が複雑になり、 製造、管理上支障をきたす場合があるためである。

小型浄化槽の嫌気ろ床槽の槽内の汚水の流れは、第1室が下降流、第2室が上向流または下向流である。

小型浄化槽の嫌気ろ床槽の第1室の有効容量は、嫌気ろ床槽の有効容量の概ね2分の1から3分の2までとする。

小型浄化槽の嫌気ろ床槽の有効水深は水面から槽底部までをいう。

接触ばっ気槽内の生物膜量が不足すると消費酸素量が少なくなり、 槽内DOは上昇する傾向になる。

接触材は、空隙率および間隔(ピッチ)が大きいものであること。

接触ばっ気槽においては、ばっ気撹拌によって汚水と生物膜を効果的に接触させるために考慮すべき項目は、 接触材受け面から槽底部までの距離接触材のピッチ(pitchは、間隔)水かぶり散気装置の位置である。 接触材の比重までは考慮しなくてもよい。

通常の使用状態の分離接触ばっ気方式の浄化槽において、除去の高い順に水質項目を並べると、
BOD = SS > COD > 窒素 になる。

ばっ気槽に対するBOD負荷が計画値より低く、硝化が進んで処理水のpHが低下する場合、間欠ばっ気の導入を検討する。

接触ばっ気槽の内部設備

生物膜を付着させるための接触材

酸素を供給し、槽内を撹拌するためのばっ気装置

接触材の閉塞防止のための逆洗装置

固形物を捕捉することは閉塞につながるため、固形物を捕捉するためのろ材は不適当である。

剥離汚泥の移送装置

水かぶり

水かぶりとは、接触ばっ気槽において、接触材押さえ面とばっ気停止時の水面との距離。

ろ材

ろ材は汚泥を捕捉しやすく、かつ、槽内の水流が短絡し難い形状のものとすることになっている。 汚泥を捕捉しやすいと同時に、ろ床底部よりろ材間隙水を引き抜くだけで、 捕捉されている汚泥が脱落しやすいろ材が清掃作業性から好都合である。 その理由は、嫌気ろ床槽には、一般にろ床洗浄装置(逆洗装置)が設けられておらず、 上部からの圧力水等で洗い落とせば、 それだけ引き抜き汚泥量(清掃汚泥量)が増加するためである。

単位装置とろ材または担体の組合せは以下である。

嫌気ろ床槽の第1室のろ材 大きさ:φ165mm, 比表面積:60m2/m3
嫌気ろ床槽の第2室のろ材 大きさ:φ75mm×L75mm, 比表面積:63m2/m3
担体流動部の担体 大きさ:φ15mm~20mm×L15mm, 比表面積:950m2/m3
生物ろ過部の担体 大きさ:φ15mm~20mm×L15mm, 比表面積:60m2/m3

性能評価小型浄化槽の担体流動槽

一次処理装置において水位が上昇する最も大きな原因として、 担体に付着した生物膜の肥厚化があるというのは誤り。 一次処理装置の水位上昇の原因として、ろ床内や各槽の移流部の閉塞が考えられる。 一方、流量調整装置、循環装置、逆洗装置の運転が不適切であることが、水位上昇の原因である場合も多い。

担体の流出を防止するために設ける担体受け、担体押さえの設置部分では、生物膜の付着により閉塞することがある。

担体の流出により担体量が不足すると、処理に必要な生物量が不十分となる。

担体流動槽の水位が上昇すると、担体流出防止ネットが押し上げられることがある。

担体が循環装置内に吸引されると、循環水量の減少や停止につながることがある。

嫌気ろ床槽と生物ろ過槽を組み合わせた窒素除去型小型浄化槽

沈殿槽

沈殿槽は、浄化槽に用いられている単位装置であり、その位置は、生物処理装置と消毒槽の間である。 沈殿槽の機能は、生物処理装置流出水中の浮遊汚泥を沈殿分離し、清澄な上澄水を得ることである。 さらに、分離された汚泥は、汚泥の腐敗やスカム生成等の障害が生じないように、 速やかに汚泥貯留機能を有する単位装置へ移送あるいは活性汚泥法の生物処理装置へ返送することである。

5~30人槽では、生物反応槽と一体型の底部が連通したスロット型沈殿槽が、 31人槽以上では、生物反応槽とは別に設置されたホッパー型の沈殿槽が用いられる。

スロット型沈殿槽は、上澄水流出部の越流ぜき、スカムの流出を防止するためのスカムバッフル等から構成されており、 比較的単純な構造となっている。 ホッパー型の沈殿槽は、越流ぜき、スカムバッフル、汚泥移送(ばっ気槽では返送)用ポンプセンターウェルスカムスキマ等から構成されている。

スロット型の汚泥返送(移送)装置を有しない沈殿槽は、駆動部分がないので、 保守作業は、主としてスカムの除去及び越流ぜきの調整等を行う。

沈殿槽において、汚泥が浮上するのは正常なことではないが、沈殿槽の構造が悪かったり、 汚泥移送が十分に行われていない等が原因で堆積汚泥が腐食して浮上する場合だけでなく、 生物反応槽のBOD負荷が低く硝化反応が進行して 沈殿槽に堆積している間に脱窒反応が起こって窒素ガスが発生して浮上することもある。

沈殿槽において、スカム移送用のスカムスキマの稼働状況の点検を行う。 その際、スカムスキマを作動させ、沈殿槽表面のスカムが吸い寄せられることを確認する。 スカムスキマを通じてスカムが沈殿槽外へ排出される。

ホッパー型

ホッパー型は、ろうと状の構造をした装置である。浄化槽の場合、小・中型の沈殿槽で、 沈降、圧密した汚泥を底部中央に自重で集積させるために設ける。 生物処理からの流入は流入管を通じて行われ、槽中央部の整流筒(センターウェル)を経て、沈殿部に流入する。

ホッパー型沈殿槽の構造

ホッパー部分の高さの2分の1は、有効水深に含める。

槽の平面形状は、円形または正多角形(正三角形を除く)とする。

生物反応槽からの流入は、槽中央部の整流筒(センターウェル)を経て行われる。

水面積負荷は、整流筒(センターウェル)の面積を含めて計算する。

スカムバッフルが設けられている。

汚泥移送用のエアリフトポンプが設けられている。

汚泥搔き寄せ機が設けられているというのは誤り。 ホッパー型の沈殿槽は、汚泥の自重により槽の中心部に集泥されるため、汚泥搔き寄せ機は設けられていない。

センターウェル(center well)

ホッパー型沈殿槽または汚泥掻き寄せ機付き沈殿槽において、 流入水を中央から周囲に均等に分散させるための筒。整流筒。

スロット型沈殿槽とホッパー型沈殿槽の比較

スロット型 ホッパー型
処理対象人員 5~30人 31人以上
生物反応槽の種類 生物膜法(接触ばっ気槽のみ) 生物膜法、活性汚泥法
堆積汚泥の移送方法 重力移送 移送ポンプによる強制移送
スカムスキマ
汚泥移送装置 有 or 無

スロット型沈殿槽

汚水の流入が間欠的な場合、ピーク時の流入汚水量に見合った容量があれば、 水の流れに伴って押し上げられた汚泥は、汚水の流入停止に伴い上昇が停止し、 上澄水だけが流出して、汚泥の流出が防止される。その後、押し上げられた汚泥は再び沈殿し、 槽底部に戻るとともにその一部が生物処理槽に移送される。

嫌気ろ床接触ばっ気方式

嫌気ろ床槽のろ材充填率は第1室が概ね40%第2室が概ね60%である。

嫌気ろ床槽のろ材充填率は第1室が概ね40%その他の室が概ね60%とすること。

5人槽の嫌気ろ床槽の有効容積は、1.5m3以上である。

槽の有効水深は、1.2m以上である。

沈殿槽のホッパー部分の勾配は、水平面に対して60度以上である。

接触ばっ気槽において10人槽までのばっ気強度は2.0m3/(m3・時)以上とする。

硝化液循環活性汚泥方式

脱窒槽のDOが概ね0mg/Lであること。

槽内の水温が13℃以上であること。

流入汚水のBOD濃度が窒素濃度の3倍以上であること。

硝化槽のDOが1mg/Lであること。

硝化液循環法による窒素除去を目的とした場合、 流入汚水のBODと窒素の比(BOD/N)が望ましい範囲にある建築物の用途は、老人ホームである。

硝化液循環汚泥方式の浄化槽における窒素除去

建築用途によっては、流入汚水のT-N濃度が著しく高い場合、硝化が不十分となることがある。 一方、硝化が十分に進行すると、pHが低下することがある。 また、BOD/N比が低い場合、脱窒を進めるためには、水素供与体の添加が必要である。

BOD/N比が低く、脱窒のためのBOD源が不足し、脱窒が不十分となって処理目標水質が維持できない場合がある。 一般に、BOD/N比が3以下の場合は水素供与体が必要とされている。

有効容量

接触ばっ気槽(室)の有効容量は、流入汚水量とBOD量を基準に算定する。 処理対象人員1人当たりの汚水量及びBOD量を以下の値とし、処理対象人員を基礎に容量を規定している。

みなし浄化槽---汚水量:50L/(人・日), BOD量:13g/(人・日)

浄化槽---汚水量:200L/(人・日), BOD量:40g/(人・日)

小型浄化槽の接触ばっ気槽(告示第1第一号、第二号)(性能BOD20mg/L以下)の有効容量は以下である。

5<=n<=10 V=1.0 + 0.2(n-5)
11<=n<=50 V=2.0 + 0.16(n-10)
ただし、5.2m3(30人槽)を超える場合、2室に区分し、 第1室の容量は全容量の概ね3/5とする。
V:有効容量(m3), n:処理対象人員(人)

小型浄化槽の接触ばっ気槽(告示第1第三号)(性能BOD20mg/L以下、T-N20mg以下)の有効容量は以下である。

5<=n<=10 V=1.5 + 0.3(n-5)
11<=n<=50 V=3.0 + 0.26(n-10)
ただし、5.08m3(18人槽)を超える場合、2室に区分し、 第1室の容量は全容量の概ね3/5とする。
V:有効容量(m3), n:処理対象人員(人)

総容量が最も大きいのは、脱窒ろ床接触ばっ気方式で、次に分離接触ばっ気、嫌気ろ床接触ばっ気方式の順である。

脱窒ろ床槽

脱窒ろ床槽は、脱窒ろ床接触ばっ気方式の固液分離及び脱窒反応装置(兼汚泥貯留装置)として用いられる。 脱窒ろ床槽の有効容量は基礎容量2.5m3に対して、処理対象人員6~10人においては1人当たり0.5m3を、 処理対象人員11~50人においては0.3m3を、それぞれ加算する。

5<=n<=10 V=2.5 + 0.5(n-5)
11<=n<=50 V=5 + 0.3(n-10)
V:有効容量(m3), n:処理対象人員(人)

室区分も嫌気ろ床槽と同様、短絡流を防ぎ、押し出し流れとなるように、 2室(大型の場合は必要に応じ2室以上)に分け、直列に接続する。 第1室の有効容量は全容量の1/2~2/3と大きくすることも同様である。

脱窒ろ床接触ばっ気方式のフローシート

5~30人
31~50人

処理対象人員51人以上の接触ばっ気方式の構造

沈殿槽から接触ばっ気槽への汚泥を返送する必要はない。

逆洗装置は必ず設置する必要がある。

接触材の充填率は、有効容量の55%とする。

微細目スクリーンを組み合わせなければならない。

汚泥濃縮貯留槽

汚泥濃縮貯留槽は、1つの槽で汚泥の濃縮と濃縮汚泥の貯留を行う設備であり、 処理対象人員が500人以下の流量調整槽を前置した方式に用いられる。

汚泥の濃縮する方法には、重力濃縮法、浮上濃縮法と機械濃縮法があるが、 浄化槽で一般に用いられているのは、重力濃縮法である。 重力濃縮法は、汚泥を沈殿させたのち、脱離液を引き抜くことによって汚泥濃度を高める方法である。

汚泥濃縮貯留槽の平面形状は円形、正方形、長方形型とし、底部はホッパー型とする。 ホッパーの勾配は45度以上とするなど、 汚泥濃縮槽に準ずる構造とされている。

汚泥濃縮貯留槽の有効水深は1.5m以上5m以下と規定されており、 流入管の開口部及び流出管またはバッフルの下端開口部は、汚泥の固液分離を妨げない構造とすることと規定されている。

汚泥濃縮槽

汚泥濃縮槽は処理対象人員が501人以上の流量調整槽を前置した方式に用いる。 この場合、汚泥貯留槽が後置される。 汚泥の濃縮及び脱離液の引き抜き方法は、汚泥濃縮貯留槽と同様である。 構造は、濃縮を目的とする槽のため沈殿槽に近い形状としている。 汚泥濃縮槽の有効水深は、構造基準において2~5mとすることと規定されている。

汚泥貯留槽

汚泥貯留槽は、処理対象人員が501人以上の流量調整槽を前置した方式に用いる。 汚泥貯留槽の構造は、単に汚泥の貯留を目的とする槽であるから、 底部は特にホッパー構造としなくてよい。

汚泥貯留槽における汚泥などの引き出し後の水張りは不要である。

汚泥貯留槽は、汚泥の貯留が所定量に達したときが清掃時期の判断の目安とされている。

地下砂ろ過

地下砂ろ過は、地中に細長い素掘の溝(trench)を掘り、 下部に砕石または砂利を敷き、その上にろ過槽、散水管を設けて腐敗タンク流出水を散水する構造で、 ろ過槽を流下する間に浮遊物質のろ過と砂の表面に生育した生物膜による好気性分解を期待した方式である。

地下砂ろ過床

一次処理はトレンチ上部の散水管に入り、各部より周囲に浸透し、砂利層、 砂層を流下してトレンチの集水管に入り、消毒後、放流される。 トレンチの周囲の土壌の性状によっては、集水管に入らず、土中に浸透していく水もある。

一次処理水は、土壌によるろ過、吸着及び生物作用によって浄化される。 原理上は、自然の土壌及び土壌微生物を利用した方式であり、 設置場所の地層、地質あるいは環境条件に影響される。 点検の目的は、装置内の目詰まり状況を確認することである。

散水ろ床

空隙率及び比表面積が大きく、握りこぶし程度の表面がざらざらした安山岩、花崗岩等の砕石(ろ材)を積み上げたろ床に空気を通じて好気性に保ち、 その上から汚水を均等に散水すると、やがてろ材の表面に好気性微生物を主体とした生物膜が形成される。 散水ろ床は、この生物膜に汚水を接触させて処理する生物膜法の方式である。

ろ過装置

接触ばっ気・ろ過方式は、通常の生物処理に接触ばっ気及びろ過装置を付加し、 BOD、SS等の高度処理を行うものである。 公共用水域に放流水を排出する浄化槽に関して、放流水のBODが10mg/L以下、 CODが15mg/L以下の排水基準が要求される場合で、 処理対象人員が101人以上に用いられる処理方式である。

ろ過装置の構造は2台以上(複数系列)とし、汚水のろ過及び捕捉された浮遊物質の逆洗が適正に行え、 装置内に蓄積した浮遊物質を流量調整槽に移送できる構造とする。

アンスラサイト(anthracite)

無煙炭。濁度除去、SS除去用のろ過材。 ろ過砂よりも密度が小さく逆洗後にろ過砂の上層に 成層され逆粒度構成になることから、ろ過砂と組み合わせて複層ろ過として多く利用されている。

石炭化度が最も高く、揮発分が少ない石炭。 複層ろ過のろ材として砂層の上部に充填して用いられる。 比重は砂の2.55~2.65に比べて小さく1.3~1.7である。

ガーネット(柘榴石)

ガーネット(garnet)は砂の比重2.55~2.65に比べて大きく3.15~4.30であり、 上層にアンスラサイト、中層に砂、下層にガーネットを積層することでろ過効率を高めることが可能である。

マッドボール(mud balll)

砂ろ過装置で、ろ材の表面に付着したスライムに糸状性細菌が著しく増殖して球状になったもの。 大きいものは数センチ以上になるので、逆流洗浄だけでは除去が困難である。

砂ろ過装置

砂ろ過装置で、洗浄が不十分であると、ろ材粒子、懸濁粒子、粘着性物質が球状の小塊となるマッドボールを形成しやすい。 砂層や砂利層は定期的に点検し、必要があれば外部へ取り出して洗浄することが望ましい。 その際にろ材の磨耗状況についても点検し、必要に応じて交換する。

砂ろ過装置の異常な状況として、損失水頭の上昇、自動逆洗回数の増加、 処理水槽内への汚泥の流出、ろ過水量の減少がある。

砂ろ過装置では、溶解性有機物質の除去は期待していない。

平面酸化床

平面酸化床は、長い水路の底面に砕石を埋めた構造で、 腐敗タンク流出水をこの水路に平面的に流し、砕石や水路に付着した生物膜と接触させて浄化させる生物膜法である。 平面酸化床は落差をとらなくてすむため、地表面近くに設置できるので 散水ろ床のような排水ポンプが不要であるという特徴があり、 小規模のみなし浄化槽によく用いられた。

平面酸化床の処理対象人員は200人までである。

平面酸化床では、腐敗室流出水にはDOがほとんどないが、 平面酸化床の流れ方向に微好気性の生物膜が観察され、BOD負荷が高いと膜の黒色化が進行する。

平面酸化床の改善方法として、腐敗流出管の間近に水道水を微量滴下することで、 酸素の供給及び希釈効果を高める方法がある。

平面酸化床は、長い水路の底面に砥石を埋めた構造で、 腐敗タンク流出水をこの水路に平面的に流し、砥石や水路に付着した生物膜と接触させて浄化させる一種の生物膜法である。 水路は汚水が滞留しないように勾配が設けられている。

平面酸化床の構造は、平面酸化床板上に数cmから10cm幅の水路を設け、砕石などを千鳥形に配置したものである。

腐敗タンク・腐敗室

腐敗タンクとは、散水ろ床型、平面酸化型、単純ばっ気型あるいは地下砂ろ過型二次処理装置の前に設けられている単位装置である。 腐敗室とは、平成12年5月に削除されたみなし浄化槽の散水ろ床の前に設けられている単位装置である。

腐敗タンク・腐敗室の単位装置の機能は、 流入汚水中に含まれている固形物の沈殿分離と分離した固形物を一定期間貯留することであり、 沈殿分離タンク(室あるいは槽)と同様である。 なお、沈殿分離タンク等に比べ、同じ人槽では必要容量が約2倍あるため、固形物の嫌気性分解(嫌気性消化作用)の進行が認められる。

BODの除去機能に関しては、使用開始あるいは清掃後しばらくの期間は、固形物の沈殿分離に伴ってBOD除去が認められるが、 貯留期間が長くなると汚泥の可溶化に伴い、除去効果が期待できなくなる。 したがって、生物処理装置の設計に際し、これらの単位装置におけるBOD除去率は0%とする。

腐敗タンクとしては、多室型、二階タンク型及び変形二階タンク型の3種類の構造がある。 一方、腐敗室としては、多室型と変形多室型の2種類の構造があり、それぞれ腐敗タンクの場合の多室型と変形二階タンク型と同じ構造である。

多室型の場合、腐敗タンク(室)を2室以上4室以下に区分し、 平面上に直列に各室を接続した構造で、最終の室には予備ろ過装置を設ける。

腐敗タンク方式の一次処理装置には、多室型、二階タンク型、変形二階タンク型がある。 また、二次処理装置には、散水ろ床型、平面酸化型、単純ばっ気型、地下砂ろ過型がある。 したがって、二次処理装置の接触ばっ気型は誤りである。

余裕高

余裕高は、槽の水面から天端までの高さである。 水位の上昇に対して余裕をもたせることと、作業のための空間を確保するために必要である。

水面からスラブ下面までの余裕高は、みなし浄化槽では20cm以上とする。 浄化槽では、5~10人まで25cm以上、11~30人までは35cm以上、31人以上では45cm以上とする。

沈殿分離槽

沈殿分離槽は、接触ばっ気槽回転板接触槽あるいは散水ろ床の前に設けられている単位装置である。 沈殿分離槽の機能は、流入汚水中に含まれている固形物の沈殿分離と分離した固形物等を一定期間貯留することである。 沈殿分離槽を設けると、付随的に浄化槽への流入汚水量の時間変動に比べ、 沈殿槽流入水量の時間変動が小さくなる機能(クッション性)や、 貯留時間が長いと固形物の嫌気性分解機能等も認められる。

流入管の管底は、水面から5cm以上高い位置とする。

流入管の下端開口部は、みなし浄化槽では水面から有効水深の1/3の位置に、 浄化槽では水面から有効水深の1/3~1/4の位置に設ける。

有効水深が浅い場合は、流入管の下部に阻流板(baffle)を設ける等、汚水の流入時に沈殿汚泥が撹拌混合されないような工夫をする。

流出口(管)の下端開口部は、みなし浄化槽では水面からの有効水深の1/2の位置に、 浄化槽では水面から有効水深の1/2~1/3の位置に設ける。

沈殿分離槽に入った汚水中の固形物を効率よく沈殿分離させるための構造として、 2室または3室に区分し、直列に接続する。

沈殿分離槽の第1室の容量は、2室に区分する場合は沈殿分離槽全容量の概ね2/3、 3室に区分する場合は概ね1/2となるよう区分する。

ドラフトチューブ(draft tube)

ばっ気槽、接触ばっ気槽などの中心部に設ける縦型の円筒。 ばっ気をエアリフトポンプまたは機械撹拌装置により行う場合に設け、 効果的に旋回流が形成され、混合撹拌が行われるようにする。

チャッキ弁(逆止弁)

配管内流体の逆流を防止して不測時の障害運転に対処するための弁。逆止弁。

電磁弁が作動しない原因として、コイルの切断、接続不良、バルブ(valve)の腐食、異物の噛み込みがある。

オリフィス(orifice)

配管の管路中に設ける絞りの一種。

浄化槽の空気配管途中に設けるオリフィスは、空気配管の吹き出し位置の水位差に相当する抵抗を与え、 ブロワからの空気を配管で分岐する場合に各配管へ送られる空気量の変動を迎える役目がある。 空気量をオリフィスにより調整している場合、閉塞しやすいため、オリフィスの掃除が必要となる。

水中ポンプの異常な現象とその原因

起動しない --> モータの絶縁不良

異音の発生 --> 逆止弁の破損

電流値の異常 --> 異物による閉塞

揚水量の低下 --> 羽根車の接触

運転中に停止するのは、羽根車の摩耗が原因ではない。

流量調整槽

流量調整槽で最も重要なことは、二次処理装置への移送水量をできるだけ24時間均等に移流させることである。 このため、揚水ポンプは、流入ピーク時にできるだけ連続稼働するように設定する。

流量調整槽の移送ポンプの自動制御装置には、転倒スイッチリレーが 組み合わせて使用されている。 故障の事例として最も多いのは、転倒スイッチの故障であり、その原因は、ほとんどの場合、スイッチ接点の摩耗である。

流量調整槽に設置するポンプの起動・停止については、以下である。

1) 通常時の場合、ポンプの起動位置はLWLより+30cm程度の位置で、 停止位置はLWLの位置である。

2) 構内水位がHWLを超えた場合、2台同時運転とする。 うち1台の停止位置はHWLより-30cm程度の位置である。

3) 構内水位がAWLを超えた場合、非常用ポンプの起動位置は、 AWLの位置で、停止位置はHWLより-30cm程度の位置である。

流量調整槽の役割の1つとして、沈殿槽における水面積負荷の均等化がある。

有効水深は、低水位と高水位の間である。

高水位は、槽の上端より50cm以上低い位置に設定する。

常用ポンプの起動位置は、槽内水位が低水位より30cm程度上昇した位置とする。

常用ポンプは、故障時などに備えて2台以上設置する。

流量調整槽は汚水の変動幅を緩和して一定の変動幅以下に抑制するものである。

流量調整槽は合併処理浄化槽に必ずしも必要な機能ではない。

予備ポンプの停止位置は起動水位より30cm程度低い位置とする。

低水位は、槽の底部から50cm高い位置に設定する。

高水位は、槽の上端から50cm低い位置に設定する。

警報水位は、高水位から20cm高い位置に設定する。

常用ポンプの起動水位は、低水位から30cm高い位置に設定する。

2台のポンプが同時に起動する位置はHWL(高水位)の位置で、うち1台だけ停止する位置はHWLより-30cm程度の位置である。

流量調整槽内を撹拌混合するため、撹拌装置を設置する。

流量調整槽の移送水量を調整するため、分水計量装置を設置する。

流量調整槽の常用ポンプは計画移送汚水量に多少の余裕を見込んだものとする。 非常用ポンプは時間最大汚水量に対応できる容量とする。

原水ポンプ槽

流入管の延長距離が長く、浄化槽本体の流入管底が地表面よりかなり深くなる場合、 そのまま状態で浄化槽を施工すると建設費が高くなり、 小型浄化槽ではマンホール等の開口部の嵩上げ高さが30cm以上になると、 保守点検及び清掃が容易かつ安全に行えなくなるおそれがある。

このような場合、浄化槽本体直前で汚水を所定の位置まで揚水するために原水ポンプ槽または流入ポンプ槽を設置する。

原水ポンプ槽の溢流対策として、直接一次処理装置に槽内水を移送するための非常用ポンプを設ける。

原水ポンプ槽は、流量調整槽と異なり撹拌装置が設けられていないため、 槽の長短辺比を大きくしたり、水深を浅くすると、汚泥の堆積やスカム(scum)が形成しやすくなるので、十分留意する必要がある。 また、槽底部は、堆積した汚泥などを引き出しやすいよう、傾斜を設けるとともに、釜場やピットを設けることが望ましい。

水中ポンプが作動しない原因として、 モーターの絶縁不良、ケーブルの断線、オートカットの作動インペラー(impeller, 羽根車)のロックがある。

常用ポンプは、故障時に備え2台以上設置する。

荒目スクリーンの目幅は、50mm程度とする。

通常、常用ポンプの起動水位は、低水位より15cm程度上方とする。

ばっ気沈砂槽

ばっ気沈砂槽は、沈砂中への糞塊などの混入を減らすために設けられる。 ばっ気沈砂槽は、散気装置排砂装置及び排砂槽から構成され、 ばっ気によって泡が多量に発生することがあるので、 消泡ノズル等の消泡装置を設ける必要がある。

ばっ気沈砂槽の有効容量(ホッパー部より上の部分の容量)は、 時間最大汚水量の3/60に相当する値以上(時間最大流入時間帯における平均滞留時間としては3分間以上)とする。

ばっ気沈砂槽のばっ気のための空気量は、有効容量1m3当たり1.0m3/時 (ばっ気強度1.0m3/(m3・時))程度以上とし、手元調整弁を必ず設ける。

ばっ気沈砂槽は、散気装置、排砂装置、土砂類と水とを分離する排砂槽及び消泡装置から構成されている。

排砂装置は、砂による磨耗や目詰まりのおそれの少ないエアリフトポンプが使用されている。

ばっ気沈砂槽は、砂だまりと同様、ばっ気撹拌を行うことにより、土砂と汚物を分離し、土砂のみを沈殿させ、堆積した土砂をポンプにより排出して処分を容易に行えるように設計されている。

ばっ気沈砂槽のばっ気用の空気供給量は、 時間最大汚水量1m3当たり1.25m3/時程度撹拌流速は0.2~0.3m/秒程度が必要とされているが、 設定した運転条件で土砂と汚物の分離が十分行われているかどうかを点検する。

浄化槽で用いられるエアリフトポンプ(気泡ポンプ)

エアリフトポンプの揚水管の下部に空気を吹き込むと、管内に液と空気の混合液ができ、 管内、管外の密度差(比重差)によって管内の混合液が押し出される。

エアリフトポンプの揚水量は、ポンプの形状や汚泥濃度によって変化する。

1m3の汚泥に対して必要な空気量は、1.5m3以上といわれている。

汚泥を返送しようとする場合、管内の流速を汚泥の沈降速度以上(0.6m/s程度)にする必要がある。

空気供給にはばっ気用のブロワなどが利用でき、機械的な故障が少ない。

水面から空気吹き出し口までの距離(浸水深さ)が大きいほど、エアリフトポンプのの揚水量が多くなる。

膜分離型小型浄化槽

膜分離活性汚泥法は、活性汚泥と処理水の分離に従来の沈殿槽の代わりに精密ろ過膜(細孔径が0.1~0.4μm, MF膜)を適用したろ過装置を用いる方法で、 次のような特徴がある。

1)固液分離の効率化
従来の生物処理では固液分離のためピーク水量に対応した容量の沈殿槽が必要であったが、 これが不要となり、小容量化が可能となる。

2)生物反応槽の小容量化
重力沈殿による固液分離が不要となるため、生物反応槽内で高いMLSS濃度が保持できるようになる。 この結果、生物反応槽の小容量化、余剰汚泥の減量化が可能となる。

3)微生物槽の安定化
活性汚泥の滞留時間(SRT)が長くなるため、硝化細菌や排水中に含まれる特殊な有機物質を分解する細菌など、 比較的増殖速度の遅い細菌も増殖・高濃度保持が可能となる。

4)処理水質の高度化・安定化
膜透過水中にはSSや大腸菌群などは含まれておらず、非常に清澄な処理水を得ることができる。 また、従来の活性汚泥法の欠点である活性汚泥の沈降特性の変化や流入汚水量の時間変動に伴って処理水が悪化することがない。 さらにクリプトスポリジウム汚染対策としても効果がある。

膜分離型小型浄化槽の膜分離槽

汚泥調整は、通常、3カ月に1回の保守点検、6カ月に1回の清掃に合わせて行う。

膜の薬品洗浄には、通常、5000mg/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液が用いられている。

膜の薬品洗浄後の中和剤として、0.5%チオ硫酸ナトリウムが用いられている。

膜の薬品洗浄後、吸引側の圧力計の値が-10kPaであることを確認する。

汚泥の引き出し後、MLSS濃度は1000mg/L以下ではなく、3000mg/L以上とする。

浄化槽の図面

すべての図面を1枚にまとめるのは困難であるため、用途によって種々の図面を用意する。

寸法をミリメートル単位で記入した場合は、単位記号を付けなくてもよい。

正接(tan, tangent)とは、水平長さに対する垂直長さの比をいい、これによって勾配を表示する。

配管の勾配は、垂直の長さを水平の長さで除した値で表す。

尺度には、縮尺、現尺、倍尺があり、同一図面で異なる尺度を用いてもよい。

同じ形の形体が繰り返される場合には、途中の形体を省略することができる。

土木、建築、機械、電気等の製図は日本工業規格(JIS)に基づいて作成されている。

図面の用紙のサイズは、A列と呼ばれる規格のものを用い、A1判はA0判の半分のサイズである。 図面の用紙は、A4×8(23)=A1サイズを用いている。

各槽の水位の関係を水の流れにしたがって示すために、水位高低図が作られる。

配管図では、1本の管は、1本の太い実線で示され、 管内を流れる流体の種類、管の種類は記号で示す。

寸法は原則としてミリメートル[mm]単位で記入し、単位記号を付けない。 ただし、他の単位を用いる場合には単位が明示されている。

図面は、第一角法あるいは第三角法で表す。

配置図は、構造物及び装置における管の接続・配置を示す系統図であるというのは誤り。 配置図は、地域内の建築物の位置、機械などの据え付け位置の詳細な情報を示すものである。

配管図において、管内を流れる流体の種類を示す記号

A-->空気(Air), G-->ガス管(Gas), O-->油送り管(Oil), S-->蒸気送り管(Steam)

浄化槽で用いられる図面

一般図---構造物の平面図・立面図・断面図等によって、その形式・一般構造を表す図面

工程図---制作工程の途中の状態または一連の工程全体を表す制作図

装置図---各装置の配置、製造工程の関係等を示す図面

配管図---構造物、装置における管の接続・配置の実態を示す系統図

組立図---部品の相対的な位置関係、組み立てられた部品の形状等を示す図面

制作図---一般に設計データの基礎として確立され、製造に必要なすべての情報を示す図面。

(電気)接続図---電気回路の接続と機能を示す系統図。

詳細図---構造物、構成材の一部分について、その形、構造または組立・結合の詳細を示す図面。

部品図---部品を定義するうえで必要なすべての情報を含み、これ以上分解できない単一部品を示す図面。

配置図---地域内の建物の位置、機械などの据え付け位置の詳細な情報を示す図面。

流体の種類

配管図に用いられる流体の種類を以下に示す。

排水管[─────]

厨房排水管[──KD──]

汚水排水管[───)──]

雨水排水管[──RD──]

通気管[----------]

図面中に用いられた実線の一般的な使用用途

見える部分の外形線, 引出線, 対象物の一部を取り去った境界を表す線, 寸法補助線

断面の位置を表す線は実線ではなく、細い一点鎖線である。

寸法等の記入方法に関する名称

インバート升

インバート升は、管路の途中に設ける点検用の升で、汚水中の汚物や固形物が停滞しないように、 底部に半円状の溝を切ってある。インバートとは、管の底面という意味である。

点検升の内径は、点検や清掃に支障が生じるおそれがない場合、 15cm以上の円形にすることができる。

升類の記号

升類の記号を以下に示す。

雨水ます
ためます
インバートます
格子ます
トラップます
浸透ます
公共ます

管渠の異常とそれによって生じる障害

インバート升から浄化槽本体までの配管の勾配がほとんどない。-->汚物の堆積

トラップ升の封水がきれている。-->宅内への衛生害虫の侵入

流入管と浄化槽本体の接合部に亀裂がある。-->汚水の漏れ

流入管の起点付近の土かぶりが5cmである。-->配管の破損

放流管が逆勾配である。-->地下水の混入ではなく、放流水の滞留

コミュニティ・プラント(community plant)

コミュニティ・プラントは、廃棄物処理法でいうし尿処理施設の1つで、 し尿に加え、生活雑排水も処理するので、生活排水処理施設の1つとして位置づけられている。

トレーサー(tracer, 追跡子)

ある物質の挙動を知るために対象物に少量加えられる物質。

完全混合流

槽内全体で非常に混合が激しければ、濃度は完全に均一になってしまう。 このような状態を完全混合流、そうした水槽を完全混合槽という。

水の混合状態が完全混合とみなすことができる槽は以下である。

・容量が小さく、滞留時間の極端に長いばっ気槽

・長さが幅に比べて長くないばっ気槽

・トレーサー(追跡子)を瞬間投入した直後に、流出口で最大濃度となる槽

・循環流を十分に維持できている接触ばっ気槽

流れに垂直な断面全体で流速が均一な流れはピストン流、プラグ流、押し出し流などと呼ばれ、 槽内の濃度は均一にはならず、完全混合とみなすことはできない。

槽内の流体の流下方向に混合がなく、一様な流速で流れている状態を押し出し流れといい、 槽内が完全に混合され、どの位置でも等しい濃度を示す状態を完全混合という。 浄化槽の単位装置とその混合状態を近似するモデルの組合せは以下である。

凝集槽-->完全混合

接触ばっ気槽-->完全混合

砂ろ過槽-->押し出し流れ

膜分離槽-->完全混合

沈殿槽-->押し出し流れ

凝集槽では、撹拌装置により凝集剤を水中に均等に分散させ、均等な凝集を起こさせる。 このため完全混合といえる。

流れに垂直な断面全体で流速が一様な流れを押し出し流れという。

槽内全体で非常に混合が激しく、濃度が均一になるような流れを完全混合流という。

槽内に死水域があれば、実滞留時間は短くなる。

完全混合流では、入口にトレーサーを投入した瞬間に流出側でトレースが検出される。

押し出し流れでは、入口に投入したトレーサーは滞留時間が経過した時点ですべて流出する。

標準活性汚泥方式

標準活性汚泥方式は、5001人以上の大規模な浄化槽に用いられる。

汚水はばっ気槽の先頭部分に流入させ、沈殿槽からの返送汚泥もばっ気槽の先頭部分へ返送する。

BOD容積負荷は0.6kg/(m3・日)、滞留時間は6~8時間であるため、 長時間ばっ気方式と比べばっ気槽の容量は小さく、処理対象人員の多い浄化槽に用いられる。

長時間ばっ気方式

ばっ気槽での処理時間を長くすることで、余剰汚泥の発生量を少なくする方法として小規模な施設で普及した。

長時間ばっ気方式-->ばっ気時間:16~24時間

標準活性汚泥方式-->ばっ気時間:6~8時間

生物膜法では、食物連鎖が長くなるため、活性汚泥法と比べて余剰汚泥発生量が少なくなる。

長時間ばっ気方式は、BOD-MLSS負荷を小さくすることによって、発生汚泥を少なくする方法である。

標準活性汚泥方式より余剰汚泥が少ないことが特徴で、 そのためにばっ気時間を長くし、汚泥返送量を増やすことでMLSSを高くし、BOD容積負荷を小さくしている。

長時間ばっ気方式のBOD容積負荷は、0.2~0.3kg/(m3・日)、滞留時間は16~24時間である。 その結果、標準活性汚泥方式に比べ必要空気量やばっ気槽の容量が2~3倍大きく、処理対象人員の少ない浄化槽に用いられる。

項目 標準活性汚泥方式 長時間ばっ気方式
処理対象人員 5001人以上 101人以上
MLSS 1000~3000mg/L 3000~6000mg/L
BOD容積負荷 大きい
0.6kg/(m3・日)
小さい
0.2~0.3kg/(m3・日)
ばっ気時間 短い(6~8時間) 長い(16~24時間)
汚泥返送率 小さい 大きい
汚水量に対する送風量 少ない 多い
余剰汚泥生成量 多い 少ない
SRT(汚泥滞留時間) 短い 長い

長時間ばっ気方式は、標準活性汚泥方式と比較してSRT(汚泥滞留時間)が長いという特徴がある。

水量増加を伴わないBOD負荷の増加に対しては、タイマ制御等によって間欠的に空気を供給するというのは誤り。 BOD負荷が増大しているため、間欠ばっ気をしてしまうと酸素不足になる。 空気量の増大と余剰汚泥の引き抜き量の増大で対応できることが多い。

低負荷条件の施設では、酸素の供給量を減少させ、自己酸化をなるべく抑える。

ばっ気槽で汚泥の解体を伴う発泡現象が認められる場合、 空気供給量を減少させる。

長時間ばっ気方式による浄化槽の放流水質は、浮遊物質量が大きな影響を与えるため、 現構造基準では活性汚泥法の装置の構成には 流量調整槽の設置を必要としている。 既設浄化槽の改善に際し、 設置場所に余裕がない場合では、ばっ気槽の一部を削って流量調整槽に改善することが多い。

処理方式と処理対象人員の組合せ

処理方式と処理対象人員の組合せは以下である。

接触ばっ気方式-->処理対象人員:51人以上

回転板接触方式-->処理対象人員:51人以上

散水ろ床方式-->処理対象人員:501人以上

長時間ばっ気方式-->処理対象人員:101人以上

標準活性汚泥方式-->処理対象人員:5001人以上

回転板接触方式

槽の区分は、3室以上とすること。

回転板は、表面積の概ね40%が汚水に接触すること。

回転板相互の間隔は20mm以上。

円周速度は20m/分以下。

槽壁と回転板との間隔は、回転板の直径の概ね10%とする。

流量調整槽を設けない場合、回転板接触槽の有効容量は日平均汚水量の1/4以上とする。

回転板接触方式の浄化槽で、回転体の付着生物膜が「灰色から白みがかった」色相となった原因

流入BOD負荷が高い。

回転体の回転速度が遅い。

接触槽内のDOが高いというのは誤り。 付着生物膜が灰色から白みがかった性状であるのは、 BOD負荷が高いこと、回転速度が遅いこと、回転板接触槽内に堆積汚泥が過剰に蓄積していることなどによってDO不足を生じた結果といえる。

接触槽内に汚泥が過剰に蓄積している。

回転体の上屋(カバー)部分の通気が不十分である。

ピーク係数

ピーク係数は、汚水量の時間変動の大きさを表す指標の1つで、 時間最大汚水量と24時間平均の汚水量との比をいう。

時間最大汚水量が281[L/時]、総流入汚水量が1312[L/日]であるとき、 24時間平均汚水量は、 1312[L/日]÷24[時間/日] = 54.7[L/時] よって、ピーク係数は、 281[L/時]÷54.7[L/時] = 5.1

閉鎖性水域

閉鎖性水域における藻類の増殖にはリンを利用する。

閉鎖性水域において、栄養塩類(窒素, リン)が増殖すると富栄養化現象が進行し、 植物プランクトン(主に藻類など)が異常増殖する。 藻類の増殖は有機物の汚濁度の指標としてのCODを高め、 溶存酸素は表層飽和、深層水では減少し、透明度は下がる。

滞留時間

滞留時間は以下の式で定義され、系内で循環されていても滞留時間には影響しない。

滞留時間T[時間] = 容量V[m3]流入汚水量Q[m3/時間]

スクリーン

スクリーンには、バー式、ドラム式、振動式などがある。

荒目スクリーンには副水路は必要ない。

破砕装置には、細目スクリーンを備えた副水路を設ける。

微細目スクリーンは、流量調整槽の前後のどちらにも設けてもよい。

微細目スクリーンは、し渣の自動掻き揚げ装置が必要である。

スクリーンの除去方法は手動式もしくは自動式のいずれでもよいとされている。

荒目スクリーンは、水平に対して45~75度の角度で設けるのが標準である。

微細目スクリーンの目幅は、1~2.5mmである。

原水ポンプ槽には、荒目スクリーンを設ける。

ばっ気型スクリーンには、目幅が30~50mm程度のスクリーンを設ける。

夾雑物や粗大固形物の分離

沈殿分離、浮上分離、スクリーン分離によって、夾雑物や粗大固形物を分離する。

ろ過分離は誤り。 ろ過は高度処理工程に用いられ、微量の懸濁物質を除去する。

ろ布を使用する汚泥脱水機

加圧脱水機-->○, ベルトプレス-->○

多重円盤型脱水機-->×, 遠心濃縮型脱水機-->×, ロータリードラムスクリーン-->×

消泡装置

構造基準では、浄化槽で有効容量が5.2m3を超える (分離接触ばっ気方式及び嫌気ろ床接触ばっ気方式では30人を、 脱窒ろ床接触ばっ気方式では18人を超える)場合は、消泡装置を設けることとされている。

ばっ気強度

ばっ気槽1m3当りにつき1時間にばっ気する送風量[m3/(m3・時)]で表す。

ばっ気の強さを示す尺度としてばっ気強度があり、単位容量当たり空気供給量として m3/(m3・時)の単位で表される。

ばっ気強度(m3/(m3・時)) = 空気供給量(m3/時)ばっ気槽の容量(m3)

家庭用のみなし浄化槽では、ばっ気強度4~6m3/(m3・時)となっており、 浄化槽では、ばっ気強度2~4m3/(m3・時)となっている。

活性汚泥法では通常1.5~2.0m3/(m3・時)程度である。

接触ばっ気法は、活性汚泥法と比較して、一般的にばっ気強度が大きい。

ばっ気強度を求める問題

有効容量1.0m3の接触ばっ気槽が、 40L/分の総量量でばっ気されているときのばっ気強度を求めよ。

《解》
ばっ気強度[m3/(m3・時)] = 送気量[m3/時] / 接触ばっ気槽容量[m3]
= 0.04[m3/分]×60[分/時] / 1.0[m3]
= 2.4[m3/(3・時)]

BOD容積負荷

ばっ気槽の容積1m3当たり1日に流入するBOD量で[kg/(m3・日)]で表す。

構造基準では、標準活性汚泥方式は0.6kg/(m3・日)、長時間ばっ気方式は0.2~0.3kg/(m3・日)である。

BOD容積負荷[kg/(m3・日)] = ばっ気槽流入汚水量[m3/日]×BOD[g/m3] ばっ気槽の容量[m3] × 1000

BOD-MLSS負荷

生物量とBOD量の関係を示す指標に、BOD-MLSS負荷があり、次式で示される。

BOD-MLSS負荷[kg/(kg・日)] = BOD量[kg/日]MLSS[kg]

上記の式の右辺を変形すると以下のようになる。

BOD量[kg/日]MLSS[kg] = BOD容積負荷[kg/(m3・日)]MLSS[kg/m3]
= BOD容積負荷[kg/(m3・日)]MLSS[g/m3] × 10-3

BOD-MLSS負荷を0.5kg/(kg・日)以下に保つと処理水質が良好となる。

BOD-MLSS負荷からSV30を求める問題

次の条件で運転を行っている活性汚泥法の浄化槽におけるSV30の値を求めよ。
[条件]
流入汚水:BOD200[mg/L]
汚水の滞留時間:10時間
BOD-MLSS負荷:0.12[kg/(kg・日)]
活性汚泥のSVI:150

《解》
BOD-MLSS負荷[kg/(kg・日)] = BOD量[kg/日]MLSS[kg]

⇔ BOD-MLSS負荷[kg/(kg・日)] = BOD容積負荷[kg/(m3・日)]MLSS[kg/m3]

⇔ BOD-MLSS負荷[kg/(kg・日)] = BOD容積負荷[kg/(m3・日)]MLSS[g/m3] × 10-3 ---(A)

流入汚水量をQ[m3/日]とすると、
BOD容積負荷[kg/(m3・日)] = 流入BOD量[kg/日]ばっ気槽容量[m3] = Q[m3/日]×200[g/m3]×10-3Q[m3/日]×(10/24)[日]
= (24 / 10) × 0.2 = 0.48[kg/(m3・日)]
これを(A)に代入して、
0.12[kg/(kg・日] = 0.48[kg/(m3・日)]MLSS[g/m3] × 10-3
⇔ MLSS[mg/L] = 4000[mg/L]
よって、SV30は、 150 = SV304000 × 10,000
⇔ SV30 = 60%

汚泥返送率(汚泥返送比)

沈殿槽からの返送汚泥量とばっ気槽へ流入する流入汚泥量との比を汚泥返送率という。

汚泥返送率(%) = 汚泥返送量(m3)流入汚水量(m3) × 100

日平均汚水量が150m3/日、返送汚泥量が50m3/日であるとき、 汚泥返送率を求めよ。
《解》
汚泥返送率 = 汚泥返送量[m3/日]/日平均汚水量[m3/日]
= 50/150
= 1/3
= 0.33

ばっ気槽滞留時間

ばっ気槽滞留時間[時間] = ばっ気槽の容量[m3] × 24 ばっ気槽流入汚水量[m3/日]

沈殿槽滞留時間

沈殿槽滞留時間[時間] = 沈殿槽の容量[m3] × 24 沈殿槽流入汚水量[m3/日]

沈殿槽の有効容量が25m3で、日平均汚水量が150m3/日であるとき、 沈殿槽の沈殿時間を求めよ。
《解》
沈殿時間 = 有効容量[m3]/1時間当たりの流入水量[m3/h]
= 25[m3]/(150[m3]/24[h])
= 4h

水面積負荷

沈殿槽の水面積1m3当たり1日に流入する日平均汚水量水面積負荷という。

水面積負荷(m3/(m2・日)) = 日平均汚水量(m3/日)沈殿槽の水面積(m2)

水面積負荷は、沈殿槽内における水の平均上昇速度を表しているため、 分離対象の浮遊汚泥の沈降速度よりも小さくなるように設定する必要がある。

エッケンフェルダーによると、分離対象の汚泥の沈降速度と水面積負荷の関係は次式で表される。

水面積負荷 = 汚泥の沈降速度1.25~1.75

下水道の終末処理場の沈殿池では、水面積負荷は20~30m3/(m2・日)程度を標準としている。

浄化槽の沈殿槽の場合、次式から計算された数値以上の水面積を確保する必要がある。

水面積 ≧ 日平均汚水量(m3/日)水面積負荷(m3/(m2・日))

越流負荷

日平均汚水量のうち、長さ1m当たりの越流せきを流下するとみなされる汚水量越流負荷という。

越流負荷(m3/(m・日)) = 日平均汚水量(m3/日)越流せきの長さ(m)

越流せきの長さは、短いと部分的に流速が速くなり、 沈殿分離効果が不安定となるため、偏流が生じないようにできるだけ長く、 ホッパー型の場合は、沈殿槽の全周にわたって設定する必要がある。

下水道の終末処理場の沈殿池では、越流負荷は150(m3/(m・日))程度を標準としている。

浄化槽の沈殿槽の場合、次式から計算された数値以上の越流せきの長さを確保する必要がある。

越流せきの長さ(m) ≧ 日平均汚水量(m3/日)越流負荷(m3/(m・日))

オキシデーションディッチ方式(Oxidation ditch method), OD方式

オキシデーションディッチ方式は、長時間ばっ気方式のばっ気槽に代えてオキシデーションディッチ(酸化溝)を設けた処理方式。

オキシデーションディッチは無終端状の水路であり、水路の流れ方向に好気性部分と嫌気性部分が形成されるため、BOD除去だけでなく、処理条件によっては、生物学的な窒素およびリン除去も期待できる。

水路の水深が深くなると活性汚泥が沈降しない流速(一般的には、10cm/秒以上)を確保することが困難となるため、 水深が浅くなり、従来のものよりも広い設置面積が必要となる。

オキシデーションディッチ方式では、好気ゾーン嫌気ゾーンを形成することができる。

OD方式では、流速10cm/秒以上を確保して運転する。

OD方式では、BOD除去だけでなく、処理条件によっては、生物学的な窒素およびリン除去も期待できる。

宅地内の排水管

排水管の管径や勾配については、固形物の沈殿分離が生じないよう十分な流速が得られることが必要である。

浄化槽には台所、洗面所等から雑排水も併せて流入させるが、 雨水は別の排水系統とし、誤接合がないよう注意する必要がある。

建物内への臭気や害虫の侵入を防ぐため、必要な個所に排水トラップを設置する。

宅地内の排水管の施工にあたっては、浄化槽の位置、放流先の水路の水面の位置から、 十分な管の勾配が得られるかの確認が重要である。 排水管の設置場所は管理がしやすく、その長さはできるだけ最短距離となるようにする。

間欠定量ポンプの構造

空気配管途中の調整バルブの開度を調整することにより、単位時間当たりの移送水量を調整する。

流量調整移送装置・循環装置等を備えた戸建て住宅用の性能評価型浄化槽

エアリフトポンプと計量調整移送装置を組み合わせた装置は、 生物膜が形成されやすく、高負荷の施設においては、安定的な定量移送を長期間維持しがたい。

間欠定量ポンプは、時間ごとの揚水量を一定に保つために用いられる。

循環装置のエアリフトポンプでは、散気用ブロワからの空気の一部が循環揚水に充てられる。

ろ過部分の自動洗浄において、剥離した汚泥は沈殿槽に移送されるというのは誤り。 ろ過部分の洗浄において、洗浄排水は嫌気ろ床槽などの一次処理装置に移送される。

二次処理装置は面積が小さいため、槽上部の狭い空間に各配管が張り巡らされる型式が多い。

浄化槽工事

浄化槽工事

浄化槽の工事に関連した法規には、浄化槽法、建築基準法、建築業法及び労働安全衛生法等があり、 いずれも満足されていなければならない。 浄化槽法では浄化槽の工事を行う者について、以下の項目を規定している。

1)浄化槽工事業者としての都道府県への登録

2)浄化槽設備士の設置

3)浄化槽工事業者としての標示、帳簿の備え付け

4)建設業者に関する特例、その他

浄化槽工事を営もうとする者は、業を営む区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

浄化槽工事は、浄化槽法で定める浄化槽工事の技術上の基準に従って行わなければならない。

浄化槽工事業の登録の有効期間は5年で、更新の登録を受けることができる。

浄化槽工事業者は、営業所ごとに浄化槽設備士を置かなければならないとされている。

現場打ち浄化槽

現場で施工する鉄筋コンクリートによる浄化槽。 FRP製浄化槽に比べれば、浄化槽の強度が強く、設置場所に合わせた浄化槽の形状、 深い水深が取れることから設置スペースが比較的少なくて済む利点があるが、設置工事費用が高く 工期は長くなる欠点がある。

現場打ち浄化槽の工事の手順

事前調査-->仮設工事-->掘削工事-->基礎工事-->底版コンクリート工事-->

躯体工事-->内部設備工事-->水張り-->埋め戻し工事-->

試運転-->後片付け-->引渡し

現場打ち浄化槽の電気工事

電気工事は、電気工事士の資格を有するものが行う。

電線及び電線管は、JIS規格品を用いる。

槽内での電線の接続は避け、槽外で行う。

フロートスイッチを使用する場合、正常に動作するように相互の間隔を取って設置する。

配管工事及び電気工事は、躯体工事(配筋、型枠組立、コンクリート打ち、養生、モルタル塗り)と並行して行われる。

FRP浄化槽(Fiberglass Reinforced Plastics)

小型浄化槽はほとんどFRP製などの工場生産品であるが、 最近では100人槽以上の中・大型浄化槽でもFRP製のものが製造されるようになってきた。

修理資材としては、ポリエステル樹脂、ガラス繊維が主体である。

地下水位が高い地域に浄化槽が設置されている場合、 清掃時期に槽が空になると槽が浮上することがある。

FRP浄化槽の修理

亀裂が生じた場合、グラインダで修理面を粗くし、樹脂を含浸させたガラスマットを積層する。

樹脂の硬化時間は条件によって一様ではないが、常温において20分以上である。

樹脂の硬化を速める方法として、赤外線ランプやヒーターで加熱する方法がある。

FRP製浄化槽の修理用原材料

FRP製浄化槽の修理用原材料は乳化剤というのは誤り。 硬化剤が正しい。硬化剤は、硬さを増したり、硬化を促進させたりする添加剤である。

修理用ポリエステル樹脂、ガラス繊維(ガラスクロス、ガラスマット、ロービングクロス)、補助剤(シンナー、ベンジン、アセトン)、離型剤(ワックス)がある。

RC製浄化槽

RC製浄化槽は、外力に対して十分な強度を有し、土圧や水圧による亀裂や破損事故は極めて少ない。

コンクリートの打ち込み時の突き固めが不十分だったり、 コンクリートの継ぎ目の処理が不完全であったりすると、漏水事故が発生することがある。

透水性によるわずかな漏水は重大な漏水事故とはならず、 槽内の固形物が空隙に被膜となって入り込み、漏水が止まることもある。

防水法は、セメント防水法といい、コンクリートに防水剤を混合して空隙に充填したり、 防水剤を塗布したりする。

コンクリートは、硬化に必要な水分が蒸発し、その必要量よりも少ない水分量となるためにできる 空隙や水酸化カルシウムの生成によって毛管空隙を生じる。

浄化槽の材料であるコンクリートは、硬化に必要な水分が蒸発してできる空隙や 水酸化カルシウムの生成によって生じる毛管空隙などのために透水性がある。 この程度の透水性が原因となる重大な漏水事故は認められていない。

コンクリートは、硬化に必要な水分が蒸発し、その必要量よりも少ない水分量となるためにできる空隙や、 水酸化カルシウム生成によって生じる毛管空隙などのため透水性が大きい。

水張り

浄化槽を固定させ、埋め戻しの際の土圧による浄化槽本体と内部設備の変形を防止すること。

埋め戻し工事

浄化槽を埋め戻す前に、本体内部に土砂が入らないように開口部を蓋等で覆う。

掘削土が良質な場合は、埋め戻し土として使用してもよい。

途中で何度も水を撒き、水締めを行って埋め戻し土の内部に空隙(隙間)が生じないようにする。

水張りをした後に埋め戻しを行う。 水張りの目的は、槽本体を安定させ、埋め戻し時に槽の位置がずれたり、水平が狂うことを防止することである。 また、埋め戻しの際の土圧による、槽本体と内部設備の変形を防止する目的もある。

浄化槽の試運転に至るまでの工事の手順

浄化槽の試運転に至るまでの工事の手順は以下の通りである。

1)事前調査

2)仮設工事

3)掘削工事

4)基礎工事

5)底版コンクリート工事

6)据え付け

7)水張り

8)埋め戻し工事

9)スラブコンクリート工事

10)試運転

埋め戻しは、途中で何度も水を撒き、水締めを行って埋め戻し土の内部に空隙(くうげき)がないようにする。

小型浄化槽の基礎工事及び底版コンクリート工事の手順

1)割栗石地業

2)目潰し砂利地業

3)捨てコンクリートの打設

4)基礎の墨出し

5)底版の型枠の設置及び配筋

6)底版コンクリートの打ち込み・表面仕上げ

7)底版コンクリートの養生

工場生産浄化槽の設置工事において、槽の水張りを行う理由

埋め戻し時に、槽本体が浮上することを防止するというのは誤り。 槽本体の浮上を防止するために行うのは、水張りではなく、浮上防止金具による固定である。

槽本体を安定させ、埋め戻し時に槽の位置がずれることを防止する。

埋め戻しの際、土圧による槽本体及び内部設備の変形を防止する。

槽本体からの漏水がないことを確認する。

水準目安線で槽本体の水平を確認する。

浄化槽工事の試運転時におけるチェック事項

管渠及び移流管の位置を確認するため、管底と水面との落差が適切であるかチェックする。

升の位置及び種類を確認するため、起点、屈曲点、合流点等に適切な升が設置されているかチェックする。

ばっ気装置の変形、破損、固定及び稼働状況を確認するため、空気の出方や水流に片寄りがないかチェックする。

消毒装置の変形、破損及び固定状況を確認するため、薬剤筒の傾き、消毒装置の変形や破損がないかチェックする。

浄化槽工事の試運転時では、接触ばっ気槽の稼働状況を確認するため、槽内水のMLSS濃度をチェックすることはできない。

建蔽率(building coverage)

ある土地(敷地)の面積と、そこに建築された建物面積の割合。建ぺい率。

地縄張り(じなわばり)

工事着工の最初の作業で、建築予定地に縄を張って、設計図どおりに建築物の配置を決めていく作業。

遣方(やりかた)

建物の位置、高さなどを表示するための仮設物。

山留め(やめどめ)

掘削工事において、周りの地盤が崩れないように矢板や堰板で土を押さえること。

杭地業(くいじぎょう)

必要な地耐力が不足する場合に規定の地耐力以上に保つために行うもので、 地盤に杭を打ち込み、その上に建造物を建設する。

根切り工事

地下室や基礎などの地盤面より下の建築物を造るために土を掘る工事。 根切り工事を行う場合において、根切り工事の深さ並びに地層及び地下水の状況に応じて、 予め、山留めの設置等地盤の崩壊を防止する。

開削工法(オープン工法)

地表から掘削を行っていく工法。

玉掛け

クレーン(crane)などに物を掛け外しする作業。

GL(Ground Level)

設計地盤面の高さ

SL(Slab Level)

スラブ天端(てんば)の高さ

FL(Floor Level)

床天端の高さ

捨てコンクリート

基礎底面を平らに均したり、構造物の底部に敷いたり、配筋作業のため、 底版コンクリートの高さを微調整するため、 あるいは基礎中心のマーキングなどのために捨て打ちするコンクリート。

掘り過ぎた場合、高さの調整は捨てコンクリートで行う。

墨出し

工事の進行に必要な線、形や寸法を表示すること。

捨てコンクリートは強度的な意味はないが、墨出しを行うために必要である。

底版コンクリート

浄化槽本体を容易に水平に設置できるように、また、上部の荷重を地盤に伝えるために底版コンクリートを打設する。

浄化槽が2槽以上になる場合、底版は一体構造とする。

捨てコンクリート上に、槽本体の固定金具や浮上防止金具の取り付け等の墨出しを正確に行う。

配筋の仕様は、各メーカーの施工要領書、仕様書や構造図、配筋図に従う。

鉄筋と型枠、鉄筋と捨てコンクリートの間隔は、所定の寸法をあける。

コンクリートの表面は、金ゴテ等で平滑かつ水平に仕上げる。

槽本体の固定金具や浮上防止金具は、外れないよう確実に取り付ける。

浄化槽の固定には、固定金具や浮上防止金具以外に鉄筋コンクリート補強フレームや補強柱などの補強及び荷重対策を必要に応じて講じる。

底版は、上部の荷重を地盤に伝える役割がある。

コンクリートの表面は、平滑かつ水平に仕上げる。

コンクリートの打設後、急激な乾燥や温度変化を受けないように養生する。

割栗石(わりぐりいし)

建築物の基礎に使う12~15cmの砕石。基礎コンクリート(底版コンクリート)と地盤をつなぐために使われる。

RC(Reinforced Concrete)

鉄筋コンクリート。コンクリートに鉄筋を入れることによって、より頑強にしたものだが、非常に大きな力が加わるとひび割れが生じてきたりする。 そこで、さらに丈夫なコンクリートとして考え出されたのがPC(Prestressed Concrete)である。

ボイリング(boiling, sand boil)

透水性の大きい砂質土地盤で土留め壁を用いて掘削する場合は、 掘削の進行に伴って土留め壁背面側と掘削面側の水位差が除々に大きくなる。 この水位差のため、掘削面側の地盤内に上向きの浸透圧が生じ、 この浸透圧が掘削面側の地盤の有効重量を超えるようになると、砂の粒子が湧きたつ状態となること。

嵩上げ(かさ上げ)

浄化槽において、流入管底が標準工事より深くなり、浄化槽を深く埋める時に浄化槽の開口部に 立上げ枠を継ぎ足すこと。

かさ上げの高さが30cmを超える場合には、かさ上げ工事は行わずに、ピット工事を行う。

土かぶり

トンネルや暗渠のように地中に埋設される構造物の上端から地表面までの土砂や岩盤の厚さのこと。

宅地内の管渠の土かぶりは、起点において通常20cm以上とられている。

小型浄化槽の施工において、浄化槽本体の水平に狂いが生じる原因

割栗石地業の不備

底版コンクリート工事の不備

埋め戻し工事の不備

嵩上げ工事の不備は誤り。 嵩上げ工事は、槽本体の開口部を立ち上げるものである。 したがって、浄化槽本体の水平の狂いには影響しない。

擁壁工事の不備

宅地排水管の施工

排水管の距離は、できるだけ短くする。

排水管途中の枡は、トラップとするのは誤り。 排水管途中の部分で中にトラップを設けると、封水として排水が滞留することになり、不適切である。 逆に、流れをよくするため、排水管途中の枡の底部にはインバートを施すのが適切である。

排水管の管径や勾配は、適切な流速が得られるようにする。

排水管の起点や合流点には、枡を設置する。

十分な土被りをとっておく。

深埋め工事

流入管底が標準工事よりも深くなる場合は、原水ポンプ槽を前置するとよいが、その他、 槽本体の開口部を最大30cm以内に立ち上げる嵩上げ工事や開口部付近の作業スペースを広くため、 開口部の周囲を立ち上げるピット工事を行う。

ピット工事

嵩上げの高さが30cmを超える場合には、嵩上げ工事は行わずに、ピット工事を行う。

ピットの内部には、雨水排除用のポンプを設置するというのは誤り。 ピットの内部はモルタルなどで雨水勾配をとって仕上げ、雨水のドレーンを放流側の升に接続する。

ピットの内部は、維持管理作業が容易に行えるスペースを確保する。

チェッカープレートの枠の補強に用いられるH型鋼等は、取り外し可能なものとする。

立ち上げ部分は、コンクリートブロック構造または現場打ちの鉄筋コンクリート構造とする。

硬化剤(hardening agent)

塗料が固まるのを早めるための薬剤。

擁壁

切土や盛土を行うときに設け、土が崩れるのを防ぐための壁。

リブ(rib)

板の補強等のために突き出して作られる補強材の部分。

ターンバックル(turn buckle)

浮力による浄化槽の浮上を防ぐためリブに取り付けたシャックル(shackle)から底版コンクリートのアンカーを鎖でつなぐもの。

ターンバックルは、ほぼ対角線となる順序に均等な力で締める。

不等沈下 or 不同沈下(differential settlement)

基礎面、底版面の地盤に不均一な沈下が生じる現象。

応力

構造物に外力が作用するとき、構造物の部材内部に発生する外力に抵抗する力。

応力白化

繰り返し荷重を受けた部分の積層が剥離し、白変する現象。

応力白化は、部材に引き張り応力や曲げ応力などが加わった場合に、 その部分に微細なクラックが生じて白変する現象をいう。

座屈

棒状や板状の部材が強い圧力を受けることにより、折れ曲がって破損する現象。

不陸(ふりく)

平たくあるべきものに、凹凸があること。

スリーブ(sleeve)

スリーブ管。軸さや。

浄化槽をビルの地下に設置する場合、ビルの地下の壁には、配管用のスリーブを入れておく必要がある。

電動サンダー(electric sander)

木材、金属の研磨・塗装剥がし・錆び落としに使用する携帯式の電動工具。

ライニング工事(更生工事, lining)

ライニング工事(更生工事)とは、古い配管を新しいものに取り換えるのではなく、既存の配管をクリーニングし、内側から専用の塗料を流して配管を再生させる工事のこと。

配筋

鉄筋コンクリート工事において設計図どおりに鉄筋を配置すること。

水締め

埋め戻しが砂の場合に用いられる方法で、水を流して隙間に砂を入れること。土の場合には、一定量盛り土をし、均してランマーで填圧するのがよい。

転圧

土砂やアスファルトに、力を加えて空気を押し出し、粒子同士の接触を密にして密度を高めること。

ランマー(rammer)

エンジンを利用した上下動の衝撃によって地盤を締め固める機械。

ウェルポイント工法(well pump method)

ウェルポイント工法は、吸水管を取り付けたものを地盤中に多数打ち込んで、小さな井戸のウェルポンプで強力に 地下水を吸収低下させ,必要な区域の地下水を揚水し、地下水位を低下させることにより掘削を容易にできるものである。

釜場排水工法

釜場という集水マス(穴あきドラム缶など)を掘削面より深い位置に設置し、 流れ込んできた地下水(湧水)を水中ポンプで排水する工法。 小規模工事で湧水量が少なく、法面の自立性が良い場合や、止水壁先端を回り込んでくる湧水量が少ない場合などに適用される。

掘削工事

ウェルポイント工法は、砂質粘土層等の透水性の悪い地質の場合に適用する。

透水性の悪い地質の場合の水替え工事には、釜場排水工法よりもウェルポイント工法を適用する。 釜場排水工法は、法面が小さく、透水性のよい安定した地盤に適している。

地山の掘削作業主任者が指揮をとる。

開削工法の場合、法面勾配に注意し、養生を行う。

掘削深度が1.5m以上の場合には、桟橋等を設ける。

掘削前の土量と掘削後の土量は異なるので、搬出量や埋め戻し量に注意する。

掘削工事の際、湧水がある場合には、釜場を設けて排水する。

浄化槽の工事の記録に必要な写真

掘削作業主任者が工事を実地に監督している状況ではなく、 浄化槽設備士が実地に監督していることを証する写真

栗石地業を行っている状況

水締めを行っている状況

捨てコンクリートを打っている状況

スケールをあてて、嵩上げの高さを確認している状況

施工後においては、土木写真や本体据え付け工事、配管工事等に関する工法や材料の確認ができないので、 工程ごとに写真撮影を行って工事の記録を残す必要があり、次の事項に留意しなければならない。

浄化槽設備士が実地に監督していることを証する写真--> 浄化槽設備士が、正面を向いて規定の標識を掲げ、背景に設置予定地の周辺状況と共に写っていること。 なお、標識の記載事項は、判読ができることが望ましい。

基礎工事の状況を示す写真--> 不等沈下(不同沈下)防止のための基礎工事を行ったことが分かる写真であること。 掘削の状況、割栗石地業、目潰し砂利地業、捨てコンクリート、基礎配筋、基礎コンクリート、柱配筋等の工程を写すこと。

深埋めの状況を示す写真--> マンホール蓋の高さ及びその高さから、バルブ等の操作が容易に行えることが分かる写真であること。

配管材料

配管材料の名称と図面記号の組合せは以下の通りである。

鋼管(こうかん)-->SGP(Steel Gas Pipe)

鋳鉄管(ちゅうてつかん)-->CIP(Cast Iron Pipe)

鉛管(えんかん)-->LP(Lead Pipe)

銅管(どうかん)-->CUP(Copper Use Pipe)

ステンレス鋼管-->SUP(Steel Use Pipe)

硬質塩化ビニル管-->VP(Vinyl Pipe)

ポリエチレン管-->PEP(PolyEthylene Pipe)

ポリブデン管-->PBP(PolyButene Pipe)

コンクリート管-->CP(Concrete Pipe)

伏せ越し(逆サイホン構造)

水路工事で、逆サイホン(siphon)構造によって河川の河底(かてい)を通過させる工法。

排水管の敷設

掘削の底面は平坦になるように転圧し、地盤が軟弱な場合は、砂利、砕石を敷き、目つぶしを施す。

排水管の据え付けにおいては、水糸を張り、配管の方向、勾配を定め、 管の下に空隙が生じないよう砂を充填する。

管の設置後、管を固定させ、良質の土で入念に突き固め、埋め戻す。 また、管の破損を防ぐために、十分な土被りをとる。

小便器、手洗い器、洗面器の排水の勾配は、5/100以上とされることが多い。

排水管の敷設は、下流から上流に向かって、起伏、蛇行のないように行う。

水替え工事の注意点

地層の状態、粒度、透水係数、地下水位の状況、周囲の地形などを事前に調整する。

釜場の深さは、0.5~1.0m程度とする。

釜場排水工法は、設備が簡単で経費も少なく操作も容易で、 法面が小さく透水性のよい安定した地盤に適している。

釜場排水工法は、掘削が深くなると、浸透水で釜場の底部の土砂が 吹き出したり、法尻付近が洗われ法面崩壊の原因となることがあるので注意する。

ウェルポイント工法は、砂質粘土層等の透水性の悪い地質の場合に適用する。

浄化槽の点検、調整及び修理

保守点検業者の登録制度

都道府県が条例で定めている保守点検業者の登録制度においては、 都道府県により登録の有効期間が異なる。

都道府県は、条例で浄化槽の保守点検業者に係る登録制度を設けることができる。

浄化槽の保守点検の登録の有効期間は、 5年以内の期間を都道府県の条例で定めることとされている。

浄化槽の保守点検を業とする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないというのは誤り。 浄化槽の保守点検を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、市長とする)の登録を受けなければならない。

事業場の安全管理体制

政令で定める業種および規模の事業場ごとに安全管理者を選任し、 その者に安全衛生業務のうち、安全に係る技術的事項を管理させなければならない。

事業場の労働者の人数が一定以上になると、 衛生管理者産業医を選任しなければならない。

保守点検

保守点検を委託した場合は、委託を受けた浄化槽管理士または保守点検業者が記録を2部作成し、 1部を浄化槽管理者に対して交付し、1部を自ら3年間保存しなければならない。

保守点検回数

活性汚泥方式の保守点検回数は、週1回以上である。

嫌気ろ床接触ばっ気方式で、処理対象人員が20人以下の浄化槽の場合、 保守点検回数は、4か月に1回以上である。

接触ばっ気方式の浄化槽で、砂ろ過装置を有する場合、保守点検回数は、 1週に1回以上である。

分離接触ばっ気方式で処理対象人員が20人以下のみなし浄化槽の場合、 保守点検回数は、4か月に1回以上である。

長時間ばっ気方式の浄化槽の保守点検回数は、通常の使用状態において、1週に1回以上である。

浄化槽の処理方式と通常の使用状態における保守点検回数

処理方式 保守点検回数
処理対象人員20人の嫌気ろ床接触ばっ気方式 4月に1回以上
処理対象人員15人の分離接触ばっ気方式 4月に1回以上
流量調整槽を有する回転板接触方式 2週に1回以上
活性炭吸着装置を有する散水ろ床方式 1週に1回以上
長時間ばっ気方式 1週に1回以上

点検順序

点検順序は、放流水および消毒室から流入管に向かって 汚水の処理工程の順序と逆方向にたどっていくのが原則である。 その後に付属機器類の点検を行う。

浄化槽の使用開始前に行う保守点検

建築物の用途が、建築確認申請の内容と異なっていないかを確認する。

施工図と照合して配管に誤接合がないかを確認する。

槽の上部あるいは槽の周辺に自動車等が通行するかを確認する。

空気配管の途中に調整用のバルブや槽切替え用のバルブ等が設けられているかを確認する。

使用開始直前においては実流入汚水量は把握できない。

浄化槽の正常な機能を維持するために点検すべき事項

流入管渠と放流管渠の勾配が同じである状況は誤り。

槽の水平の保持の状況

流入管渠におけるし尿、雑排水等の流れ方の状況

単位装置及び付属機器類の設置の位置の状況

スカムの生成、汚泥等の堆積、スクリーンの目詰まり、生物膜の生成、その他単位装置及び付属機器類の機能の状況

小型浄化槽の試運転時における確認項目

ブロワの稼働状況

特殊な排水の接続の有無

逆洗装置の脱着性までは確認しなくてよい。

消毒装置の固定状況

放流口放流水路の水位差の確認。ひび割れ、亀裂、漏水の確認。

処理対象人員501人以上の構造例示型の浄化槽において、使用開始直前の保守点検時に確認・調整しておく事項

流量調整槽の汚水移送用ポンプのレベルスイッチを調整する。

接触ばっ気槽への空気供給量を調整する。

接触材の変形・破損の有無を確認する。

沈殿槽の汚泥移送ポンプのタイマを設定する。

逆洗バルブを開放状態にするのは誤りである。

浄化槽の保守点検の技術上の基準

流量調整タンクまたは流量調整槽及び中間流量調整槽にあっては、 ポンプ作動水位及び計量装置の調整を行い、汚水を安定して移送できるようにすること。

ばっ気装置及び撹拌装置にあっては、散気装置が目詰まりしないようにし、または機械撹拌装置に異物等が付着しないようにすること。

駆動装置及びポンプ設備にあっては、常時または一定の時間ごとに作動するようにすること。

嫌気ろ床槽及び脱窒ろ床槽にあっては、槽の全体にわたって溶存酸素が常に検出されないようにすることというのは誤りで、 常にではなく、ある程度DOが検出されない、または、DOがゼロに近い状態であればよい。

悪臭並びに騒音及び振動により周囲の生活環境を損なわないようにし、 及び蚊、はえなどの発生の防止に必要な措置を講じること。

通常の使用状態にある小型浄化槽において、使用開始から1~2カ月経過時に見られる状況

沈殿分離槽及び嫌気ろ床槽には、スカムの発生が少ない。

接触ばっ気槽では、生物膜が肥厚化しているというのは誤り。 接触ばっ気槽は生物膜の付着過程であり、生物膜量も十分ではない。

担体流動槽では、担体に生物膜の付着が認められるようになる。

生物ろ過槽に取り付けられた担体流出防止用の網に、スライムの生成が認められるようになる。

沈殿槽には、スカムや堆積汚泥があまり認められていない。

流量調整槽からの移送水量の調整

移送水量の調整は、流量調整槽へ返送する水量を調整することで行う。

流入汚水量は日々変動するが、点検の都度、せき高を調整しなくてもよい。

移送水量の設定が適切であっても、流入汚水量が多い時間帯には、流量調整槽の水位は高くなる。

流量調整槽に汚水の流入がない時間帯では、流量調整槽の水位の変化から移送水量が把握できる。

三角せきにおいて、せき高が同じ場合、せきの角度が大きいほど移送水量は多くなる。

単位装置と主な点検内容

地下砂ろ過床の点検では、微小後生動物の発生状況を把握することは難しい。

多室型腐敗室の点検では、流出水の透視度を測定する。

接触ばっ気室の点検では、室内表層水の流れ方を確認する。

ばっ気室の点検では、室内水の溶存酸素濃度を測定する。

沈殿分離室の点検では、室内のスカム、堆積汚泥の蓄積状況を確認する。

単位装置と主な点検内容の組合せ

嫌気ろ床槽-->スカム及び堆積汚泥の生成状況、異物等の付着状況、目詰まりの状況

ばっ気槽-->MLSS濃度、溶存酸素濃度、汚泥沈殿率

接触ばっ気槽-->生物膜、剥離汚泥及び堆積汚泥の生成状況

回転板接触槽-->均等流水の状況は誤り。 回転板接触槽では、回転板の円周速度、生物膜の色と厚さ、槽内の水位、通気状況などが点検項目として挙げられる。

沈殿槽-->スカム及び堆積汚泥の生成状況

活性汚泥法の沈殿槽での汚泥浮上やスカムの発生状況

黒色がかった比較的多量の汚泥塊の浮上が発生した時は、 沈殿槽底部の汚泥の嫌気化が原因である。

灰褐色の汚泥塊の浮上が発生した時は、沈殿槽部での硝化の進行が原因ではない。

細分化した汚泥の全面浮上が発生した時は、活性汚泥の解体が原因である。

雲状のふわっとした多量の汚泥の浮上が発生した時は、 活性汚泥の膨化が原因である。

全面にばっ気槽の汚泥と同色のスカムが発生した時は、放線菌の多量発生が原因である。

接触ばっ気室において撹拌が十分に行われているか判断するための点検項目

散気管直上部の溶存酸素濃度の測定は誤り。 溶存酸素は、散気管上部の濃度ではなく、接触ばっ気室内の濃度分布を調べる。

室内表層水の流れ方

散気管上部の水面の盛り上がり方

逆洗により剥離した汚泥の量や外観

室底部の汚泥堆積状況

窒素除去小型浄化槽の保守点検

脱窒ろ床槽では、死水域の形成や異常な水位の上昇などが生じないよう必要な措置を講じる。

接触ばっ気槽のばっ気装置では、散気管が目詰まりしないようにするとともに、散気管が水平に保持されるようにする。

スロット型沈殿槽でスカムが認められたときは、その全量を脱窒ろ床槽第1室に移送する。

硝化が不十分と判断されるときは、接触ばっ気槽のばっ気量を絞り、循環水量を増加させるというのは誤り。 ブロワ1台で循環装置とばっ気装置への空気供給をしている場合は、ばっ気装置への空気供給量が不足するおそれがある(硝化が生じないおそれがある)。 このような状況が認められた場合は、循環水量を減少させる。

流量調整装置では、流量調整比が適正に保持されるように調整する。

脱窒ろ床槽の保守点検

脱窒ろ床槽の主な役割は、窒素除去機能に加え、嫌気ろ床槽と同様に固液分離と汚泥貯留である。 好気性条件で処理した硝化液の循環水量が過大であると、脱窒ろ床槽へのDO(アルカリ度ではない)の持ち込みが増大し、 窒素除去に対する障害が生じるため、この点に注意して保守点検を行う必要がある。

性能評価小型浄化槽の生物反応槽の保守点検

生物ろ過部が閉塞すると、生物反応槽の水位が上昇する場合がある。

自動逆洗が適切に実施されないと、槽内水の透視度が低下する。

逆洗時間を長くすると、同時に汚泥の移送量も増加する。

散気管が閉塞すると、循環水量が低下して処理が不安定になるというのは誤り。 散気管が閉塞すると、循環用エアリフトポンプへの空気供給量が増加し、処理がさらに不安定になる。

担体押さえの破損により担体が流出すると、処理に必要な生物量の維持が困難になる。

標準活性汚泥方式のばっ気槽における保守点検

MLSSはBOD負荷を適切な範囲内に設定するための目安として測定し、さらにSVIを求めて、 活性汚泥の沈降性の良否を判断する。 MLSS濃度は通常1500~3000mg/L、BOD-MLSS負荷0.2~0.4kg/(kg・日)の範囲で運転される。

長時間ばっ気方式の沈殿槽から汚泥が流出する原因を明らかにするための点検項目

計量調整移送装置の移送水量

ばっ気槽内液のSVI

ばっ気槽内液のBODというのは誤り。ばっ気槽内液のDOが正しい。

沈殿槽の越流せきの水平

余剰汚泥の引き抜き量

沈殿槽からの汚泥流出が起こらないようにするには、活性汚泥の性状である沈降性の良否が重量である。 このため、ばっ気槽内液のDOや流出汚水中の栄養源(BOD量)などを確認する必要がある。

硫酸アルミニウム水溶液を用いた凝集分離装置に関する点検項目

水温低下による凝集剤の結晶析出の有無

急速撹拌槽におけるアルカリ性条件の維持は誤り。 硫酸アルミニウムの最適な凝集状態となるpHは中性付近である。 硫酸アルミニウムは、水中のアルカリ分と反応して不溶性の水酸化アルミニウムAl(OH)3を形成し、 それが汚水中の微細粒子を吸着して次第に大きなフロックを形成する。 ただし、水中のアルカリ分が不足していると水酸化アルミニウムを形成しないので、 このような場合にはアルカリ剤を添加しなければならない。

配管系統からの漏水の有無

凝集剤ポンプの稼働状況と凝集剤滴下状況の確認

凝集剤の効力とその必要量の維持

活性炭吸着装置の保守点検

通水量を点検し、適切な洗浄頻度に調整する。

流出水に着色、臭気、濁りのないことを確認する。

流出水の亜硝酸性窒素濃度が高い場合には、活性炭の交換を行うというのは誤り。

適正な量の活性炭が充填されていることを確認する。

飽和吸着に達した活性炭は再生することができる。

流出水のCODを測定し、処理水質以下であることを確認する。
CODが高い場合には活性炭の交換を行う。亜硝酸性窒素はCODとして検出するが、達成炭では除去できないので、 前段の生物処理で亜硝酸性窒素が残留しないように管理する必要がある。

汚泥濃縮貯留槽の点検内容

スカム及び堆積汚泥の厚さを測定する。

脱離液の浮遊物質混入の程度を点検する。

汚泥返送装置の稼働状況までは点検しなくてよい。

清掃時期の判断を行う。

撹拌用散気装置の稼働の必要性を検討する。

みなし浄化槽の散水ろ床の保守点検

BOD負荷の増大を防止するため、一次処理装置の固液分離性を点検する。

ろ床内にし尿腐敗臭を感じた場合は、明らかにろ床の通気不良である。

デッキブラシなどを用いて、散水樋の付着汚泥をろ床に洗い落してはいけない。

ろ床内に過剰な汚泥の蓄積が認められる場合は、清掃時に、ろ床内の汚泥を水で洗い落とし、系外へ引き出す。

通気を確保するために送気口及び排気管の保守を行う。

ろ過装置の保守点検

通水量を確認し、適正な洗浄頻度等を設定する。

空気作動弁がある場合には、コンプレッサーの点検を行う。

定期的にろ材の充填状況を点検し、ろ材の交換または補充を検討する。

洗浄後、所定のろ過圧力まで回復しない場合には、通水量を減少させるというのは誤りで、通水量はある程度保つ必要がある。

ろ過処理水槽底部の砂等の堆積状況から、ろ材の流出の有無を判断する。

嫌気ろ床の蓄積汚泥の測定

ろ材の形状や充填方法、ろ床深などに合わせて、透明な硬質プラスチックパイプ外径・内径や長さを決める。 まずパイプの上端を指で蓋をした状態でろ床内に挿入し、いったん開放後、パイプ内の水位が上がることを確認して、 再び指で蓋をした状態でパイプを引き抜く。 引き抜いたパイプ内の汚泥の状況を観察することにより、ろ床内汚泥の量、色相を確認する。 さらに、パイプの汚泥を別容器に移し、粘性や臭気も確認する。

小型浄化槽における種汚泥の添加

種汚泥は生物処理機能の立ち上がり期間を短縮するために添加する。

BOD除去型より窒素除去型の方が添加の必要性が高い。

種汚泥の添加は、使用開始時よりも、使用開始後数週間経過したときの方が望ましい。 種汚泥の添加は、使用開始時期にかかわらず、竣工検査終了後速やかに行う必要はない。

膜分離活性汚泥法では、種汚泥の添加は必須条件であり、浄化槽の使用開始前に種汚泥の添加を行う。

接触ばっ気槽では、市販のシーディング剤や土壌中の菌の添加も有効である。

接触ばっ気槽における種汚泥の添加濃度は、100~200[mg/L]を目安とする。

脱窒ろ床槽における種汚泥の添加濃度は、200~500[mg/L]を目安とする。

構造例示型浄化槽における種汚泥の添加方法

項目 接触ばっ気槽 嫌気ろ床槽・脱窒ろ床槽
種汚泥の種類 浄化槽の好気性処理工程内の汚泥、入手が困難な場合は市販のシーディング剤等 し尿処理場の嫌気性消化汚泥、浄化槽の汚泥濃縮貯留槽や汚泥貯留槽
添加場所 接触ばっ気槽第1室 嫌気ろ床槽または脱窒ろ床槽の第1室
添加濃度 100~200mg/L 200~500mg/L
添加時期 使用開始前は誤り。 種汚泥の添加時期は、使用開始後、数週間経過した時が望ましい。

膜分離型小型浄化槽における種汚泥の添加

種汚泥の添加は、膜の目詰まりの防止や早期に安定した生物処理機能を発揮させるために、使用開始直前に必ず行わなければならない。 添加する汚泥は、スクリーン(網)などで夾雑物を取り除いた生活系排水処理施設の活性汚泥が望ましく、反応槽に3000~5000mg/L程度になるように添加する。

店舗・マーケットの処理対象人員の算定

24時間営業の場合であっても、夜間に著しく水量が増加することはないので、 算定人員をそのまま適用する。ただし、実態から見て夜間、明らかに水量が増加すると見られる場合は、 実態に合わせて処理対象人員を加算する。

建築物の延べ面積に対して概ね20%以上を飲食店が占めている場合は、 複合用途扱いとし、飲食店部分の処理対象人員を別途加算する。

汚水排出源は主として水洗便所汚水であるが、 店内に食肉店、鮮魚店や飲食店などが併置されている場合は、その汚水も浄化槽に流入させる。

家具等の専門店で、売場面積に対して外来客数が非常に少ないことが明らかな場合は、 その部分について一般店舗より少ない1/2程度の処理対象人員としてよい。

処理対象人員には、従業員数も含まれている。

自動荒目スクリーンの保守点検項目

水路内の固形物の堆積状況、臭気の発生状況、し渣の蓄積状況、し渣除去装置の作動状況

砂ポンプの稼働状況は、自動荒目スクリーンの保守点検項目ではない。

浄化槽の高度処理装置の維持管理

脱窒ろ床接触ばっ気方式の接触ばっ気槽からの循環比は3~4に調整する。

活性炭吸着装置は、通水量、通水抵抗、処理水質を点検を点検し、 適切な逆洗頻度の設定及び活性炭の交換を適切な頻度で行う。

硝化液循環活性汚泥方式の脱窒槽のDOはおおむね0mg/Lとし、 硝化槽のDOはおおむね1mg/L以上となるように調整する。

凝集沈殿において、リン除去を期待する場合、 処理水の水質を測定し、凝集槽における薬剤供給量及び撹拌強度の調整等必要な措置を講じる。

硝化が進行すると酸素が消費される。

沈殿分離室の点検

スカム及び堆積汚泥がほとんど認められない場合は、洗浄水量の点検が必要である。

流入管と流出管の位置、室内の水の流れ方によって汚泥の堆積状況が異なる。

汚泥貯留容量は、同一人槽の腐敗タンク型一次処理装置よりも小さい。

みなし浄化槽の沈殿分離室には二酸化炭素の発生の抑制目的はない。

汚泥日令(汚泥日齢)

汚泥日令は、活性汚泥が最も活性力がある状態において処理を行うための目安。

ばっ気槽内のばっ気槽浮遊物質量(MLSS)を流入汚水中の1日間の全浮遊物質量(SS)で除した値で、[日]で表す。 汚泥日齢3~5日程度が標準である。

汚泥日齢[日] = ばっ気槽の容量[m3]×ばっ気槽内のMLSS濃度[g/m3] ばっ気槽流入汚水量[m3/日]×流入汚水の平均SS[g/m3]

沈殿分離槽の保守点検

固液分離機能を点検するため、流出水の透視度を測定する。

固液分離機能の点検は、時間最大流入時を避ける必要はない。

固液分離機能を点検する時は、流入汚水量が少ない時を選んで採水するというのは誤り。 固液分離機能を点検するときは、固液分離機能に大きく影響する時間最大流入時を選んで採水するのが望ましい。

多量の汚水が流入し、槽内流速が速くなる場合には、スカムは流出管付近に近寄ることがある。

流入汚水の流速が遅い場合、スカムや堆積汚泥は流入付近が最も厚くなる。

汚泥堆積厚の測定方法には、汚泥界面計やMLSS計を用いる方法と、透明パイプを用いる方法がある。

堆積汚泥厚の測定に、透明な硬質プラスチックパイプを用いる方法がある。

清掃時期の判断は、スカム・堆積汚泥の厚さ、二次処理装置への汚泥の流出状況等から行う。

分離ばっ気方式のみなし浄化槽における処理状況とその対策

ばっ気室のDOは十分で、SV30が低く、上澄水が微細なSSで濁っている。-->空気供給量の低減

流入汚水量の増加が認められるが、沈殿室の機能が維持できる程度である。-->管理頻度の増加

流入BOD負荷が計画値に比べて著しく小さい。-->間欠ばっ気の採用

沈殿室にスカムが発生しやすい。-->MLSS濃度を高めるよう調整というのは誤り。 沈殿室にスカムが発生しやすい場合は、沈殿室内部の汚泥の停滞箇所をなくすことが有効と考えられる。

水量負荷の増加を伴わないBOD負荷の増大が認められる。-->空気供給量の増加

平面酸化床の保守点検

放流水質が不良な場合、保守点検や清掃の頻度を増加させる。

汚泥が堆積して腐敗している場合、ブラシ等を用いて洗浄する。

流水部に異物が付着しておらず、均等な流水が維持されていることを確認する。

流水で水洗いする場合、生物膜を壊さないようにする。

保守点検で生じた洗浄水は、水道水で希釈後に放流するというのは誤り。 洗浄水は放流してはならず、腐敗室の張り水として、水中ポンプなどを用いて移送するのが望ましい。

回転板接触槽の保守点検

槽内水のDOが不足した場合、回転板の回転速度を遅くするというのは誤り。 回転板は、常時適正な円周速度で連続的に回転していなければならない。 回転板の円周速度が速すぎると生物膜が剥離し、遅すぎると酸素溶解効率が低下するとともに、 槽内に汚泥が堆積する。 したがって、毎分20m以下(1.2km/h以下)の、設定時に定められた円周速度を維持するようにする。

剥離汚泥の生成状況をみるため、SV30や透視度を測定する。

回転板に付着した生物膜が著しく肥厚した場合、圧力水等を用いて強制剥離する。

生物膜の生成量が多い場合は、BOD負荷が大きいと考えられる。

剥離汚泥の堆積が認められた場合は、移流部に詰まりがないかを点検する。

活性汚泥法の処理機能を良好に保つための管理操作

適切な空気供給量を維持する。

適切なMLSS濃度を維持する。

適切なSVIを維持する。

適切な汚泥日令を維持する。

汚泥返送量の調整

沈殿槽において、処理水質に影響を及ぼす要因

沈殿槽において、処理水質に影響を及ぼす要因として、 沈殿槽流出水中のSSの有無、沈殿槽のスカムの生成状況、 沈殿槽底部汚泥の堆積状況、越流せきの水平の状況がある。

沈殿槽において、浄化槽流入汚水の水質は、処理水質に影響を及ぼす要因としては考えない。

浄化槽に流入するトイレットペーパー

トイレットペーパーの使用量が多い場合、窒素負荷は増加しない。

みなし浄化槽では便座クリーナーの流入量が多い場合、ばっ気室内液等のpHに影響を及ぼすことがある。

みなし浄化槽で乳児のお尻ふきの流入量が多い場合、ばっ気槽内液で発泡現象が認められることがある。

トイレットペーパーなどの流入量が多い場合、接触材や散気装置に絡みつき、 室内液の旋回流に影響が認められることがある。

トイレットペーパーなどの流入量が多い場合、ろ材押さえ面や移流口等が閉塞し、 異常な水位上昇の原因となることがある。

放流水のBOD

浄化槽放流水を無希釈(1倍)、2倍希釈ならびに5倍希釈によってBOD測定を行った。 この希釈試料の初期ならびに5日後のDOが次の通りであった場合、 この放流水のBODとして適切な値はどれか。

希釈倍率---初期のDO[mg/L]---5日後のDO[mg/L]

1---8.0---1.0

2---8.1---3.6

5---8.3---7.3

《解》

BOD[mg/L] = (初期のDO[mg/L] - 5日後のDO[mg/L]) × 希釈倍率

希釈倍率は5日後の溶存酸素の消費量が40~70%の範囲にあるものを選択する。

BOD消費量より希釈倍率2倍の試料を選択した。

BOD = (8.1[mg/L] - 3.6[mg/L]) × 2

= 9.0[mg/L]

処理対象人員5人の接触ばっ気槽を逆洗し、剥離汚泥を沈降させて引き出し、通常の状態に戻すまでのバルブ等の操作手順

(1)逆洗用バルブを全開にする。

(2)散気用バルブを全閉にする。

(3)ブロワーを停止させ、沈降汚泥を引き出し、水張りを行う。

(4)散気用バルブを元の開度にし、ブロワを稼働させる。

(5)逆洗用バルブを全閉にする。

(6)散気用バルブの開度を調整する。

2室構造の接触ばっ気槽の運転管理

各室の空気供給量の調整は、循環水流の流速を指標とする。

頻繁に空気供給量を変化させると、生物膜が剥離することがある。

黒色がかった生物膜が多量に採取される部位が多い程、閉塞部分が多いと判断される。

第1室の剥離汚泥は、第2室で捕捉されるが、 第1室の逆洗において、剥離汚泥の移送は省略できない。

一般に、第1室の方が逆洗頻度が高い。

高度処理の除去対象物質と処理法

高度処理の除去対象物質と処理法の組合せは以下である。

浮遊物質-->砂ろ過

無機塩類-->イオン交換

有機物質-->生物酸化

色度-->活性炭吸着

脱窒ろ床槽の保守点検

脱窒ろ床の主な役割は、窒素除去機能に加え、嫌気ろ床槽と同様に 固液分離汚泥貯留である。

好気性条件で処理した硝化液の循環水量が過大であると、 脱窒ろ床槽へのDOの持ち込みが増大し、窒素除去に対する 障害が生じるため、この点に注意して保守点検を行う必要がある。

活性汚泥法で用いられているホッパー型沈殿槽の保守点検

汚泥高の測定は、汚泥界面計を用いて界面の位置を数箇所で測定し、 全体の汚泥高が適当か、また汚泥面が水平かを確認する。

高度処理装置の保守点検

急速撹拌槽に凝集剤を添加する場合、必要に応じてpHを調整する。

1molの硫酸アルミニウムがアルカリ度と反応すると、2molの水酸化アルミニウムが生じる。

Al2(SO4)3 + 3Ca(HCO3)2 → 2Al(OH)3 + 3CaSO4 + 6CO2

嫌気ろ床槽の保守点検

嫌気ろ床槽の主な機能は、沈殿分離槽と同様に固液分離汚泥の貯留であるが、 槽内にろ材を充填することにより、固形物の分離をより有効に行えるようになっている。 一方、第1室のろ材押さえ面に夾雑物等が堆積すると、ろ床内に死水域が形成されやすいので、 この点に注意して保守点検を行う必要がある。

浄化槽の流入管渠及び放流管渠に見られる異常な減少とその原因

土砂の流入-->管の接合部のずれや破損

管の閉塞-->汚物や油脂の付着

水の停滞、滞留-->配管勾配の不足、インバート升の閉塞

雨天時の流入汚水の著しい増加-->流入管渠の誤接合

ばっ気沈砂槽の保守点検項目

散気装置への空気供給量の調整

排砂ポンプの排出量の調整

消泡装置の稼働状況の確認

排砂槽の土砂の除去

スクリーンの付着物の除去は、ばっ気沈砂槽の保守点検項目ではない。

スロット型の沈殿槽の保守点検項目

スカムの生成状況

底部汚泥の蓄積状況

流出水の性状

越流せきの水平の確認

汚泥返送量の状況はスロット型沈殿槽の保守点検項目には該当しない。

嫌気ろ床槽第1室の水位が第2室より異常に上昇していた場合の原因

第1室のろ材押さえ用の網に、ビニル袋等が堆積

第1室のろ材内の汚泥保持量の著しい増加

第1室の流出部の堆積汚泥厚の増加

第2室流入部の堆積汚泥の増加

第2室流出部への異物の堆積は、第1室の水位が第2室より異常に上昇していた場合の原因にはならない。

流量調整槽の移送ポンプの自動制御装置

流量調整槽の移送ポンプの自動制御装置には、 フロートスイッチとリレーが組み合わされて使用されている。故障の原因として多いのは、 スケールの付着による動作不良やスイッチ接点の磨耗である。 また、フロートスイッチは、本体が水密構造になっているため、 内部の点検・修理が不可能であり、新品と交換して、再度作動状態を点検する。

モータの異常とその原因に関する組合せ

起動しない-->固定子と回転子の接触

回転方向が逆-->端子の誤接続

軸受けの加熱-->軸の芯出しの不良

モータの振動-->取り付けナットの緩み

モータの加熱-->コンデンサの不良ではなく、電圧降下、固定子と回転子の接触である。 コンデンサの不良は、モータが起動しない。

硝化液循環活性汚泥方式の保守点検

脱窒槽内が均一に撹拌されていることを確認する。

脱窒槽の側壁に付着した汚泥等は、頻繁に洗浄し厚くしない。

脱窒槽では、DOが検出されないことを確認する。

硝化槽内のDOが適正な値になるように、メタノールを添加するというのは誤り。 硝化槽内のDOを調整するために、メタノールを添加することはない。 流量調整槽でBOD除去が進行し、BOD/N比が低下すると、脱窒槽での窒素除去性能に悪影響を及ぼす。 BOD/N比が低下した場合には、メタノールなどの添加が必要である。

循環水量を計量槽のせき高で点検し、適正量に調整する。

硝化液循環活性汚泥方式の流量調整槽における点検項目

常用ポンプの水位設定、槽内水の撹拌状況、過剰な酸素溶解、移送水量、異常な水位上昇

硝化液循環活性汚泥方式で特有の点検項目は過剰な酸素溶解である。 脱窒性能への影響を考慮して、酸素を過剰に溶解させない、BOD/Nを低下させない、などに留意する必要がある。

浄化槽への多量な油脂分の混入による影響

T-N負荷量を増加させるのは誤り。

BOD負荷量を増加させる。

スクリーンの閉塞をもたらしやすい。

レベルスイッチの誤作動をもたらしやすい。

臭気の発生をもたらしやすい。

油脂分の多い汚水が装置・設備に与える影響と障害

ポンプ設備のフロートスイッチに油脂が付着すると、スイッチの作動が不良になることがある。

接触ばっ気槽の生物膜表面に油膜が生成されるとBOD除去率が低下する。

スクリーン設備のスクリーンに油脂が付着すると、水流が阻害される。

ばっ気槽の槽内に乳化油が分散してもフロックの肥大化にはならない。

浄化槽における衛生害虫

衛生害虫は、媒介害虫有害害虫不快害虫に分類されている。

ユスリカは、放流先の排水溝、河川に発生する場合が多い。

ホシチョウバエの幼虫は、スカムなどの体を付着させるものがないと生育できない。

オオチョウバエの成虫は、褐色を帯びた黒灰色で、体長4~5mmである。

浄化槽で見られる蚊のうち、地下に設置された浄化槽に見られるものは、ヤブカではなく、チカイエカである。

チョウバエは、散水ろ床や一次処理装置に多く認められる。 その幼虫は空気呼吸をするが遊泳は苦手である。 このため、浄化槽内にスカムなどの体が保持できるものがないと、生育が困難である。

蚊の幼虫であるボウフラは、沈殿槽等の停滞水域で発生することが多く、 ばっ気槽で発生することは極めて少ない。

浄化槽で発生する蚊の多くは、チカイエカアカイエカである。

チカイエカ、アカイエカ、チョウバエは浄化槽内に発生するが、 ユスリカは浄化槽内に発生することは少なく、放流先の排水溝、河川に発生する場合が多い。

浄化槽で発生する害虫のうち、抵抗性が問題になっているのは、チカイエカ、アカイエカ、チャバネゴキブリであり、 有機リン剤やピレスロイド剤での事例が多い。

交差抵抗性

ある薬剤に抵抗性が発生した場合、それまで全く触れたことのない他の薬剤にも抵抗性を示す現象。 抵抗性の発達には酵素が重要な役割をしているので、同じ酵素の影響を受ける殺虫剤の間で交差がみられる。

作用機構が異なる殺虫剤は、交差抵抗性がなく、有効に作用する。

衛生害虫(媒介害虫、有害害虫、不快害虫)とそれによる被害の組合せ

蚊-->デング熱, 日本脳炎

ハエ-->消化器系感染症

ダニ-->つつがむし病, 日本紅斑熱, ライム病

スズメバチ-->アナフィラキシーショック

ユスリカ-->皮膚炎ではなく、洗濯物を汚したりする。 ヒョウヒダニ類やユスリカ類などが喘息等のアレルギー性疾患の原因となる。 人ドクガやチャドクガの毒針毛による皮膚炎が発生する。

害虫対策として用いられる殺虫剤等の特徴

ジクロルボス樹脂蒸散剤は、浄化槽の生物処理機能に悪影響を及ぼすというのは誤り。 ジクロルボス樹脂蒸散剤を用いると、浄化槽における微生物に悪影響を与えることなく、 3カ月近くにわたって成虫を駆除することが可能である。

浮遊粉剤は、蚊の幼虫対策として有効である。

浮遊粉剤は、残効性が高い。

マイクロカプセル剤は、速効性に加えて残効性が高い。

昆虫成長制御剤は、ハエの幼虫に有効である。

せきによる流量測定

せき式による流量測定は、開水路に用いられる。

計量調整移送装置(分水計量装置)の流量測定には全幅せきがもちいられるというのは誤り。

三角せきの切欠き角度と流量水量は比例する。

せき高とは、せきの底点からせきを越流する水面までの差である。

四角せき及び全幅せきの流量は、流量算定式にせき高とせき幅を代入して求める。

流量測定方法

電磁式-->電気抵抗の変化から流量を演算するというのは誤り。 電磁式は、磁界を導電性流体が横切ると、流速に比例した起電力が発生することを利用する。

ベンチュリ管式-->管路の途中に絞り(ベンチュリ管)を入れ、絞り前後の差圧を測定する。 ベンチュリ(venturi)は、流体の流れを絞ることによって、 流速を増加させて、低速部に比べて圧力を発生させるものである。

フロート形面積式-->流量に応じて変化するフロートの位置を測定する。

せき式-->水路の途中にせき板を設け、せきを溢流する水の上流側の水位を測定する。

フリューム式-->水路の一部を絞り、その上流側の水位を測定する。 flumeは、人工水路、用水路。

感電(electric shock)

人体に50mAの電流が通ると死に至る。

人の体の抵抗は約10000Ωであるが、指先や足元が濡れているような場合には、1000Ω程度まで低下する。

10000Ωの抵抗を持つ人が100Vに感電した場合、10mAの電流が流れるため死に至ることはないが、手などが湿っている場合、体の抵抗は1000Ωまで低下する。 これによって、100mAという致死量相当の電流が流れることになる。

電圧が200V以上に増加すると、感電の危険性も増加する。感電事故の予防には、必ず電源を切って作業を行い、作業にはゴム靴を着用することが必要である。

手足が濡れているため人体の電気抵抗が2000Ωに下がっていた場合、 感電して人体に重篤な影響を及ぼす電流である50mAに達する電圧(V)はいくらか。

《解》
V=RIより、
V = 2000 × 50 × (1/1000)
= 100V

移送装置の運転時間を求める問題

流量調整槽を前置きした接触ばっ気方式の沈殿槽の管理にあたって、 下記の条件における1日当たりの移送回数(回/日)と1回当たりの移送装置の運転時間(分/回)の組み合わせとして、 最も適当なものは次のうちどれか。

[条件]
流入汚水量:100m3/日
接触ばっ気槽流出水のSS:100mg/L
沈殿槽流出水のSS:20mg/L
沈殿槽から移送される汚泥のSS:5000mg/L
汚泥の移送量:100L/分

移送回数(回/日), 運転時間(分/回)
(1) 2, 30
(2) 3, 15
(3) 3, 8
(4) 4, 4
(5) 5, 2

《解》
沈殿槽に保持される1日当たりのSSは、(100-20)×100=8000[g/日]
1分当たりのSS移送量は、500[g/分]
1日当たりに必要なSS移送時間は、8000/500=16分なので、(4)が妥当である。

水質管理

ペッテンコーヘル水温計(Pettenkofer thermometer)

水質検査に先立って採水位置の水温を測定するのに用いる。

測定位置に数分間浸けておいてから引き上げて温度計の示度を読み取る。

透視度

滞留時間の長い腐敗室からの流出水は白濁状態にある。

汚泥貯留を兼ねた一次処理装置からの流出水の透視度はコロイド物質の影響を大きく受ける。

散水ろ床の処理水は白濁状態にあることが多い。

透視度の測定によっては、硝化・脱窒反応の進行状態が把握できるというのは誤り。

構造例示型浄化槽の放流水の透視度は、30cm以上が望ましい。

汚水の処理が進行してBODが低下するほど、透視度が高くなる傾向がある。

標識板には、白色のプラスチック板または陶器板を用いる。

標識板には、黒色の二重十字線が記されている。

微細な気泡が試料に混入すると、測定値が低くなる。

浄化槽の汚泥流出に伴う処理水の透視度低下の原因

浄化槽において、汚泥流出に伴う処理水の透視度低下の原因として、 活性汚泥のバルキング、ばっ気槽の微細フロックの生成、流量調整機能の不良、接触ばっ気槽における生物膜の剥離がある。

活性汚泥のSVIの低下は透視度低下の原因とはならない。 SVIが低い場合は、沈降性が良好であるため、汚泥流出の原因としては不適当である。

水温

水温は、生物処理に関与する微生物の活性に影響を与える。

飽和溶存酸素濃度は、水温が低いほど高い。

消毒剤の溶解速度は、水温に影響される。

水温は、透視度、pH、DOとともに現場測定項目である。

容器に採取した試料水の水温を計測すると、外気温や直射日光の影響を受ける。

測定値

測定値には必ず誤差が含まれる。

213という測定結果の誤差を±2とすると、一の位の数値の3は5の可能性もある。

誤差の桁よりも小さい桁の数値は信頼できない。

213という測定結果の有効数字が2桁の場合、測定結果は2.13×102ではなく、2.1×102と表記する。

213という測定結果の誤差を±2とすると、この測定結果の有効数字は2桁である。 2.1×102であれば3桁目の(一の位)は誤差になる。

試料の採取

各単位装置流入水の採取は、フローシートに従って放流側から流入側への順に行う。

1日1回の試料採取の場合は、汚水の最大流入時に行うことが望ましい。

汚水の排出がない場合は、流入管渠途中の升に水道水を流入させることにより、 槽内に水が流れている状態を再現した上で採取する。

採水器を用いるとSS(Suspended Solids)が微細化することがあるため、ひしゃくを用いることが望ましい。

試料以外の水との混合を避けるため、細菌試験に給する試料を除いて、 容器を試料水で2~3回共洗いしてから採取を行う。

浄化槽で用いられる計測機器

pHの自動計測には、一般的にガラス電極法が用いられる。

溶存酸素の計測には、一般的に隔膜電極法が用いられる。

超音波式MLSS計は、発信部と受信部の間で減衰した光量から濃度を計測するというのは誤り。 超音波式の場合は超音波の強さから濃度を計測する。

汚水量の計測には、電磁式流量計が用いられている。

酸化還元電位計の測定値の表示には、一般的にmVが用いられる。

嫌気性消化法

嫌気性細菌群の生物的作用を利用し、メタン発酵を得る方法。

欧米の下水汚泥処理に用いられていた方法をし尿処理に応用した日本特有のもの。

35℃~37℃、30日間の嫌気性微生物分解により、寄生虫卵および病原菌はほぼ殺滅され、 窒素総量は減少せず、肥効力は増加する。また、可燃性ガスを発生し、それを利用できる等の理由から、 一次処理後肥料とすることを前提として日本に最も適した処理方法の一つ。

嫌気性代謝では、有機物質は最終生産物として硫酸水素、二酸化炭素、メタンなどに分解される。

メタン生成細菌は、嫌気性消化法におけるガス生成に主たる役割を果たしている。

透過光法

測定液に光を投入し、その透過光とそれによって生ずる散乱光の両者を測定し、 その両者の比が液中の懸濁物質の濃度に比例することを利用して濁度を知る方式。

含水率

水分99に対して固形物が1含まれている場合、含水率は99%

含水率を求める問題

SS濃度10000mg/Lの余剰汚泥10m3を空の汚泥濃縮貯留槽に移送し、 静止沈殿させた後、中間水4m3(SS濃度500mg/L)を流量調整槽に移送した。 このような作業後、汚泥濃縮貯留槽内に残っている汚泥の含水率はいくらか。 ただし、汚泥濃縮貯留槽内での分解等による変化は無視できるものとする。

《解》
余剰汚泥10m3中の水を含まない汚泥量は、
10×103[g/m3]×10[m3] = 100kgである。
中間水4m3中の水を含まない汚泥量は、
500[g/m3]×4[m3] = 2kgである。
汚泥濃縮貯留槽に残っている10-4=6m3中の水を含まない汚泥量は、
100-2 = 98kgである。
よって、汚泥濃度は、98/6000 = 0.016 = 1.6%
よって、含水率は、98.4%

吸光光度法

試料溶液に光を当て、その光が試料を反射する際の、 対象となる物質による光の吸収の程度、すなわち吸光度を測定することにより、その物質の濃度を定量的に分析する方法。

SS・濁度-->透過光法

COD-->吸光光度法

NO3--N-->吸光光度法、電極法、比色法

T-N, T-P-->吸光光度法

市販されている簡易測定器の水質項目と測定原理の組合せ

MLSS-->電極法ではなく、透過光法

COD-->電量滴定法

NO2--->比色試験紙法

残留塩素-->比色試験管法

PO43--P(オルトリン酸)-->吸光光度法

pHと単位装置と原因

流入水から放流水までの各単位装置のpHの変化は以下の通りである。

pHの低下--流入水--薬品の混入(酸性洗剤等)

pHの低下--一次処理装置--汚泥の嫌気性分解(有機酸、炭酸(H2CO3)の生成)

pHの低下--二次処理装置--硝化反応の進行(硝酸(HNO3)の生成)

pHの上昇--流入水--薬品の混入(アルカリ性洗剤等)

pHの上昇--一次処理装置--汚泥の可溶化(アンモニア(NH3)の生成)

pHの上昇--二次処理装置--曝気による二酸化炭素(CO2)の揮散)

pHの上昇--沈殿槽、脱窒ろ床槽--脱窒反応の進行(硝酸から窒素ガス(N2)への変化)

一次処理装置である腐敗室、沈殿分離室では、流出水のpHが8.0前後を示すことがある。 これは流入水中に含まれるし尿の濃度が高い場合、希釈倍率が小さい場合や分離した固形物の 可溶性に伴ってアンモニアが溶出した場合にpHが上昇する

pH標準液

pH標準液について、25℃でのpH値と標準液の種類の組合せは以下である。

pH標準液, pH値, 示性式

しゅう酸塩標準液(ジカルボン酸), 1.68, (COOH)2

フタル酸塩標準液, 4.01, C6H4(COOH)2

中性リン酸塩, 6.86, H3PO4

ほう酸塩標準液(Boric acid), 9.18, B(OH)3

pHは直ちに測定しなければならないので、試料を冷蔵して運搬してから測定することはしない。

pH計の取り扱い

pHの校正は、2種類の標準液を用いて行う2点補正法が一般的である。

pHの測定後、電極は乾燥しないように水を入れたキャップをかぶせておく。

電極が汚れた場合には、塩酸、アルコールなどで洗浄する。

電極の校正に用いる標準液は、できるだけ新しいものを用いる。

電極の内部液の補充には、塩化カリウム溶液を用いる。

BTB溶液(BromoThymol Blue)

分析化学で用いられるpH指示薬。ブロモチモールブルー。

分子式C27H28Br2O5Sで表される、淡黄色または淡紅色の粉末。

色の変化は pH < 6.0で黄色pH > 7.6 で青色であり、その中間では緑色を示す。ただし、非常に強い酸に対しては赤色を、非常に強い塩基に対しては紫色を示す。

チモール(thymol)

分子式C10H14O で表される。サイモール。

エタノール、エーテル、クロロホルム、酢酸、ベンゼンに易溶、グリセリン、水にやや溶ける。

チモールは防腐剤、殺菌剤として歯磨き粉、軟膏、石鹸などに用いられるほか、駆虫剤や呈色試薬としても用いられている。

残留塩素

残留塩素とは、水中に存在する遊離残留塩素と結合残留塩素をいう。

遊離残留塩素とは、塩素を水に溶かした時に存在する有効塩素のうち、塩素(Cl2)、 次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(OCl-)の形のもの。

結合残留塩素とは、アンモニアやアミン類、アミノ酸類等の有機性窒素化合物と結合したもの。 クロラミン(NH2Cl, NHCl2など)の形で存在するが、殺菌力は遊離型に比べて弱い。

現場で直ちに測定しなければならない水質項目は、透視度, pH, 溶存酸素(電極法), 残留塩素である。

残留塩素は消毒効果を表す指標の1つであり、浄化槽では、 放流水中の大腸菌数を3000個/mL以下になるように消毒することが望ましい。

残留塩素は、BOD測定に影響を与える。

DPD法(N,N-diethyl-p-phenylenediamine)

DPD法は水道水の残留塩素を比色定量で測定する方法である。

ジエチルパラフェニレンジアミン(N,N-diethyl-p-phenylenediamine, DPD) が塩素で酸化すると発色する反応を利用している。

遊離残留塩素、結合残留塩素の両方が測定可能である。

DPD法による残留塩素の測定手順

10mLの共栓比色管にリン酸塩緩衝液0.5mLを取り、これにDPD試薬0.1gを加える。

次に試料(残留塩素濃度が2mg/L以下であること)を加えて全量を10mLとし、 混合後速やかに(5秒以内)残留塩素標準比色液と比較して遊離型残留塩素を求める。

さらに、ヨウ化カリウム約0.1gを加えて溶解し、2分間静置後、残留塩素標準比色液と比較して残留塩素(遊離+結合)を求める。

すなわち、2分間静置後の値から5秒後の値を引いた値が結合残留塩素である。

水質項目と試料保存法、測定方法の組合せ

pH-->直ちに測定-->ガラス電極法

浮遊物質-->冷蔵-->ガラス繊維ろ紙法

残留塩素-->直ちに測定(冷蔵ではない)-->DPD法(硝酸銀法ではない)

アルカリ度-->冷蔵-->滴定法

アンモニア性窒素-->冷蔵-->インドフェノール青吸光光度法

小型浄化槽における薬剤筒

薬剤筒の容量は、消毒剤が点検頻度に見合った期間保持できる大きさとする。

薬剤の保持期間において、薬剤筒上部の消毒剤が順次下部に送られてくるような形状とする。

スリット状の開口部は、消毒剤が流出しない程度までできるだけ広くするというのは誤り。 薬剤筒下部のスリット状などの開口部は汚泥などによって閉塞を生じない形状とする。

薬剤筒の支持は、薬剤筒を垂直にしっかり固定するとともに、薬剤筒の脱着が容易かつ確実にできるような方法を及び設置位置とする。

薬剤筒の材質は、耐食性、耐久性の優れたものとする。

二次処理水中の濃度が高い場合、塩素消費量が増加する水質項目

アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、BOD、硫化物

硝酸性窒素は硝化反応の最終生成物であるため、塩素を消費することはない。

塩化物イオン(Cl-)

塩化物イオンとは、水中に溶けている塩化物中の塩素をいう。 し尿中には、約5500mg/Lの塩化物イオンが含まれており、通常の処理過程において除去されないため、 みなし浄化槽では、洗浄水と放流水の塩化物イオン濃度を測定することにより、希釈倍率を計算し、 洗浄水量を把握することができる。 また、流入水のBOD濃度を推定することもできるため、みなし浄化槽においては重要な項目となる。

浄化槽の場合は、雑排水中に含まれる塩化物イオンの量が不確定であるため、 日常測定することはほとんどないが、地下水や雨水等が混入した場合には、 塩化物イオン濃度が著しく低下するため、これらの混入を推定するための指標となる。

塩化物イオンは、微生物作用によって変化を受けないので、 水洗便所における希釈倍率を算定するのに用いることができる。 装置の容量は、50倍希釈を基準として決定されており、希釈倍率が大きいとばっ気室における滞留時間が短くなり、 処理水のBODが高くなる可能性がある。

塩化物イオンは各種の処理過程において除去されないため、浄化槽に流入したものはそのままの状態で流出する。 したがって極端に高濃度でない限り生物処理機能に影響することはない。

みなし浄化槽では、標準的な希釈倍率として50倍希釈が用いられる。 したがって、実際に求めた希釈倍率が50倍より大きいと洗浄水量が多く、 滞留時間が短くなり、一次、二次処理のいずれにおいても処理機能の障害を生ずるおそれがある。 また、希釈倍率が小さいと洗浄水量が少なく流入水のBOD濃度が高くなり、臭気の発生や処理水BOD濃度の上昇につながることがある。 このようにみなし浄化槽における流入状況を把握するための指標としては有効といえる。 また、データの蓄積によって不明水の混入の有無の判断に役立つことがある。

所期(期待すること)の性能が維持されている既設浄化槽における処理水質の高度化

BODを10mg/L程度とするため、ろ過装置を設置する。

CODを10mg/L程度とするため、活性炭吸着装置を設置する。

窒素除去のため、間欠ばっ気運転を行う。

リン除去のため、無機系凝集剤を添加する。

窒素・リン同時除去のため、膜分離装置を設置するというのは誤り。 三次処理装置を適用するのが効果的である。ただし、状況により、 既設ばっ気槽用ブロワーのタイマーによる間欠ばっ気運転や、 ばっ気槽への無機凝集剤添加により達成できる可能性もある。 膜分離装置は、清澄な処理水は得られるが、窒素・リンの除去の目的では使用しない。

FRP製浄化槽の事故

槽壁の座屈-->重量物による圧縮力

仕切板の変形-->不均等な埋め戻し

局所的破壊-->突起物によるパンチング

槽の浮上-->地下水位の異常な上昇

応力白化-->太陽光(紫外線)の照射は誤り。 応力白化は、部材に引き張り応力や曲げ応力などが加わった場合に、 その部分に微細なクラックが生じて白変する現象をいう。

FRP製浄化槽の修理

亀裂が生じている場合は、修理面をグラインダで、できる限り粗めにする。

修理にあたっては、まず樹脂を調合し、ガラス繊維に十分含浸させ、気泡を抜きながら成形する。

硬化を促進するため、赤外線ランプ等で加熱する。

修理箇所の油分(水分ではない)をシンナーなどの溶剤で除去する。

硬化の時間は、常温において5~10分程度であるというのは誤り。 硬化の時間は、温度、触媒、促進剤などによって異なるが、 常温において20分~2時間程度である。

浄化槽の管理技術

接触ばっ気槽のBOD負荷が高い場合、空気供給量を増加させ、逆洗頻度も高める。

ばっ気槽のBOD負荷が高い場合、MLSS濃度を低く維持するというのは誤り。 ばっ気槽のBOD負荷が高い場合、余剰汚泥の引き抜き量の増大で対応することが多い。

ばっ気槽のBOD負荷が低い場合、間欠ばっ気を導入する。

流量調整槽の流入汚水量が少ない場合、連続的に汚水の移送ができるように移送水量を調整する。

レストランや惣菜店などが併設されている建築物の場合、油脂分離槽を設置する。

担体流動槽内液の浮遊汚泥が増加傾向にある場合の管理技術

逆洗装置の稼働状況を点検し、適正に稼働するように再調整するというのは誤り。 担体流動槽に逆洗装置はない。 浮遊汚泥が増加傾向にある場合には、循環装置の稼働状況を点検し、適正に稼働するように再調整を行う。

一次処理装置からの汚泥の流出状況を点検する。

後段が沈殿槽である場合には、槽内液の浮遊汚泥の沈降性などを点検する。

流動している担体の変形・摩耗状況を観察する。

担体の流動状況や充填量が減少していないか確認する。

保菌者

保菌者とは、無症状で病原体を体内に保有するヒトである。

水系感染症

飲み水やその他の水を利用することにより、病原微生物に感染して生じる病気。

近代水道の設備が普及して十分に維持管理され、消毒も行われている結果、腸チフス、コレラ、細菌性赤痢などの 古典的水系感染症の流行の危険性は極めて低い。しかし、近年、クリプトスポリジウムやジアルジアによる原虫感染症、 レジオネラ菌による日和見感染症、ノロウィルスによる下痢感染症など、水系の新興・再興感染症が問題となっている。

水系感染症の中で、赤痢やコレラの原因となる微生物は細菌であり、 糞便に由来する細菌汚染の指標として大腸菌群数が用いられる。 浄化槽放流水の大腸菌群数は3000個/mL以下とされているが、 維持管理上の基準は残留塩素が検出されることとなっている。 ウィルスが原因となる水系感染症に流行性肝炎A型があるが、 一般にウィルスは細菌に比べ耐塩素性が強いとされている。

水系感染症のうち病原体が原虫であるものは、アメーバ赤痢、 クリプトスポリジウム症、ジアルジア症で、ウイルスであるものは、A型肝炎、E型肝炎、急性灰白髄膜(ポリオ)、 感染性胃腸炎(ノロウイルス)で、細菌であるものは、 細菌性赤痢、腸チフス、コレラ、病原大腸菌感染症、レジオネラ症である。

感染症

1970年以降、世界において、新興感染症は減少しているというのは誤り。 1970年以降、これまで知られなかった感染症が新興感染症として、少なくとも30種類以上出現している。 さらには、近い将来克服されると思われていた結核やマラリア等の感染症が、再興感染症として脅威となっている。

潜伏期間は、疾病の種類や感染時の病原体の量により、数時間から十数日間以上と幅がある。

感染が成立する条件は、感染源、感染経路、宿主の免疫力の3つである。

感染後、宿主中で病原体が増え、病原体特有の病気の症状を示す感染を顕性感染という。

感染しても臨床症状を示さないものを不顕性感染という。 また、感染後発症せずに、病原体が消滅・終息するものも不顕性感染という。

宿主の抵抗力が低下すると、日和見感染を起こすことがある。

日和見感染は、通常、無害で病原性のない微生物でも、宿主の抵抗力低下や微生物の生育環境の変化によって病原性を示すこと。

日本では、結核は再興感染症として、近年、脅威が増大している。

クリプトスポリジウム(cryptosporidium)

魚類、爬虫類、鳥類、哺乳類の胃や小腸などの消化管に寄生する原虫。

クリプトスポリジウムのような原虫感染症には特効的な治療薬がなく、感染症の免疫によって治癒される。

クリプトスポリジウムの感染型であるオーシスト(成熟卵嚢子, oocyst)には塩素耐性がある。

水系感染症を引き起こす病原微生物の中で、塩素消毒の効果が低いもの

(1)赤痢菌

(2)コレラ菌

(3)クリプトスポリジウムが正解

(4)腸管病原性大腸菌

(5)腸チフス菌

(1)(2)(4)(5)の水系感染症は、感染症法の分類では三類感染症で、塩素消毒などの対物措置が有効である。 一方、五類感染症である(3)では、塩素消毒ではオーシスト(原虫、成熟卵嚢子、oocyst)を不活性化させることができない。

ジアルジア(giardiasis)

ヒトや哺乳類の十二指腸や小腸に寄生する原虫。ヒトの急性・慢性的な下痢をはじめとする腹部症状の原因となる。

A型肝炎ウィルス(Hepatitis A Virus)

A型肝炎ウイルスは、世界中に幅広く分布していて、上下水道設備の不十分な地域や衛生環境の劣悪な地域で多く発生している。

ノロウィルス

直径30~38nmの生十二面体のエンベロープを持たないRNAウィルス。ヒトに経口感染して感染性胃腸炎を起こす。 牡蠣などの貝類による食中毒の原因となるほか、ヒトの糞類や嘔吐物などを介して経口感染する。

桿菌(かんきん)

個々の細胞の形状が細長い棒状または円筒状を示す細菌のこと。

大腸菌群

大腸菌群とは、細菌を識別する際に用いられるグラム染色法で染色されない細菌で、 乳糖を分解して酸とガスを生成し、芽胞という一種の殻を形成しない細菌の総称をいう。 この中には、糞便性と非糞便性の大腸菌がある。 し尿1mL中には数百万個の大腸菌群が含まれているため、水中に大腸菌群が存在することは、 その水がし尿によって汚染されていることを示し、病原菌を含む可能性を表している。

大腸菌群は、細菌を識別する際に用いられるグラム染色法ではグラム陰性に分類される。

大腸菌群は、好気性または通性嫌気性の短桿菌である。

大腸菌群は、芽胞を形成しない。

大腸菌群は、乳糖を分解してガスと酸を生成する。ただし、 ここでいうガスは主に水素、炭酸ガスと考えられる。メタンガスを生成するのは 偏性嫌気性菌のメタン生成菌である。

大腸菌群は、グラム陰性、無芽胞の短桿菌で、 乳糖を分解してガスと酸を生成する好気性または通性嫌気性細菌であり、 し尿中には1mL当たり100万個以上含まれている。 流入水中に含まれる大腸菌群数は、処理過程で減少する。

グラム染色法(Gram staining)

グラム染色法は細菌の分類、同定に用いられる染色法の1つ。 細菌を色素液で染色し、アルコールを作用させると、ある種の細菌は脱色され、 別の色素液による後染色でその色調に染まる。 脱色される細菌をグラム陰性菌という。

グラム陽性-->ゲンチアナ紫やクリスタル紫で染色され、媒染剤(ルゴール等)によりレーキを形成し、これはアルコール等の脱色液でも脱色されない。

グラム陰性--> グラム陽性物質がないため、アルコール等で色が抜け落ちて顕微鏡で確認できないことから、サフラニンやフクシン等の赤い色素で染めた(後染色、対比染色)もの。

日本脳炎(Japanese encephalitis)

(mosquito)の吸血行動に伴って媒介される感染症。

感染源は日本では主に豚で、ウィルスを持つ豚から吸血した蚊に刺されて感染するが、人から人に感染することはない。

ノニルフェノール(nony phenol)

水環境中から主に検出され、内分泌撹乱作用(endocrine disruptive)が強いのはパラ異性体の分岐型であるとされる。

ノニルフェノールは、水生生物の保全に係る環境基準として定められているが、富栄養化とは直接の関係性はない。

消毒薬

浄化槽の現場作業で作業従事者が利用可能と思われる消毒薬は以下の通りである。

アルコール系-->エタノール、イソプロパノール

界面活性剤系-->陽イオン界面活性剤(逆性石鹸)、両性界面活性剤

ハロゲン系-->塩素、ヨウ素

ビグアナイド系-->グルコン酸クロルヘキシジン

塩素消毒を十分に行うには、処理水と塩素との接触時間を塩素添加量10mg/L以上で、 15分間以上とる必要がある。 単独処理浄化槽の場合には、汚水の流入が間欠的であることなどを考慮して、 消毒室の有効容量が定められており、最小容量は1回分のフラッシュ水量に相当する12L以上としている。

3F化

3F化とは、Fail safe(故障などが安全側となること)、Fool proof(作業者が引き起こすと思われる過ちを未然に防ぐ措置)、Follow up(危険防止のための点検)をいう。

ハインリッヒの経験則

労働災害において「1件の重大なアクシデントが生じた際に29件の軽微なアクシデントと300件のインシデントが生じている」というハインリッヒの経験則がある。 ヒヤリ・ハット事例を学べば、労働災害防止に役立てられる。

ヘモグロビン(haemoglobin, hemoglobin)

ヘモグロビンは、赤血球の中にあるを含むタンパク質で、酸素分子と結合する性質を持つ。

酸素欠乏(oxygen deficiency)

空気には、約21%の酸素、約78%の窒素、約0.03%の二酸化炭素が含まれるが、酸素欠乏は酸素欠乏空気(酸素濃度18%未満)の吸入により発生し、 致死率(死亡者数/罹患者数)が高い。発生1件当たりの死亡者数が多く、救護にあたったものが被災し、死亡することも多い。酸素欠乏空気の発生場所としては、以下の通りである。

1) 空気の流れが悪く、換気が不十分で、発生ガスが滞留する場所

2) 酸素を消費する非酸化性の汚泥などの有機物質や第一鉄塩などの無機物質がある場所

浄化槽で汚水や汚泥などの有機物質が滞留した場合、浄化槽内の微生物の呼吸によって酸素が消費されて二酸化炭素も発生する。 さらには、槽内の嫌気的な微生物の作用によってメタンや硫化水素が発生し、メタンは空間の上部に、硫化水素は空間の底部に留まりやすい。 これら発生ガスの置換作用によって空気中の酸素濃度は低下して酸素欠乏が発生する。

ピット等で常に18%以上の酸素濃度が維持できるように、20回/時間以上の換気回数が必要となる。

酸素濃度10%以下の空気では、意識喪失・昏倒などを生じる。

酸素欠乏症は、酸素濃度が18%未満の空気の吸入により発生する。

酸素検知管は、取り扱いが簡単であり、価格も安いが、精度が低い。

隔膜ガルバニ電池式等の酸素計は、現場使用に適切であるが、 センサーの定期点検や部品の交換が重要である。

メタン(CH4)

都市ガスの主な成分。空気1に対する比重は0.555

メタンは無臭の気体である。

メタン生成細菌は、偏性嫌気性細菌の分類に入る。

嫌気状態では、嫌気性細菌(従属栄養細菌)が有機物質の分解を行い、 臭気やメタンガスを発生する。

同一の圧力、温度、容積におけるガスの重さの順は、

メタン(比重:0.55) < 空気 < 硫化水素(比重:1.19) < 二酸化炭素(比重:1.53)

窒素の比重は0.97で、酸素の比重は1.11である。

硫化水素(H2S)

特有の腐敗臭を有する無色の気体であり、自然界では硫酸塩が硫酸還元菌によって還元されて発生する。空気1に対する比重は1.19

硫化水素は空気とも混合しやすく、水にも溶けやすい。

硫化水素が発生している場所では、同時に酸素濃度も低下している可能性が高い。

汚水や汚泥が滞留して嫌気状態になる場所では、メチルメルカプタンスカトール、アンモニア、硫化水素などの臭気の強い気体が発生しやすい。

硫化水素濃度と人体に対する影響は以下である。
0.2ppm-->誰でも異臭を感じる
10ppm-->許容濃度であり、目の粘膜に刺激を感じる
30ppm-->嗅覚が麻痺する
700ppm-->短時間の曝露で生命への危険性が生じる
5000ppm-->死に至る

一酸化炭素(CO)

一酸化炭素(CO)は、無色・無臭・空気とほぼ同じ重さである。 一酸化炭素の人体の影響については血液中のヘモグロビンと結合しやすく、体内への酸素供給を妨げる。 一酸化炭素の発生源は、内燃機関を有する機械の稼働による排気ガスに多く含まれる。

厚生労働省のガイドラインや学会基準(許容濃度)では、空気中の一酸化炭素濃度を50ppm以下に保つことを求めている。

悪臭物質と臭い

ノルマル酪酸-->汗臭い臭い

酢酸エチル、メチルイソブチルケトン-->刺激的なシンナーのような臭い

硫化水素-->腐った卵のような臭い

イソ吉草酸-->むれた靴下のような臭い

トリメチルアミン-->腐った魚のような臭い

アンモニア-->し尿のような臭い

酸発酵で生成する低級脂肪酸

低級脂肪酸は、有機物質の嫌気分解で生成し、分子量が小さく、室温で流動しやすい液状の物質である。 低級脂肪酸には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等があり、臭気に関する苦情の原因物質となる。 また、硫酸塩還元細菌の基質ともなる。

換気(ventilation)

換気方法は、風力や温度差を利用して行う自然換気とファンなどの機械を使って行う機械換気に分けられる。 いずれの場合も空気の流れが短絡しないように配慮する必要がある。

換気は、18%以上の酸素濃度が維持できるように酸素濃度を測定して確認しながら継続して行う必要があり、 ピットなどでは、ピット内の空気が1時間に20回以上置換できるような換気が必要である。

硫化水素濃度が10ppm以下となるように換気を行う。硫化水素濃度のほか、酸素濃度が18%以上であることも確認する。

作業環境は、酸素濃度18%以上、硫化水素濃度10ppm以下でなければならない。

1mg/Lと1ppmは近似であるが、比重が1でない場合は1mg/L = 1ppmにならないため、 水に含まれる物質の濃度を表す単位としてppmを用いることは好ましくない。

機械換気

機械換気は、ファン等の機械を使って行う換気である。 第1種換気法は、給・排気式で、第2種換気法は給気式で、 第3種換気法は排気式である。

浄化槽の換気

地下室や室内に設置された浄化槽では、機械換気が用いられる。

地下室や室内に設置された浄化槽では、臭気の排除や湿度の低減のために換気を行う。

第1種換気は、給気・排気とも機械的に行う方法であり、 最も換気効率がよい。

第3種換気は排気を機械的に行う方法であり、室内は負圧となる。

換気回数とは、1時間に室内の空気が入れ替わる回数をいい、換気風量を室内の容積で除した値である。

地下室や室内に設置された浄化槽では、10回/時以上の換気回数が必要である。

チアノーゼ(cyanosis)

血液中の酸素濃度が低下し、皮膚が青紫色になること。

SDS(Safety Data Sheet), MSDS(Material Safety Data Sheet)

化学物質の性状と取り扱いに関する情報を記載した化学物質など安全データシートを 当該化学物質の製造事業者から使用者へと伝達する制度であり、 化学物質排出把握管理促進法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法などでその提出が義務付けられている。

有機溶剤の毒性は、その種類や曝露濃度や曝露時間によって異なり、SDSはその毒性を把握するうえで有効である。

有機溶剤中毒対策は、有機溶剤予防規則に定められており、有機溶剤作業主任者の選任が必要となる。

セルロース(cellulose)

植物性繊維の主な成分をなす白い炭水化物。繊維素。 分子式(C6H10O5)nで 表される炭水化物(多糖類)である。

植物細胞の細胞壁および植物繊維の主成分で、天然の植物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物。 ごぼうや豆類などといった野菜に含まれている。

GR試薬(Griess Romijn nitrite reagent)

亜硝酸イオンの定性試験に用いる試薬。

粉末にした酒石酸89gにα-ナフチルアミン1g、スルファニル酸10gを十分に混和したもの。

硝酸イオンを良感度で検出するための試薬。

GR法(Griess Romijn nitrite method)

試料中のNO2--Nがスルファニル酸をジアゾ化し、次いで、 これがα-ナフチルアミンと結合して生じる化合物の桃紅色の呈色により亜硝酸を確認する方法。

亜硝酸性窒素

亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素の測定は、 生物処理における酸化の進行度合を把握するために有効である。

浄化槽の運転初期においては、まず亜硝酸性窒素が検出され、 次いで硝酸性窒素が検出される。

処理水中の亜硝酸性窒素は、BODを高める。

硝化反応が十分に進行した場合、窒素の大部分が硝酸性窒素である。

試料の分取量

戸建て住宅の浄化槽において、各時間帯の水量の合計が1000L、 8~9時の水量が380Lであるとき、この時間帯における流入汚水の 混合試料を2L調製する場合、8~9時における試料の分取量の値はいくらか。

各試料の分取量[mL]
= 混合試料の必要量[mL] × 各時間帯の水量[L]各時間帯の水量の合計[L]
= 2000[mL] × 380[L]1000[L]
= 760[mL]

ブロワ(blower)

空気を必要とする機器や装置に空気を供給する機械。

電磁式ブロワを用いた場合における散気管からの吐出空気量が少ない原因は、 散気管の部分的な目詰まり、配管途中の継ぎ手からの漏洩、 ダイアフラム(diaphragm)の破損、フィルタの目詰まりである。 電磁式ブロワでは、軸受けが破損するとブロワは起動しない。

ロータリー式ブロワの異常な発熱の原因として、 フィルターの目詰まり、オイル切れ、Vベルトの張り過ぎ、プーリー(pulley, 滑車)の緩みがある。

ターボ型ブロワは、比較的管理に手間がかからず、主に大規模な浄化槽に用いられている。

ルーツ型ブロワは、騒音振動が比較的大きいが、ターボ型ブロワに比べ安価で、 主に中規模の浄化槽に用いられている。

ロータリ型ブロワは、モータ直結型とベルト型の駆動方式があり、 主に小規模の浄化槽に用いられている。

電磁式ピストンブロワは、ターボ型ブロワと同様、小規模の浄化槽に適した構造である。

水中型ブロワは、モータとブロワが一体で水中に設置でき、 設置面積が小さく、防音対策の必要がない。

ブロワ―の作動中にベルトが破損すると、感覚的には当たり前だが、ブロワーの電流値は低下する。

ブロワ―のマグネットが破損すると、吐出空気量が減少する他に、振動・異音が発生する。

ルーツブロワ―の交換部品には、Vベルト、オイルシール、軸受け、潤滑油、フィルタ等がある。

電磁式ブロワの異常

ケーブルの接続不良により、起動しない。

ダイアフラムの破損により、送風が停止する。

ブロワと建築物との接触により、振動・異音が発生する。

散気管の閉塞により、吐出圧力が上昇する。

オイルの不足により、異常な発熱が生じるというのは誤り。 電磁式ブロワの異常な発熱の原因として考えられるのは、フィルターの目詰まり、バルブの摩耗、過負荷である。

ルーツ式ブロワに発生した異常とその結果生じる現象

防振ゴムの破損では、異常な発熱は起こらない。

フィルタの目詰まり-->吐出空気量の現象

ベルトの張り過ぎ・緩み-->ベルトの破損

タイミングギヤ―の破損-->空気が吐出しない

ベアリングの破損-->異音の発生

ルーツ式ブロワの吐出空気量が少ない原因

フィルタの目詰まり

ベルトの緩み

マグネットの破損は誤り。 マグネットの破損により、電磁式ブロワーの吐出空気量が少なくなる。

安全弁の噴き出し

タイミングギヤの損傷

破砕装置の異常な現象とその原因・対処方法に関する組合せ

異常な現象 原因 対処方法
振動が大きい 軸芯が出ていない 芯出し、軸の交換
振動が大きい 取り付けボルトやナットの緩み ボルトやナットの締め付け
電流値の異常
過負荷
ドラムの接触 芯出し、軸の交換
電流値の異常
過負荷
異物の嚙み込み 異物の除去
破砕状況が悪い 羽根車の摩耗は誤り。
切断歯の摩耗や閉塞
羽根車の交換は誤り。
切断歯の交換、分解掃除

破砕状況が悪い原因として、切断歯の摩耗や閉塞が考えられる。 その対処方法は、切断歯の交換、分解掃除である。

浄化槽における騒音対策

浄化槽の運転中に発生する騒音としては、機械系の駆動音や汚水等の移送に伴う水の音が挙げられる。

ブロワから発生する騒音は、吐出圧力やモータの回転数によって騒音特性が異なる。

機械室に設置されたブロワは、すべて騒音規制法の対象となるわけではない。

ばっ気撹拌等の音が問題となる場合は、マンホールや点検蓋を厚いものに変更するのが簡易な対策である。

機械室内に機器がある場合は、室内に吸音材を張ることで防音効果が期待できる。

臭気の測定

浄化槽に適用されている脱臭法としては、吸着脱臭法、生物脱臭法、オゾン脱臭法がある。

臭気強度は、空気中の臭気の強さを嗅覚による官能試験で表した尺度の1つである。 臭気の感知の程度を6段階に分けて示すもので、 迅速に臭気の程度を数値化できる。

沈殿槽で臭気が発生している場合は、底部汚泥の引き抜き頻度を調整する必要がある。

流量調整槽の臭気対策として、空気吹き込み型の水中撹拌機を採用する方法がある。

防臭対策として臭突を設ける場合、臭突管を接続するための排気口の下端部は、 槽内水位より100mm以上上方の位置に設ける。

臭気強度は、人間の嗅覚により判定する。

低級脂肪酸は、悪臭の原因となる。

臭気強度は、6段階で示す。

臭気強度と快不快度との関係は、物質によって異なる。

アンモニア濃度が2倍になると、臭気強度も2倍になるというのは誤り。 アンモニアの臭気強度と濃度の関係は以下の通りである。

臭気強度 1 2 2.5 3 3.5 4 5
濃度[ppm] 0.1 0.6 1 2 5 10 40

浄化槽に適用されている脱臭法

吸着脱臭法では、活性炭が主として用いられている。

吸着脱臭法では、吸着材の交換が必要である。

充填塔式生物脱臭法では、微生物により臭気物質が酸化分解される。

土壌脱臭法では、吸着、生物学的・化学的作用により臭気が除去される。

オゾン脱臭法では、オゾンによるマスキングが主たる作用ではない。 オゾン脱臭法では、臭気のマスキング作用もあるが、主たる作用ではない。 オゾン脱臭法は、オゾンの酸化力により臭気成分を分解する方法である。

臭気が発生している浄化槽における対策

油脂分離槽の撤去は誤り。 多量の油脂分の混入に伴い、BOD負荷が増加することによる機能低下(スクリーンの閉塞、レベルスイッチの誤作動、臭気の発生など)が生じやすいので、 前段に油脂分離槽を設置するのが望ましい。

トラップのない宅内配管の場合、接合部にトラップ付きインバート升の設置

中継ポンプ設備の滞留時間の短縮、ポンプ設置位置の変更

流入管渠の勾配及び汚水の停滞の改善

スクリーン設備の換気量の増大による希釈・拡散

モーターにより稼働する換気装置の振動や異音の原因

取り付けボルトの緩み

ダクトの固定の不良

回転体(羽根)の接触

異物の嚙み込み

漏電ブレーカーの作動は誤り。 漏電ブレーカーが作動すると、換気装置のモーターは起動しない。

分離接触ばっ気方式のみなし浄化槽において、放流水に悪臭が認められる原因

流入管渠に汚物が付着しているというのは誤り。 流入管渠に汚物が付着している場合、流入管渠途中の点検升などから悪臭が認められる可能性がある。 放流水ではない。

微生物に有害な物質が流入している。

流入BODが著しく増加している。

沈殿分離室にスカムが過剰に蓄積している。

接触ばっ気室のばっ気が停止している。

浄化槽における臭気の発生場所とその原因

流入管渠-->槽本体からのガスの逆流

沈殿分離槽-->嫌気性微生物による汚泥分解

好気性生物反応槽-->臭気物質の揮散

沈殿槽-->嫌気性微生物による汚泥分解

消毒槽-->嫌気性微生物による消毒剤の分解というのは誤り。 消毒槽では、消毒剤(塩素剤)に由来する塩素臭が発生する。

浄化槽の流入汚水

百貨店の汚水量は、週末の土曜日、日曜日、7月と12月が最大となり、 曜日による水量変動、季節的な水量変動が大きい。

一般飲食店では、材料仕込み時と終業時に多量の水を使用するため、 その時間帯の汚水量が最大となる。

水質項目の測定法

水質項目とその測定に関する組合せは以下である。

pH-->ガラス電極法

大腸菌群数-->デオキシコール酸ナトリウム法

DO-->隔膜電極法

塩化物イオン(塩素イオン)-->硝酸銀滴定法

亜硝酸性窒素-->ナフチルエチレンジアミン吸光光度法

植種

植種は、好気性微生物が存在しない、あるいは不足している試料のBOD量を測定する際、 好気性微生物を添加する操作である。植種のための液を植種水という。 植種水は、消毒前の生物処理水や河川水を用いる。

植種水には、ばっ気槽混合液の上澄水、沈殿槽流出水、河川水等を用い、 植種希釈水の培養前後の溶存酸素濃度の差0.6mg/L以上になるように植種水を加える。

硝化細菌が多量に存在するような水を植種水として用いるのは好ましくない。

培養前後の溶存酸素の濃度から、次式によって試料のBODを算出する。

(a)植種を行わないとき

BOD(mg/L) = (DO1 - DO2) × 希釈倍率

(b)植種を行うとき

BOD(mg/L) = [(DO1 - DO2) - DOA] × 希釈倍率

DOA = 植種液のBOD(mg/L) × A/B

DO1:希釈試料を調整してから15分後の溶存酸素濃度(mg/L)

DO2:培養後の溶存酸素濃度(mg/L)

DOA:希釈試料中の植種液による溶存酸素の消費量(mg/L)

A:希釈試料中の植種液量(mL)

B:希釈試料量(mL)

ATU-BOD

ATU-BODは、硝化を抑制して測定したBODである。

ATU-BODは、BOD測定時に培養びん中に一定量の硝化抑制剤(アリルチオ尿素)を添加することにより、 硝化を抑えて測定することができる。

BOD測定

20℃、5日間における溶存酸素の消費量を表したものである。

数種類の希釈倍率の異なる検水を調整して、酸素消費量が40~70%の範囲にあるものを選択し、 試料のBODを算出する。

消毒後の処理水BODを測定する場合には、 亜硝酸ナトリウムを適量加えて残留塩素の影響を除く前処理が必要である。

硝化抑制剤(ATU:アリルチオ尿素)を添加することにより、 硝化による酸素消費を抑えてBODを測定することができる。

放流水の水質の基準

環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準は、 維持されることが望ましい基準として設定されるものであり、規制基準ではない。

浄化槽から公共用水域等に放流される水の水質の技術上の基準は環境大臣が決める。

処理対象人員が501人以上の浄化槽は、 水質汚濁防止法に基づく排水規制が適用される。

みなし浄化槽については、浄化槽から公共用水域等に放流される水の水質の技術上の基準が適用されない。

浄化槽放流水の1日の平均水質を知りたい場合、混合試料を用いると、 BOD、COD、アンモニア性窒素、全リン、ヘキサン抽出物質を測定できる。 水温(温度)、透視度、pH、残留塩素は直ちに測定すべき項目であり、 混合試料を用いて測定できない。

浄化槽の沈殿槽流出水と消毒槽流出水の水質試験

大腸菌群試験は、消毒槽流出水について行う。

処理機能の判定は、通常、沈殿槽流出水により行う。

沈殿槽流出水では、N-BODの影響でBODの測定値が高くなることがある。

C-BODは、ATUを添加してBODを測定する。

消毒槽流出水のBOD測定においては、アジ化ナトリウムで残留塩素を中和してから行うというのは誤り。 試料採取後直ちに亜硫酸ナトリウムにより残留塩素を還元してから行う。

消毒後の処理水BODを測定する場合には、亜硫酸ナトリウムを適量加えて残留塩素の影響を除く前処理が必要である。

浄化槽の清掃概論

浄化槽の清掃

浄化槽の清掃の技術上の基準は、環境省令で定められている。

環境省令で定める場合を除き、毎年1回浄化槽の清掃を行わなければならない。

浄化槽内に生じた汚泥やスカムを引き出した後に、し尿処理施設に運搬する行為は、浄化槽の清掃に含まれない。

浄化槽管理者が自ら浄化槽を清掃する場合においても、浄化槽の清掃の技術上の基準に従う必要がある。

全ばっ気方式の浄化槽は、環境省令で清掃の回数の特例が定められている。

浄化槽の清掃を受託した者は、清掃の記録を3年間保存しなければならない。

浄化槽清掃業については、市町村長の許可を受ける制度になっている。

浄化槽の保守点検業は、汚泥を扱う作業を含むことから、浄化槽清掃業又は一般廃棄物処理業の許可が必要となるというのは誤り。 汚泥、スカムなどの引き出しを伴わない槽内の汚泥などの調整、単位装置・付属機器類の洗浄、掃除などは清掃の概念に含まれない。

清掃の記録票

清掃の記録表に記載する項目は、 処理方式及び処理対象人員、前回の清掃実施日、 単位装置ごとの引き出し汚泥量及びその合計量清掃汚泥の搬出先 である。

処理水の透視度は、清掃の記録票にも記載する項目ではなく、 維持管理の点検記録に記録する項目である。

透視度に影響するものには、着色物質、コロイド物質、浮遊物質などがあげられる。

処理水のBODが20mg/L以下であるためには、 透視度が30度以上であることが望ましい。

小型合併処理浄化槽における清掃内容の記録

清掃作業対象の単位装置名及び有効容量

単位装置ごとの引き出し汚泥量及びその合計量(全清掃汚泥量)

装置単位ごとの張り水の種類及びその量

汚泥等を引き出した単位装置の内部設備の変形及び破損の有無

槽内に入って作業を行う場合の作業空間の窒素濃度の測定結果は記録には残さなくて良い。

清掃業者が浄化槽管理者と清掃について打ち合わせる事項

作業が安全に行える環境であることを確認する。

浄化槽の型式、単位装置の容量等について確認する。

浄化槽管理者からの清掃手順の指示を確認するというのは誤り。

バキューム車の進入経路や停止位置等を確認する。

電源、給水栓の有無を確認する。

清掃時に用いる用具とその使用目的の組合せ

ヘッド付きワイヤー-->ホッパーやスロットの付着汚泥を掻き落とすために使われるのは誤り。 ヘッド付きワイヤーは配管の洗浄用具である。

サクションホース-->汚泥やスカムを引き出す。

デッキブラシ-->内壁や隔壁の付着物を掻き落とす。

高圧洗浄機-->配管に付着・堆積している汚泥を洗浄する。

止水プラグ-->配管の洗浄排水を浄化槽に流入させないようにせき止める。

清掃業の許可を受ける際に保有することが義務付けられている器具

清掃業の許可を受ける際に保有することが義務付けられている器具は、 温度計、透視度計、pH計、汚泥沈殿試験器具(メスシリンダー)、 スカムおよび、汚泥厚測定器具、スカム破砕器具、自吸式ポンプ、パイプ、およびスロット掃除器具、ろ床洗浄器具である。 塩化物イオン濃度計は保有することが義務付けられていない。

清掃に用いる器具と洗浄方法

エアリフトポンプの配管は、サクションホースを用いた吸引洗浄が行われるというのは誤り。 エアリフトポンプの管内は、水道水で洗いながらブラシなどを用いて付着物を除去する。

一次処理装置等の隔壁や移流管に汚泥や油脂類が強固に付着している場合、汚泥掻き落とし用具が用いられる。

ホッパー、スロットに付着した汚泥の清掃では、洗浄と平行して引き抜く方法がある。

スクリーン設備の清掃には、付着した夾雑物を取り除く熊手や火ばさみが用いられる。

ろ材等の洗浄で水をかけて落ちる程度の場合には、ホースを使用した水道水による洗浄を行うだけでよい。

清掃時期の判断

回転板接触槽にあっては、生物膜が過剰肥厚して回転板の閉塞のおそれが認められ、かつ、 収集、運搬及び処分を伴う剥離汚泥等の引き出しの必要が認められた時。

変則合併処理浄化槽にあっては、前置浄化槽から後置浄化槽へ流入する水の中に著しい浮遊物質の混入が認められるなど、 後置浄化槽の機能に支障が生じるおそれが認められた時。

重力移送沈殿槽にあっては、スカムの生成が認められ、かつ、 収集、運搬及び処分を伴うスカムの引き出しの必要性が認められた時。

地下砂ろ過型二次処理装置のろ過にあっては、 目詰まり、または、水位の上昇が認められた時。

スクリーンにあたっては、汚物等の付着による目詰まりが認められ、かつ、 収集、運搬及び処分を伴う汚泥等の引き出しの必要性が認められた時。

浄化槽の清掃は、浄化槽内に生じた汚泥、スカム等の引き出し、 その引き出し後の槽内汚泥の調整並びに単位装置、付属機器類の洗浄、清掃を行う作業である。

清掃回数は少なくとも毎年1回実施することが義務づけられているが、 全ばっ気方式は、概ね6月ごとに1回以上と規定されている。

ばっ気室の清掃時期の判断の目安は、30分間汚泥沈殿率が 概ね60%に達したときとされている。

ブロワーは、洗浄、掃除が必要なものとして規定されていない。

汚泥引き出し後に嫌気ろ床槽第1室、第2室ともに所定の水位まで水張りを行う。

汚泥移送装置を有しない接触ばっ気槽で、 生物膜が肥厚し接触剤が閉塞するおそれがある時は清掃する必要がある。

嫌気ろ床槽における清掃時期の判断については、スカム、 槽底部の堆積汚泥の厚さ、異常な水位二次処理装置への汚泥の流出状況、 ろ床内汚泥の蓄積量、前回清掃からの経過月数がある。

みなし浄化槽の二次処理装置及び消毒室の清掃

散水ろ床型-->付着物の引き出し、洗浄

平面酸化型-->付着物の引き出し、洗浄

単純ばっ気型-->全量引き出し

地下砂ろ過-->洗浄

消毒室-->適正量引き出し

みなし浄化槽の分離接触ばっ気方式の清掃作業

便器の洗浄水を流すなどして流入管の詰まりの有無を判断し、必要があれば流入管渠を清掃する。

堆積汚泥を引き出す際、水道水で薄めたりしないようにする。

沈殿分離室の汚泥を引き出した後、内壁や流入管に付着している汚泥を洗浄する。

内部設備の変形及び破損の有無を確認する。

消毒室のスカム、汚泥を沈殿分離室には移送しない。

作業手順として、接触ばっ気室のばっ気を停止して接触材の逆洗を行った後、 沈殿分離室、接触ばっ気室、沈殿室、消毒室の順に清掃を行い、各室の張り水を行う。
1)接触ばっ気室のばっ気を停止させる。
2)接触材の逆洗装置を作動させて接触材を洗浄し、生物膜を剥離させる。
3)沈殿分離室のスカム、中間水、汚泥を引き出す。
4)剥離汚泥の混合液を引き出し、接触材及び沈殿室を清掃する。
5)消毒室を清掃する。

清掃作業

流量調整槽が前置された浄化槽の汚泥濃縮貯留槽において、 汚泥、スカム等の引き出しは、脱離液を流量調整槽に移送した後の全量とした。

沈殿分離槽において、槽内の洗浄に使用した水は、沈殿分離槽の張り水として使用した。

消毒槽に汚泥の堆積が認められた場合、その汚泥をサクションホースを用いて引き出した。

消毒槽内の沈殿物等は一次処理装置へ移送すると微生物作用を阻害するおそれがあるので、移送してはならない。

汚泥移送装置を有しない接触ばっ気槽の張り水に活性汚泥を使用したというのは誤り。 汚泥移送装置を有しない接触ばっ気槽の張り水には、水道水などを使用する。

汚泥貯留槽の汚泥、スカム及び中間水は全量引き出した。

夾雑物除去槽の汚泥、スカム等は、全量引き出す。

生物ろ過槽の剥離汚泥は、全量引き出すというのは誤り。 生物ろ過槽は、通常は清掃対象外である。 ただし、汚泥などの蓄積状況や付帯設備の稼働状況によっては、清掃が必要となる場合もある。

担体流動槽は、汚泥の引き出しは行わない。

水位が変動する単位装置は、低水位まで水張りを行う。

清掃後、流量調整槽、循環装置の移送水量を適正量に調整する。

接触ばっ気槽の逆洗時期の判断

接触ばっ気槽の各部位のDO(溶存酸素)濃度に大きな差が認められる。

槽内水の外観(浮遊汚泥の量及び色相)に大きな変化が認められる。

接触材の保持汚泥の大部分に黒色化が認められる。

槽内水位の上昇が認められる。

槽底部に堆積汚泥の増加が認められる。

槽内水に多量の剥離汚泥が認められる。

槽内水のpHの低下は、逆洗時期の判断材料としない。

小型浄化槽の清掃

清掃前後において、流量調整装置、循環装置の稼働状況の確認を行う。

担体流動槽の汚泥を引き出す場合、担体を同時に引き出さないようにする。

スカム、汚泥等の引き出し後、必要に応じて付属機器類の洗浄、掃除を行う。

水位が変動する単位装置は、通常、低水位まで張り水を行う。

脱窒ろ床槽のろ床内は、嫌気ろ床槽と同様に清掃を行う。第1室は、ろ材押さえの上部のスカム、 堆積汚泥などを引き抜いた後、室内水など(壁面や流入管などの洗浄水を含む)を全量引き出すとともに、 内部設備などの変形および破損の有無を確認し、所定の水位まで水張りを行う。

第2室以降の室は、スカムや汚泥の蓄積状況に応じて、スカムや汚泥などを適正量引き出す。 なお、汚泥などの引き出しを行う場合には、内部設備などの変形および破損の有無を確認し、 所定の水位まで水張りを行う。

小容量型浄化槽の清掃作業において、夾雑物除去槽の汚泥、スカムなどは全量引き出しとされている。 消毒層については、汚泥、スカムなどの引き出しは適正量とされている。

バキューム車の吸引能力に影響する項目は、揚程、吸引ホースの長さ、 吸引ホースの口径、汚泥の固形物濃度である。

個人設置型の戸建て住宅用浄化槽の清掃にあたり実施しなければならない事項は、 衛生・安全対策を考慮した器具、機械等の準備である。

脱窒ろ床第1室における汚泥等の引き出しの順序は、 スカム->ろ材押さえ面上の堆積汚泥->槽底部の堆積汚泥->ろ床洗浄水

腐敗室のスカム、汚泥の清掃方法は、第1室、第2室、第3室のスカム、中間水、汚泥の全量を引き出す。

全ばっ気型浄化槽のばっ気の清掃については、 ばっ気を停止して、汚泥を沈殿させ、沈殿汚泥の適正量を引き出す。

嫌気ろ床槽第1室は、槽内水も含め全量引き出す。

一次処理装置の第2室は、必ずしも全量引き出す必要はない。

接触ばっ気槽は、逆洗して沈殿させた汚泥を中心に適正量引き出す。

沈殿槽は、汚泥、スカムを適正量引き出す。

夾雑物除去槽は、スカム等浮上物を全量引き出し、次に、流入管、清掃孔、 流出管及び槽壁面等に付着した汚泥を取り除き、槽底部からは槽内水を全量引き出す。 引き出し後、水道水等を用いて水張りを行う。

小型浄化槽の張り水

接触ばっ気槽の洗浄に使用した水を嫌気ろ床槽第1室の張り水として使用する。

槽内の洗浄に使用した水

槽内の洗浄に使用した水のうち、嫌気ろ床槽、脱窒ろ床槽、消毒室または消毒槽以外の洗浄に使用した水は、 一次処理装置、二階タンク、腐敗室または沈殿分離タンク、沈殿分離室もしくは沈殿槽ではなく、沈殿分離槽の張り水として使用することができる。

汚泥の引き出し後に行う事項

マンホールの蓋は必ず閉めて、密閉状態を確認する。

薬剤筒に消毒剤がない場合は、設置者にこれを報告もしくは消毒剤を補充する。

付帯設備に補修を要すると認められる場合には、設置者に連絡する。

清掃の記録票に記入後、作業が終了したことを設置者に伝え、1部を渡し、作業内容の説明を行う。

清掃後は上部や周辺に必ずしも消毒液を散布する必要はない。

ホッパー型沈殿槽の改善

センターウェルの水深が浅かったので深くした。

越流せきが片側にしかなかったので全周に設けた。

汚泥返送装置に計量装置がなかったので設置した。

越流せき下部から漏水が認められたので越流せきの取付けパッキンを交換した。

越流せきのVノッチの間隔を広げると、Vノッチの数は少なくなる。 このため、1カ所当たりの越流量は増加する(越流速度は速くなる)。

清掃の対象

清掃の技術上の基準において、清掃の対象であるのは、流入管渠及び放流管渠、 脱窒ろ床槽、沈殿槽、消毒槽、接触ばっ気槽(汚泥移送装置を有しない)である。

清掃の対象になるのは、汚泥移送装置を有しない浄化槽の接触ばっ気であり、汚泥移送装置を有する場合は 清掃の対象ではない。

嫌気ろ床接触ばっ気方式における清掃手順

接触ばっ気槽の逆洗

逆洗終了後、剥離汚泥を槽底部に沈殿させる

嫌気ろ床槽の汚泥等の引き抜き

接触ばっ気槽の上澄水を嫌気ろ床槽へ移送する

接触ばっ気槽の堆積汚泥の引き抜き

水道水等の清水を用いて接触ばっ気槽と嫌気ろ床槽の水張りを行う。

膜分離型小型合併処理浄化槽維持管理ガイドラインに示されている清掃

一次処理装置は、前回の清掃日から6カ月後に清掃を実施する。

沈殿分離槽のスカム、し渣、堆積汚泥、槽内水は全量引き出す。

嫌気ろ床槽のスカム、し渣、堆積汚泥、槽内水は全量引き出す。

流量調整槽のスカム、し渣、堆積汚泥、槽内水は全量引き出すというのは誤り。

ばっ気スクリーン型分離槽の貯留部の状況に応じて沈殿物を引き抜き、槽内水は全量引き出す。

国土交通大臣による認定

処理対象人員10人以下の規模では、窒素除去性能を有する型式や小容量な型式が多数、 国土交通大臣の認定を受けている。これらの特徴は、新たに一次処理に夾雑物除去槽、 二次処理に生物ろ過法担体流動法、 あるいは膜分離活性汚泥方法等が採用されていることである。 また、処理対象人員51人以上の規模でも、二次処理に小型浄化槽と同様な生物処理法、 オキシデーションディッチ方式、あるいは回分式活性汚泥法を採用しているものが認定されている。 さらに、農業集落排水施設としては、処理対象人員51人以上の規模で沈殿分離槽や嫌気ろ床槽と接触ばっ気槽の組合せ、 回分式活性汚泥法、間欠ばっ気を組み込んだ活性汚泥法等がJARUS型(日本農業集落排水協会型)として認定されている。

生物処理における窒素除去方法

BOD除去、硝化、脱窒を同一反応槽で行う方法として、 大臣認定浄化槽には間欠ばっ気法がある。

脱窒とそれに伴うBOD除去を同一反応槽で行い、硝化は別の反応槽で行う方法として、 脱窒ろ床接触ばっ気方式、硝化液循環活性汚泥方式がある。

BOD除去、硝化、脱窒を別々の反応槽で行う方法として、三次処理脱窒・脱リン方式がある。

構造基準告示で示される窒素除去型浄化槽の放流T-Nの性能は、 すべてT-N20mg/Lに設定されているわけではない。

構造基準告示で示される窒素除去型浄化槽は、 すべて好気条件と嫌気条件を組み合わせた生物処理による硝化・脱窒反応を利用している。

活性炭吸着

粉末状の活性炭は、撹拌槽内に添加して撹拌接触させ、 吸着完了後に凝集剤などを加えて固液分離する。 粒状の活性炭は、活性充填塔に入れ被処理水を連続的に通過させる。

吸着効果は、対象とする水のpHの影響を受ける。

活性炭の交換時期は、処理水の水質を調べ、その結果により判断する。

COD、色度及び界面活性剤などの除去に有効である。

浮遊物質が多い水に対しては、前処理が必要な場合がある。

活性炭吸着装置を追加することにより、放流水COD濃度を減少させる。

砂ろ過装置の前に接触ばっ気槽を追加することにより、砂ろ過装置への浮遊物質負荷を減少させる。

空気供給量

ばっ気槽が次の条件で運転されている場合、空気供給量を求めよ。

《条件》

流入BOD負荷量:60kg/日

BOD容積負荷:0.2kg/(m3・日)

ばっ気強度:2.0m3/(m3・時)

《解》

BOD容積負荷 = 流入BOD負荷量/ばっ気槽容量であるから、

ばっ気槽容量 = 流入BOD負荷量 / BOD容積負荷

= 60[kg/日]/0.2[kg/(m3・日)]

= 300[m3]

ここで、ばっ気強度は2.0[m3/(m3・時)] であるから、空気供給量は以下の式で表すことができる。

空気供給量 = ばっ気槽容量 × ばっ気強度

= 300[m3]× 2.0[m3/(m3・時)]

= 600[m3/時]

= 10[m3/分]

汚泥生成量

流入BOD量150kg/日、BOD除去率90%、除去BODに対する汚泥生成率60%、 沈殿汚泥の含水率を90%とした場合の汚泥生成量を求めよ。 ただし、汚泥の比重は1とする。

《解》

汚泥の比重を1とすると、含水率99%は0.01kg/Lである。

150[kg/日] × 90 100 × 60 100 ÷ 0.01[kg/L] = 8100[L/日] = 8.1[m3/日]

1カ月あたりに発生する汚泥生成量

以下の条件で稼働している施設において、1カ月(30日とする)あたりに発生する汚泥量(m3/月)を求めなさい。

[条件]
流入汚水量:50m3/日
流入BOD濃度:200mg/L
BOD除去率:90%
汚泥転換率:60%
汚泥含水率:98%
汚泥の比重:1.0

《解》
1日当たりの汚泥量(g/日)は、

50×200×0.9×0.6×100 100-98 × 1.0

= 270000g
= 270kg
= 270L

1カ月当たりの汚泥量は、270L×30 = 8100L = 8.1m3

除去BOD量から汚泥発生量を求める式

A:汚泥発生量(kg/日)、B:流入BOD量(kg/日)、C:BOD除去率(%)、 D:汚泥転換率(%)、E:含水率(%)とすると、

流入BOD量から求まる汚泥量 B×(C/100)×(D/100)は、水を含まない汚泥量である。

水を含んだ汚泥は、A×((100-E)/100) = B×(C/100)×(D/100)

A = B×(C/100)×(D/100)× (100/(100-E))

コンポスト(compost)

コンポストとは、汚泥(sludge)や厨芥の老廃物を好気性発酵させたもの。 有機物質が分解して安定化するとともに発酵熱により病原性微生物が死滅し、土壌改良材や肥料(fertilizer or muck)として利用できる。

コンポスト化の開始には、老廃物の水分を減少させるほうが発酵が速やかに進む。

コンポストとは、汚泥や厨芥等の有機性廃棄物を好気性発酵させたもので、堆肥ともいう。 有機物質が分解し、安定化するとともに、 発酵熱等による殺菌効果で安全性が高くなり、土壌改良や肥料として利用できる。

ディスポーザー(disposer)

ディスポーザーとは、シンク下に設置される生ゴミ粉砕機のことで、 生ゴミを粉砕しながら下水に流す処理設備である。

ディスポーザーに関する問題

浄化槽を使用している4人家族の家庭でディスポーザーを設置した場合、 1人当たりのディスポーザーの排水量が5L/(人・日)、ディスポーザー排水のBOD濃度が4000mg/Lであるとすると、 浄化槽への流入BOD負荷量から計算される使用人員は何人か。

《解》
浄化槽の原単位は以下のように定義されている。
BOD負荷量40[g/(人・日)]=汚水量200[L/(人・日)]×汚水のBOD200[mg/L]
ディスポーザー排水のBOD負荷量は、
排水量5[L/(人・日)]×BOD4000[mg/L]=20[g/(人・日)]
したがって、浄化槽への流入負荷量は、ディスポーザー排水を含んだ生活雑排水とし尿の和であるから、
40 + 20 = 60[g/(人・日)]
4人家族なので60×4=240gであるから、
240g/40gで6人となる。

希釈水量を求める計算

河川における生活環境の保全に関する環境基準のうち、B類型では、 BODが3mg/L以下と定められている。 たとえば、ラーメンの汁1杯分(水量200mL, BOD負荷量5g)をBOD濃度3mg/Lまで希釈するのに必要な水量を浴槽の杯数として示した場合、何杯か。 ただし、希釈水として使用する浴槽水は300L, BODは0mg/Lとする。

《解》
薄める水をx[mL]とすると、以下の式が成り立つ。
5000[mg]/(200[mL]+x[mL]) = 3[mg]/1000[mL]
3(200+x) = 5000×103
600+3x = 5000000
3x = 4999400
x ≒ 1666466
x ≒ 1667
薄める水は1667[L]であるから、
1667[L]/300[L] ≒ 5.6[杯]

《別解》
ラーメンの汁のBOD濃度は、25000[mg/L]である。
必要な希釈する水量は、
必要な希釈水量 = (希釈液の濃度/原液の濃度)×作成する希釈液の量
であるから、
(25000[mg/L]/3[mg/L])×200[mL] ≒ 1667×103[mL] = 1667[L]
1667[L]/300[L] ≒ 5.6[杯]

汚泥資源設備

汚泥再生処理センターにおける汚泥資源設備として、 メタン回収設備、堆肥化設備、炭化設備、乾燥設備、リン回収設備 がある。

現在実用化されている浄化槽汚泥の資源化技術は、 堆肥化(compost)、リン回収、メタン回収、助燃剤化である。

汚泥の脱水機

汚泥の脱水機には、加圧脱水機、ベルトプレスなどがある。

浄化槽汚泥の処理

浄化槽汚泥の大部分は、し尿処理施設に搬入されている。 し尿処理施設では、水洗便所の普及によるし尿の搬入量の減少、 海洋投入処分の禁止に伴う搬入量の増加、 簡易水洗便所の普及による汲み取りし尿の希薄化、 浄化槽の普及による浄化槽汚泥搬入量の増加などの問題がある。

汲み取りし尿及び浄化槽汚泥の処理処分方法として、し尿処理施設搬入が最も多く実施されている。

浄化槽汚泥の受け入れ先として、浄化槽汚泥の処理量の大きい順では、し尿処理施設、下水道、メタン化施設、農地、ごみ堆肥化施設である。

浄化槽汚泥の大部分は、し尿処理施設(汚泥再生処理センターを含む)に搬入して処理されているが、 その他、下水道投入して下水とともに処理されたり、 農地還元、その他の方法により処分されている。 なお、浄化槽汚泥の自家処理ではなく、海洋投入処分は、ロンドン条約を踏まえ、廃棄物処理法施行令が改正されたことにより、 平成19年1月末をもって禁止された。

浄化槽汚泥の輸送技術

一般的な浄化槽汚泥の含水率は98~99%程度であり、汚泥処理処分費用に占める輸送経費を増大させる要因となっている。

浄化槽汚泥の輸送先がし尿処理施設の場合、汚泥濃度が濃いほど、 し尿処理施設における処理に都合がよい。

浄化槽汚泥の濃縮、脱水装置は、多種多様な汚泥に対して安定した処理機能が維持できるように技術開発が行われている。

浄化槽汚泥の減量化の方法としては、バキューム車によりいったん搬出した汚泥を中継基地等に固定設置された脱水装置で処理し、 次の目的地へ輸送する方法がある。

近年、従来のバキューム車の替わりに、バキュームタンクを凝集反応タンクと汚泥貯留タンクの2槽構造とし、 濃縮装置としてバー式スクリーンを備えた浄化槽汚泥濃縮車が用いられている。

清掃時に浄化槽から引き出された汚泥

浄化槽汚泥の性状は、処理方式や建築用途の違いなどによって浄化槽ごとに異なるが、 一般的にし尿に比べ、塩化物イオン濃度アンモニア性窒素濃度は低く、かつ変動が大きい。 また、BOD成分の大半が不溶性のものである。

使用した水道水量を求める問題(ひっかけ問題)

有効容量2.5m3の沈殿分離槽の清掃をAとBの2台のバキューム車を用い、 以下に示す(1)~(6)の手順で実施した場合、手順(6)において使用した水道水量(m3)はいくらか。

(1)Aのバキューム車で、スカムを全量引き出す。

(2)Bのバキューム車で、中間水1.0m3を引き出す。

(3)Aのバキューム車で、残っている堆積汚泥を全量引き出す。

(4)壁面や流入管等を水道水で0.3m3で洗浄し、洗浄水はそのまま張り水として利用する。

(5)Bのバキュームタンク内の中間水を張り水として利用するために沈殿槽内に戻す。

(6)水道水で所定の水位まで水張りを行う。

《解》
(4)の作業で水道水を0.3m3使用して、(5)の作業で中間水を1.0m3沈殿槽内に戻しているので、 残りは(6)の作業で2.5 - 1.3 = 1.2m3使用することになる。

流量調整槽の必要容量を求める問題

ある建物から排出される汚水量について下表が示されている。 流量調整槽の必要容量を求めよ。 なお、総流入汚水量は145.5[m3/日]、24時間平均汚水量は6.1[m3/時]である。

《解》
流量調整槽の必要容量を求める時間帯は、24時間平均汚水量を上回る7時から、 最後にその値を下回る22時までの15時間である。 この時間帯における単位時間当たりの汚水量合計と24時間平均汚水量合計の差が必要容量となる。
7:00~22:00の累計汚水量は、
140.5[m3] - 8.5[m3] = 132[m3]
この時間帯の平均汚水量合計は、
6.1[m3/時間] × 15[時間] = 91.5[m3]
よって必要容量は、
132[m3] - 91.5[m3] = 40.5[m3]

SS収支を求める問題

長時間ばっ気方式におけるSS収支は、下図のように示すことができるが、 それらの関係式を求めよ。ただし、ばっ気槽における汚泥増殖は無視する。

ここに、Ci:流入汚水のSS濃度[mg/L]
CA:ばっ気槽のMLSS濃度[mg/L]
Cr:返送汚泥のSS濃度[mg/L]
R:汚泥返送率[%]

《解》
流入汚水の量を100Lとすると、以下の式が成り立つ。
CA = (100Ci + (100×(R/100)) × Cr) / (100 + 100 × (R/100) )
CA = (100Ci + RCr) / (100 + R)

BOD汚濁負荷の減少量を求める問題

戸建て住宅において汲み取り便槽から浄化槽に変更した場合、 その住宅から放流されるBOD汚濁負荷の減少量を求めよ。 ただし、BODの原単位は、し尿が13g/(人・日)、雑排水が27g/(人・日)とし、浄化槽のBOD除去率は90%とする。

《解》
汲み取り便槽では、雑排水はそのまま放流されるため、 BOD汚濁負荷量は27g/(人・日)となる。
浄化槽のBOD除去率は90%であるから、BOD除去後の汚泥は、 (13+27)×0.1 = 4g/(人・日)残っていることになる。
よって、減少量は、27 - 4 = 23g/(人・日)